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☆もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』をよんだら☆を読んでみた!

今回はタイトルにも書いてある「もしドラ」をマネジメント講習の中で紹介頂いたので読んだ感想などを書いてみたいと思います。

■もしドラのご紹介

まず、この本の紹介を軽くしたいと思います。
この本の主人公「川島みなみ」は高校2年生の7月中頃から新しく高校野球の女子マネージャーとなった女子高校生。
とある事情により、それまでは野球部と縁もゆかりもなかった彼女が女子マネージャーとして野球部に入部し、「甲子園に連れていくと宣言」する事から始まります。
甲子園に連れていくと宣言してしまったが、マネージャーとして何をしたらよいか迷う主人公。「マネージャー」とは何を行う者なのかを調べる中で経営学者ドラッカーの書いた「マネジメント」に出会う。
チームを強くするには何が必要で、どうすれば良いのか。「マネジメント」に書かれていることをひとつひとつ実現し、野球部を夏の甲子園大会に導くまでの物語となります。

■この作品を読んだ感想

「マネジメント」を具体的な事例にして解説した側面もあるのですが、青春小説として読む事が出来る作品で大変面白かったです。
最後の方では不覚にも泣けました!

いやいやビジネス本でしょ?なんで泣けるの?と思われるかもしれませんが、この本は、マネジメントを学ぶことができる一冊でもあり、野球小説としての高校青春物語要素が詰まった作品だからです。
作品を読んでる際、感極まりソファーで鼻をすすりながら本を読んでいたら、うるさいから鼻かんだらと妻から言われました・・・Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン
クライマックスの方ではなんで?どうしてそんな感情になってしまうの?という部分もありましたが。
そんな青春小説要素もありますが、作中の中ではマネジネントに関する内容が随所に入っておりとても勉強になりました。
続いて作中で紹介されているマネジメントの部分に関して、自分に置き換えて考えたときに重要だなと思った部分の8項目に触れていければと思います。

■マネジメントとは

ひとことにマネジメントとはと言われても大変難しいですが、
ドラッカーはこれを「組織に成果を上げさせるための道具・機能・機関」と定義しています。つまり、企業がもつヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源(リソース)を効率的に運用する管理手法を指す概念としています。
また、マネージャーとはその役割(リソースを活かして成果を最大化する事)を果たし、成果の責任をもつ人物のことを言います。

1.マネージャーに必要なのは才能ではなく真摯さ

マネジャーの仕事にできなければならないことは、そのほとんどが教わらなくとも学ぶことができる。しかし、学ぶことのできない資質、後天的に獲得することのできない資質、始めから身に着けていなければならない資質が、一つだけある。才能ではない真摯さである。

マネージャーに最も必要なのは真摯さだと言っています。
真摯さとはどういうことなのか?と本を読んで思った自分なりの答えとしては、「何事に対しても一貫した信念のある人である事」なのかなと思いました。自分の我を押し通すという意味ではなく、周りの評価に忖度せず、自分なりの基準をしっかりと持ち、それを揺らがす事が無い。
周りの仕事や対人に対してもですが、「自分は真摯に向き合っているか?」改めて考えさせられました。

2.組織を定義する(顧客を定義し求めるものを考える)

マネジメントの最初の仕事は”あらゆる組織において、共通のものの見方、理解、方向付け、努力を実現するには、「われわれの事業は何か。何であるべきか」を定義することが不可欠である。
しかし実際には「われわれの事業は何か」との問いは、ほとんどの場合答えることが難しい問題である。わかりきった答えが正しいことはほとんどない。顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である。したがって、「われわれの事業は何か」との問いは、企業を外部すなわち顧客と市場の観点から見て、初めて答えることができる。

自分たちの組織の定義とは何か?この問いで作中では「野球部とは、野球を通して顧客に感動を与えるための組織である」と定義しました。
また、顧客とは応援してくれる親や観客、学校関係者の他に「野球を行う野球部員たち」と書かれています。野球部が活動をするにあたり保護者の支援なども必要ですが、それ以上に必要なのは野球を行う野球部員たちだという事です。我々に置き換えると野球部員は従業員であり顧客であるという事をしっかりと認識しなくてはと思いました。

3.マーケティングを行う

真のマーケティングは顧客からスタートする。すなわち現実、欲求、価値からスタートする。「顧客は何を買いたいか」を問う。「顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足がこれである」と言う。

自社の製品ありきの提案をしてしまうということが交渉の場などで上げられるが、顧客が求めていることを知ることがマーケティングで重要である。
車は移動手段と思う顧客もいれば、車はステータスと思う顧客もいる、その顧客の求めている車(欲求)を用意する事で満足させるさせることが出来る事に繋がります。
作中では、顧客である野球部員は何を求めているのかを知る為に野球部員全員と面談し、野球部員が何を求めているかの把握を行いました。面談を行った事により部員によって色々な目的があることが分かりました。
相手の欲求を知る為にもマーケティングは重要なことだと思いました。

