境界戦機感想 第1話① 「開幕からちぐはぐな世界観設定 キャラの扱いと描写」
境界戦機の最終話が配信されてから早くも1年と数ヶ月が経とうとしている今日この頃。
全6話配信限定といった状況ながら続編も現在配信されており、今も極一部の物好きな人間の目を引き付けて止まない、サンライズビヨンド製作のロボットアニメ境界戦機。
プラモもBDも全く買っておらず、youtubeの広告収入以外一円も境界戦機に金を落としていないが、アニメだけはしっかり2週見て境界戦機への愛情だけならそんじょそこらの真の日本人には負けていないつもりなので、3周目を見ながら改めて境界戦機について記事にして語っていきたいと思います。
境界戦機を見たことがない皆さんは境界戦機を一度見て確かめ、見た事のある真の日本人の皆々様は今一度境界戦機を見直してみてはいかがでしょうか。責任は取りませんが。
①開幕から終わる日本〜世界観説明〜
第1話の視聴を開始したのも束の間、主人公らしきアモウという少年が何かと対峙しようとした直後、ナレーションによって唐突に「21世紀半ば、日本は終了した。」と語りが始まります。
少子高齢化や経済政策の失敗等の問題が積み重なり、破綻寸前にまで追い詰められた日本に、世界の同盟(と名前をぼかしてはいるがどう考えてもアメリカロシア中国オーストラリアを指しているのでこの記事でも今後の記事でも実際の国の方の表記で書きます)が支援を名目に日本へ介入していったそうな。
その中で衝突が起こり、境界戦と呼ばれる大規模な戦いが日本で繰り広げられました。その結果、日本は各列強により事実上分割統治されているのが作中の現在、2061年の現状だそうです。
現実路線の話にしているのはいいですが、少子高齢化の話をするなら日本に限らず先進国全体の話ですし(見かけ上出生率がよく見える国も生まれている子供の大半は移民の子供だとか聞く)、かなりの量の対外の債権やらを持っている日本がクビが回らなくなるほど立ち行かなくなる事態なら他の国も武力衝突して戦争してる暇なんか無いと思います。
何故か日本を集中攻撃してくる地球侵略を狙う悪の宇宙人なんかは大昔の作品にはよくある事でしたが、なまじいい加減な理屈で理由や描写をつけた分却ってそういった描写を省いている作品より「なんで?」が強く思い浮かぶようになってしまっているような要素がこの先にもかなり多くあるのがこの境界戦機です。
②日本人達の生活〜椎葉アモウという男〜
OPを挟んで場面は代わり、何やら山奥で廃棄された占領軍のアメイン(境界戦から投入された大型二足歩行兵器、ガンダムのモビルスーツみたいなもん)からパーツを漁る少年達。
おそらく旧式でもバッテリー駆動であろうアメインのどこにシーケンシャルターボが使われてるんだよという重箱の隅は置いておいて、目当てのパーツを手に入れられたようで満悦の少年達の中にこの物語の主人公である少年、椎葉アモウがいます。
車内でお互い踏み入った所には立ち入らないコミュニケーションを取った後に車を降りると、アモウ達が済む四国地域を支配しているオーストラリアの軍人が自身の邪魔をしてきた?日本人の子供に怒り「日本人は隅で小さく縮こまってろ!」と挨拶代わりにヘイトスピーチをかます所を目撃し、いたたまれない表情をするアモウ。
帰宅した後の生活が描写される中、モノローグで生きていく意味とは?日本人に生まれただけで罰ゲーム、努力とは?希望とは?などといった当て所のない閉塞感と被害者意識を吐露します。
こういう特に誰や何とは指定できないけど自分は不幸な被害者で搾取されてますみたいな意識の手合い、現実創作問わずまあまあいますけどまぁお友達にはなりたくないですね。
描写されるアモウ君の生活が親の遺産と奨学金でなんとか金には困っておらず、綺麗な部屋で食事も不自由なく、テレビ等の家具も揃った家で暮らし、通信制の高校の為にリモート授業なのか映像を見ながらノートを取りながら教育を受け、余暇の時間を廃棄アメインのパーツ漁りをして過ごしているのですから尚更です。
一応支援を名目にした実質的な支配とかなので教育を受けられるのはわかるにしても、破綻しかけの日本でしっかり遺産を残せている両親や奨学金
制度は占領され冷遇される日本人像に合致してない事この上ありません。
そして自立思考型AI「ガイ」との出会いやオーストラリア軍人の追求をかわすなど一悶着あった後、アモウがアメインのパーツを漁っていた理由が判明します。
なんと偶然山奥で見つけた廃棄された工場に組みかけのアメインがあり、それを完成させるためにパーツを集めていたのだという。
たまたまアメインを見つけたとして、それを組もうと考えた上、軍の廃棄された機体のパーツをネコババしてまで達成しようと考えるのは、目的が本人の言う完成していく楽しさの為だけだとするなら、かなり無法でヤンチャな人間だと評価せざるを得ません。
さらにその廃工場に入るためのロック解除を、乱数表を使って何日もかけて実行していたというのですから、もう間違いなくまともな側の人間ではないと思ってしまいますね。
親の遺産と奨学金で働きもせず教育を受け、廃棄されたアメインのパーツをちょろまかしながら廃工場の組みかけの機体を組むアモウという少年と、占領統治され外国の軍人が我が物顔でのさばり日本人が虐げられているという舞台や日本人というだけで罰ゲームで希望もないというような台詞が完全に正面衝突しています。
第1話の前半から早くも、説明される世界観とそこの中にいるはずの人間の描写に齟齬が出る辺りがもう実にクソだと言わざるを得ませんが、こんな事はこのアニメの氷山の一角に過ぎません。
③次回へ続く
どうにも噛み合わない世界観とアモウという人間のクレイジーさの一端について言及出来た事ですし、あんまり長くなると読みにくくて良くないので今回はこの辺りにして続きは別の記事に書きます。