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パパ育休に嫉妬してしまったとあるゲイ

近年、パパ育休が定着してきてますよね。
ほんとにほんとに、すごいな、て思います、日本。

会社でも数年前に、全体に向けて、パパ育休の導入の話があった。
それ以外の給与体系とかの説明もあったような気がするが、会社としてのメインはパパ育休、だった。

意気揚々とパパ育休、そういう時代、ということを経営者が数分話し、後は事務職の人が具体的な説明をする、という配分。
内心、え、じゃあ抜けてる間の補填とかは、どーするの?と現実問題を考えてしまう。
当然、そんな話は無かった。

その時は中途半端な中間管理職みたいなことをやっていて、そーいう希望が出てきたら、どーやって勤務表を作ればいいんだろう…と漠然と不安になった。

そこから半年くらいは特に何もなく過ぎた。

でも、唐突にやってきた。

後輩ノンケが、奥さんが妊娠してて、◯月に産まれる、パパ育休を取ろうと思う、と。

わ、3人目だね、おめでとう!!
ついにパパ育休取る人が出るんだね!!
パパ頑張んなよ〰 なんて。

なんて…
言えなかった。
モゴモゴと、おめでとう、そっか、わかった、くらいに返すのがやっと。

いや、わかる、わかるよ。
ご両親は応援にかけつけれないよね、上の子2人いるもんね、嫁さん知ってるし、子育てで疲れてるって言ってたもんね、産まれてしばらく君が育児できたらすごい安心だよね、ね…
自分の頭の中で、わかれ、わかるんだ、わかるしかない、と繰り返した。

いよいよ彼が育休に入る月の前の月になり、勤務表を作る作業に中間管理職たちでとりかかった。

あからさまに勤務が組めない…

そりゃそうだ、しょうがない、わかってる。
どうしようもない。
なんとか、僕も含め、フリーのような形をしている人で勤務している人たちが、その大きく空いた穴を埋めたり、削れそうな日は人員を削ってしのぐことになった。

1カ月くらい、穴埋めをして、その分、自分のやらなきゃいけない仕事を残業でカバーする。
それまでの残業時間を優に超えたし、休日出勤もした。
中間管理職だから、仕方ない…
周りからは文句も出る…
カバーできる人員もいないのに、どうしてパパ育休なんてやるんですかね?と。
独身の子たちは言う。
実際、そう、自分も思った。
性格が悪いと言われてしまうかもしれないが…
既婚者たちは、今はいいよね、うちらの頃はそんなんなかったもん、と言う。
そーだよね、仕方ないよね、と返す。
経営者は、さも時代の流れに乗ってやったぞ、すごいだろ感を出し、じゃあ現実問題をどうするかなんて、きっとどうでもよかった、ホワイト企業っぽさ、は、今の時代経営者をご満悦にさせるとっておきのツールだ。

産休に入った彼から、産まれました、とラインが来た。

おめでとう!!
と返す。

ご迷惑おかけしてます、育休取れて助かってます、ありがとうございます。
と返ってきた。

そのラインのやりとりをしながら、我に返った。

赤ちゃんが産まれたこと、本当によかった。
大事な後輩だから、そんな後輩の幸せな育休をサポートできてることは、もしかしたらすごく幸せなことなんじゃないか?て。

きっと、なんで休むんだよ、という気持ちが、彼が育休に入るまで、言わないにしろ、顔に出てしまっていたんだろう。
彼は気を遣って、わざわざラインをくれたんだろう。

なんだか、惨めな思いになった。

子どもが産まれる、それを社会全体でサポートし、後押ししようという空気感、それはすごくあたたかいこと。
なのに、自分は、僻んでしまっていた。
もちろん、それを会社でどうシステム化して、というところを詰めないまま、一人目のパパ育休者を出したし、中間管理職としてもっと考えなきゃいけなかったし、話し合わないといけなかった。
僕も落ち度があるし、周りもなんとかなるという漠然とした気持ちでいたんだろう。
でも、でも…と。

どこかに、ひっかかっている、のは、
独身者に負担が回ってくる、とか、そーいう表面的なことじゃない。
子どもが1人産まれれば、将来の社会構成員が1人増えるわけだから社会人として喜ばしいこと、とかいうなんか真っ当っぽい考えに対して、ゲイである自分がそこになんで絡まなきゃいけないの?なんていうふて腐れとかでもない。

どこかで、うらやましいな、て。

同性愛者として生きるしかない人生に生まれて、彼(ら)の、喜びや、家庭を守る苦労もわからなければ、子育てに苦戦する奥さんの気持ちも、正直わからない。
微笑ましいエピソードばかりじゃないだろうし、子育ての厳しい現実エピソードもゴロゴロしてるんだろうから、そんな甘いもんじゃないだろう。
類推はできるけど、類推は推察で、夢想で、現実に戻ったら、あ、無理なんだ、て。

女性に勃つ能力があったら。
女性に生まれてれば。

たられば、の空想は、夢や希望があればこそ、だ。
僕の、その、たられば、は、ひどく現実に長い影を落として惨めにさせるだけのものだった。
あー、夢幻だな、て。

パパ育休から戻って来るちょっと前には、彼が抜けていることにも慣れてきていて、いざ戻って来たら、それはそれで、前の日常になるだけだった。

どうだった?パパ育休?
と聞いて、
あーだのこーだの話す彼は輝いてた。
大変だった、とか言ってるのも、キラキラまぶしかった。

その数カ月後にまた、違う後輩がパパ育休に入ることになったのは、さすがにやばい(仕事的に)と感じたが、それはそれで、二人目だったから、少し慣れた空気で仕事は回った。