4.働く人たちに成果をあげさせる

マネジメントは、生産的な仕事を通じて、働く人たちに成果をあげさせなければならない。

作中では「成果をあげるためには、個人の強みを生かすことが重要だ」と考え、部員ごとに練習メニューを変え、個人のスキルを磨ける環境を整えました。
働きがいを与えるには、責任を持たせる必要があります。そのためには、①生産的な仕事、②フィードバック情報、③継続学習の3つの要素が不可欠です。
①生産的な仕事として新練習方法を提案して部員の士気を向上させた。
②フィードバック情報では、タイムをメモさせ自己管理を行わせた。
③継続学習では、①と②を続けさせることで効果を実感させようとした。
やっている本人が実感や達成感を感じることにより主体的に行動するようになる仕組み、要するに上司の役割は部下が自主的に行動するような仕組みを構築する事が大切だと思います。

5.人の強みを活かす

自らや作業者集団の職務の設計に責任を持たせることが成功するのは、彼らが唯一の専門家である分野において、彼らの知識と経験が生かされるからである。

従業員は人によって得意なことが異なるので、これらの強みをどう生かすかがマネージャーの腕の見せ所となる。作中の野球部の場合では、打撃が得意な選手、ピッチングが得意な選手、足が速い選手などそれぞれに合った役割を与えている。各部員の強みを生かせるポジションに着かせることで、野球部の生産性はさらなる向上をみせました。

6.イノベーションを起こして結果を出す

企業そのものは、より大きくなる必要はないが、常によりよくならなければならない。

新しくできた企業は、最初のうちは既存の同種の企業と同じことをしていても伸びるかもしれませんが、他の企業を越えるにはイノベーションをおこして、改革を起こす必要があります。現状の中で陳腐化するものは何かを見つけ出し組織の定義にそぐわなくなったものを捨てる勇気が必要となります。作中では送りバントとボール球を見せるという従来の常識を捨てて、ノーバント・ノーボール作戦を生み出し結果に結びつけました。
世の中に新しいものや新しいサービスが出来続ける以上、顧客の欲求も変化していきます。顧客の欲求が何かを常に先行して考えていく事が生き残る企業として必要なことだと思います。

7、間違いや失敗を恐れてはいけない

成果とは何かを理解しなければならない。成果とは百発百中のことではない。百発百中は曲芸である。成果とは長期のものである。すなわち、まちがいや失敗をしない者を信頼してはならないということである。それは、見せかけか、無難なこと、下らないことにしか手をつけていない者である。成果とは打率である。弱みがないことを評価してはならない。そのようなことでは、意欲を失わせ、士気を損なう。人は、優れているほど多くのまちがいをおかす。優れているほど新しいことを試みる。

「失敗は成功のもと」「失敗を恐れるな」とかよく耳にするが、実際のところ失敗を恐れない事はかなり難しいと思う。ただ作中で言われていることは挑戦する事による失敗を恐れるなという事だ。失敗しない人がいるとすれば、何も挑戦していない人なのだろう。イノベーションにも書いているが常に変化し続ける社会の中で、変化しようとしない組織は時代の波と共に取り残され消え去ってしまいます。きれいごとに聞こえますが失敗を恐れずいろんなことに挑戦してみようかと思う気持ちが大切だと思います。

8、成果こそ全ての活動の目的である

成果よりも努力が重要であり、職人的な技能それ自体が目的であるかのごとき錯覚を生んではならない。仕事のためにではなく成果のために働き、ぜい肉ではなく力をつけ、過去ではなく未来のために働く能力と意欲を生み出さなければならない。

作中で夕紀がみなみに「結果よりプロセスが大事だと私は思うなあ」といい、それに対しみなみが「でも、私は結果を大切に思わないわけにはいかないんだ」と意見が対立する場面がある。
もちろん結果に対する過程も重要だと思います。取り組んできた内容は無視する事は出来ません。しかしこれを会社に例えると「頑張ってきたから結果赤字になってもいい」ということになってしまいます。結局は成果がでないことには意味がありません。組織の目的を決めたとき、結果として残るのはもう○か×しかないということです。また、成果よりも努力を重視してしまうと、仕事のための仕事をしてしまうことになります。そのため組織は成果のために働くことが重要です。みなみたち野球部も今まで努力を続けてきましたが、結局は大会に勝たなければ成果を出したとは言えません。

最後に

もしドラはドラッカーのマネジメントをどう生かしていくかが、高校野球部で甲子園を目指すという具体例をあげて非常に分かりやすく説明している作品でした。今まで本格的にマネジメントと触れ合ってこなかった自分にもとても理解しやすい内容で書かれていました。次はこの読んだ内容をどのように自分の職場に取り込んでマネジメントしていかなければという課題が残りますが、自分も失敗を恐れず取り組んでいこうと思います。
まだ読んだことが無い方はマネジメントの入門編としてぜひ読んでみて下さい。

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