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信じるのことを邪魔するもの

残暑が続くこの頃、いかがお過ごしでしょうか。この夏はコロナも明けて、各地に出かけられた方も多かったのではないでしょうか。また地震、台風等自然災害の被害を受けておられる方々に、お心より見舞い申し上げます。
さて、BBSGでは引き続き「第四章 私たち不可知論者は」を読みディスカッションしながら進めています。



不可知論者と無神論者

前回、不可知論者について取り上げましたが「心の家路」さんが、ビッグブックの記述にひきつけて定義した、エントリーを更新されています。
とてもわかりやすく書いてあります。参照してください。

不可知論者について https://ieji.org/glossary/agnostic

無神論者について  https://ieji.org/glossary/atheist

自分なりの神の理解

前回、霊的ということが自分にとってどんな意味を持つのかを自分に問いかける為には、前から持っていた否定的な神の概念を捨てる必要があることを取り上げました。今回はその続きです。

私たちが神の事を話すときには、だからあなたがあなたなりに理解している神を指している。またこの本のなかに出てくる霊的な表現についても同じである。あなたはまず、霊的という言葉について前から持っている考えを捨ててほしい。それは霊的ということが自分にとってどんな意味を持っているかを正直に自分に問いかける邪魔になるからだ。霊的に成長し、自分なりに理解できる神と意識的にかかわるための出発に必要なのはそれだけだった。そうして時間がたてば、とうてい手の届かないものにしか思えなかった多くのことが、受け入れられるようになった自分に気づくようになる。それが成長なのだが、成長するにはどこかで始めなければならなかった。だから私たちは、自分なりの神への理解から始めた。たとえせまく、かぎられた理解だったとしても。

AA(2003) : 69

ミーティングの中で「ここでの神は全知全能の神でなければならないのか。」という質問がありました。また「神への理解と訳してあるが原文はown conceptionとあるので理解というより考え、概念と読んだ方が原文の意を汲んだものになるのではないか。」という意見もありました。そこで理解と概念ではどのような違いがあるのかを議論しました。


ミーティングでの議論をもとに作図

人間が物事を理解する前提には、その理解しようとする事物に対する知識、先入観があります。ハイヤーパワーを理解しようとすればするほど知識、先入観を拠り所とするので(自分を出発点、土台としているため自分を越えた存在は)理解はできない。そのため理解ではなく概念、考えと解釈した方がプログラムを伝えるにはよさそうです。(霊的なものにたいする今までの知識や先入観を捨てて自分なりのハイヤーパワーの概念を持つことを提案している。)ステップワークの中でスポンサーに「自分でハイヤーパワーを作ること。」と教わったことを思い出しました。

conceptionを辞書で調べてみると・・・

1  概念, 考え (⇒idea SYN).  
2 構想, 着想, 発明, 創案, 考案 (design, plan, concept).
3 妊娠, 懐妊, 受胎 (cf. gestation 1).
といった意味になるようです。アイデア、デザイン、プランと考えるとわかりやすいですね。

信じる権利

ビッグブックばかりだとあきてしまうので、たまには違うテキストも読んでみましょう。

この選択が自分にとって「決定的な重要性をもち、切迫性をもち、生きた選択である」とすれば、不十分な証拠であるからといって、選択を放棄し、決断を避けていることは、行為への積極的な姿勢の放棄という意味からいって、まさしく「悪」であろう。つまり、われわれにとっては、どうしても賭けなければならない場合には、証拠の不十分という条件を承知していても、何かを信じようとすることには意味があり、その限りでわれわれは「信じる権利」を持つはずである。

伊藤(2016) : 72

著者は生きることは何かを信じる営みであり、信じなければ生きられない私たちは生きる権利と同様に信じる権利があると、ジェイムズの真理論を根拠に主張しています。

今回の振り返りでは・・・
「理解したいという気持ちが信じることの邪魔をしてしまうこと。」
「信じるためには信じる対象を理解する必要がある、という考えを捨てる必要があること」について取り上げました。
次回は電気の例を使い、理解できないものに依存して生活している私たちについてみていく予定です。

参考文献

AA(2003) 『アルコホーリクス・アノニマス』AA日本出版局訳 ,AA日本ゼネラルサービスオフィス
伊藤邦武(2016)『プラグマティズム入門』筑摩書房

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