忙しいだけで稼げなかったライターが働き方を見直したら新しいクライアントさんと出会えてゆとりもできた話
「お母さんこっち見て話して」
気づいたらわたしの洋服をつまみながら次男が見上げている。子どもと話すときもパソコンを見ながら返事をすることが増えていた。
子どもたちと笑顔で過ごす時間を増やすために始めたWebライター。フルタイム時代にネックだった「子育てと仕事の両立」の理想がかなうかもしれない。そんな希望は数か月でしぼんだ。
低単価なうえに、1日数時間働いて1記事も書きあがらない執筆スピードの遅さ。最初の収入は時給10円前後だった。
はじめて入ったライターチームでは、全員の見ているChatwork内で「まるっきりだめ」「他の人のをよく見て直して」と辛辣な批判をあびることも。全否定が怖くて通知を開くのがつらくなった。
周囲を見るときちんと成果が出せている人がいるのに自分は違う。どうしたらいいのかわからない。まずは数少ない与えられた仕事を丁寧にこなすしかない。
そんなスタンスで仕事をしていたから子どもとの時間は後回しになっていた。
このままじゃいけない……
今の働き方では心の余裕がなくなっていく。もう少し単価のよい仕事を受注しないと。
なんとかしようと考えて、有名なライターさんの動画や書籍を見直した。そしてわたしには実績と営業が必要だと考えた。記名記事や実績として公開できる記事など1つもない。そもそも記事を実績として公開してよいかについて、たずねたことすらなかった無知が悔やまれた。
実績がないなら
実績がないならつくるしかない
わたしはWordPressを立ち上げて実績となるポートフォリオ用の記事を書いた。応募するのは、本業の専門性をいかせて単価が上がりやすい医療や健康分野の記事にしぼろう。
驚いたことにそれらを実践したら、すぐに今までの2倍の単価の仕事を受注できた。書くスピードも以前よりは上がり、月の収入はライター開始当初の目標だった5万円に到達した。
このまま順調に進めるかも
そんな風に思ったのもつかのま、次男の体調不良が始まった。嘔吐と咳、頭痛を繰り返して毎日小児科を受診。笑顔もなくぐったりしている次男が心配ななか、納期がせまる記事に追いつめられた。いつ苦しがって起きてくるかと耳をすませながら、なんとか終わらせるのに必死だった。
ひと月をまたぐかと思った頃元気になった時には本当に安心したものだ。でもふと立ち止まって考えた。
このまま仕事の量を増やせる……?
またハプニングが起こるかもしれない。仕事量は増やせてもたかが知れているだろう。今後夫に何かあるかもしれないし、子どもたちの教育費もしっかり貯めたい。将来のためにはそれではまだまだ足りない。
もっと効率的に収入を上げるために、スキルを上げたい。
講座に通おう。
講座との出会い
決意してのぞんだ講座には、年齢も職業もばらばらの仲間たちが集まっていた。すでに名の知れたメディアでばんばん執筆している人もいて自信に満ちあふれているように見えた。わたしもがんばらなきゃ。
最初はゆっくりペースだった講座は、後半になるにつれて情報量も提出物の量もふくれあがった。書くスキルよりも、ビジネスの根幹やマーケティングについて学ぶことが多くなった。新鮮でおもしろいけど、むずかしい……。
小さな雷に打たれたような気がしたのは先生のこのフレーズだった。
「ビジネスは誰かの困りごと解決。解決できればなんでもいい。喜ばれるうえにお金もいただける」
わたしは書くスキルを上げることしか考えてなかった。それ以外でも価値提供ってできるんだ。困りごとを解決するためには何ができる…?
いてもたってもいられない気持ちになった。具体的な働き方の例が知りたい。講座やzoomなど先輩たちに相談できる場を片っ端から予約して聞いて回った。
「目の前のクライアントさんに向き合って求められることを提供していたら、いつの間にか仕事の幅が広がっていたよ」そんな話を聞いた。そういうものなのか。
クライアントさんと共通の目標に向かい、協力して仕事をしていきたい。
そのためにいろいろな仕事に挑戦してみよう。いつか提案できる仕事も広がるはず。
少しずつやりたい方向が定まってきた。
新しい働き方
以前は単価を見比べて応募することが多かったクライアントさん。今はホームページの理念や考え方、活動内容を見て「ぜひお手伝いさせてほしい」と感じたところに自分から応募するようになった。
共感したきもちを素直に伝えたら「ぜひご協力いただきたい」「前向きに進めていきましょう」とありがたいお返事をいただけることが増えた。せっかく頼んでくれたんだからがんばらなきゃ。
単価を求めて探したわけではないけれど、お仕事の報酬が少し上がり時間のゆとりもできてきた。その分今後の可能性を広げるために、新たなことを学ぶ時間にあてられる。
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1年たった今、子どもたちとはうまくいっているように思う。以前より仕事の調整がしやすくなり、事前に頼まれたお願いはかなえられるようになった。キャンプや学校の行事、週末のお出かけ……
楽しいプランを実行したときに「ありがとう」とぎゅっと抱きつかれる瞬間にこのために働いているんだなと思う。
先日長男が家族との会話についてのアンケートを書いていた。
こっそり盗み見たら「親と毎日会話する時間」に対して「2時間」「十分話せている」にチェックしていて、後ろでにんまりしてしまった。
かあさんは君たちの将来のためにがんばるよ。
仕事で誰かの役に立つスーパーお母さんになるつもり。
遊びに行きたいときには早めに言ってね。
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