まあ、いいんだ、かわいい、後輩ノンケだから。

若パパってのも、やっぱかわいいから許す。

あ、でもさ、少しくらい、君らが抜けてた間頑張ってた分、体で払ってくれてもいいんだよ、なんて。笑

すみません、キレイには到底生きてけない、内容を綴ってしまいました。
結婚お祝いを、会社からもらえてたり、出産お祝いとかも、あったりするかもだけど、こちとら好きで独身やってるわけじゃないんですよ、と言いたいけど言わない。
人の幸せを妬むとかは通り過ぎてオトナになったけど、たまに、ものすごく幸福のシャワーを、強制的に浴びせられるときがあって、嘔吐しそうになる。

もちろん、核家族化とか極まって、ご両親の助けを得れないとか、あるのはわかる。
男は仕事、女は家庭、みたいな古臭い話はもう過去の神話になってる。
子育ての環境自体が荒波のように変わってる。
だから、時代の変化に、僕たちも合わせなきゃだし、協力してかなきゃいけない。

つか、協力してるんだよ、結婚する気のない異性愛者っぽい雰囲気を出しながら。

男女を取り巻く社会の変化に肯定も否定もないんだけど、いざ、自分の足もとを見ると、そんな社会の中で、どうやって生きていくのがベターベストなんだろう?て、歩みが止まることがある。

結婚、無い。
出産、無い。
子育て、無い。

勿論、諦めた。
諦めている。

同性パートナーと里親とか、代理母出産とか、そーいうトピックスは見たことあるけど、それはそれで、なんかちょっとたどり着けない、思考回路的に。

自分の遺伝子を残したいとか、そーいうこともない。
遺伝子に組み込まれてるらしい種の保存とかいうのは、持ち合わせなかったんだから、しょうがない。

仕事でうまくいかないことがあると、しょうがない、とつい言ってしまう。
昔、転勤になる上司に「よしだ湯くんが、しょうがないですよ、と言ってくれるのが、実はすごい助かってたんだ」と言われたことがある。
え、そこ、と思った。
確かに、仕事ってのは、うまくいかない、どーしようもないことの連続で、時折うまくいったりどーにかなるというもんだと思うけど、上司が、そこに着目してたとは。
確かに、疲れてる顔してたもんな…
そんな上司に、しょうがないですよねぇ〰って、言うのは、だって、しょうがないんだもん、うまくいかないことはさっさとキリをつけたいし。
でも、僕なんかより、上にも下にも(僕にも)挟まれて、しんどかっただろうしなぁ…
僕なんかより、信念のある、そして律儀に仕事をこなすタイプの上司ノンケさんだったから、僕なんかに、しょうがないとか言われるのなんて屈辱だったかもなのに、逆に救われてたとか、失敬。

もとい、ともかく、しょうがない。

無理なことはできないんだ。

時々、そんな、生、を恨むけど、まあ、普通の男ならわからんようなことも経験できるとか、そーいう昇華方法をとってくしか、今後の人生、ない。

人生長いなー。

ひとつ言いたいのは、パパ育休制度導入するなら、ちゃんと、じゃーどうする?を解決しておきたいところだよね。
ちゃんと、整備できてるところも多いのかもしれないけど、なかなかそうでもないところでは、結構厳しいかな…
経営者さんたちも大変なのはわかるけど…

そして、それだけ核家族化してるってことなんだけど、それもどうなのか?とも思ったりもする。

ほんと、様変わりした。
若いパパママたちが夢のマイホームとか手にして、親元離れてファミリー形成して、ていうのが当たり前の時代になった。
一昔前は、お嫁さんが男の方の家庭に入って、とかが当たり前だったのに、もうそれが古い、みたいな時代になった。
勿論、それは女性にとって苦痛を生む制度だとも思うし、そこで挟まれる男性もしんどいだろうし、パーソナルな部分を大切にする時代だから、そこが解体されるというのはわからなくない。
女性が社会進出してるし、仕事と子育ての両立を、体ひとつでなんとかしようとか神ってる(世のノンケ男たちは女の人たちの努力にひれ伏せ案件ですよね)

でも親さんのご協力って、子育てにおいてはやっぱりすごいんだよね。
子どもひとり育てるって、ものすごいエネルギーだと思うけど、やっぱり、親さんのフォローとかが受けやすいか受けにくいかって違うよな、とか。
保育園とか幼稚園とかそーいうのもなかなか入れなかったりするってことも聞くし、そーいう整備も国はもっともっと力入れてほしいな。

まあ、one of ゲイが言っても仕方ないんですけどね。

ということで、パパ育休をを妬んでしまった話でした。
すみません。
懐の狭い男で。

てか、パパ育休みたいな権利はこんな簡単にシステム化、されるのに、ゲイの権利って、なんでこんなシステム化遅いの?
ゲイであるだけで生きにくいんですけど、国さん。
なんか、保障システム作ってくださいよ。
確かに、子育てしないから、普通に働いてるノンケとお給料同じなら、その分、貯金もできるわけですが、お金うんぬんじゃねーんすよ。
精神、病んで病んで、嘘みたいな笑顔で頑張ってるんすよ。
ま、そんなこと言ってみても、ダメですか、ね。

とりあえず、若パパ、エロい。
わりとゲイの方々に賛同いただけると思う定義。
若パパ、エロい。
そんだけ。

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