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空気階段と北海道の親和性
空気階段の単独公演、「ひかり」に行ってきた。
北海道は全部で3回公演があった。金曜夜、土曜昼、土曜夜だ。
わたしが行ったのは土曜昼だけれど、JR札幌駅近くの共済ホールという640席ある会場がほぼ満席だった。一応当日券も出ていたけれど、空席は見当たらないほどお客さんが入っていた。
ここで3公演もするってすごいことだと思う。そもそも東名阪だけとか、東阪だけとか、そういうお笑い芸人も多いから。
でも、どうして空気階段は北海道で人気があるのだろう?
鈴木もぐらさんの元奥さんが北海道出身のはずだから、そのせい? と思ったりもする。でも、その関係者が何十何百と大挙して押し寄せるということもないだろう。そもそも離婚されている。
そして空気階段のライトファン層が、もぐらさんの奥さんは道民だと知っているかと言えば、知らないだろう。
実際、公演で「空気階段の踊り場」というラジオでの話(北海道の郷土菓子である山親爺という洋風せんべいの話)にふたりが言及したとき、客席の反応はとても薄かった。無いに等しいくらいの反応。
そのため、いつもラジオまで聞いているようなヘビーファン層はそこまでいないと思われる。
となると、やはりテレビで目にする空気階段...…コントをしている空気階段が北海道で支持されているということになる。
わたしは、空気階段のコントには、意味不明な理不尽さがあるものが多いと個人的には思っている。
そして北海道で生きていくということは、それ自体が強烈な理不尽さとともにあると思っている。
一番は、雪が降り続く厳しい冬があるということ。人間の力ではどうにもできない。連日の雪かきは筋肉痛になる。高齢者は誰かに頼むしかない。吹雪のせいで前が見えないし、つるつるに凍った路面のせいで滑って転ぶし、学校や職場まで行くだけで一仕事。しかもそんな時期と高校や大学の受験シーズンが被っている。そのせいだけではないけど、内地との教育格差はすさまじいものがある(たとえば中学受験の文化はほぼない。それが良いか悪いか一概に言えないとしても)。そして冬の日照不足のせいで、うつ病などといった精神疾患になりやすいらしい。そのせいもあってか、若年層の生活保護受給者が多い。
そんな土地で日々を暮らす人々が、空気階段のコントで笑っている。
そのことにひどく納得する2時間だった。
ちなみに公演は、ずっと独特の世界観に没入できて、すごくよかった。我に返って退屈する時間がなかった。笑わされるとは思っていたけれど、泣かされるとは。来年以降も、もし行ける機会があれば、足を運びたい。
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