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固定観念と神の考え
暑かった9月が終わり、朝晩涼しくなりました。僕は忙しくてバタバタしていましたが、大きな行事が終わりやっと鈴虫の音を楽しむ事ができるようになってきた今日この頃です。さてBBSGでは引き続き「第四章私たち不可知論者は」を読み進めています。
信仰を持つ人と持たない人との結果の違い
ミーティングの中でこんな質問を受けました。
「ここで書かれているのは普通の人と病んでいる人との対比なのか」
「信仰を持つ人と持たない人との関連はどう整理したら良いか」
それについて答え、内容に入っていきましょう。
前回でも取り上げましたが第四章の二番目のパート(71ページから80ページ)は神を信じるべき理由についての説明です。
そこでは信仰を持つ人と、持たない人との事実の対比が書かれています。
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図の下のある霊的領域とは人は目に見えない世界の存在を確信している人達の世界観、言い換えると自分を超えた何らかの力の存在を信じ、その力に頼り生きている人達の物の見方、考え方の世界の説明です。
74ページの「ここに何万人もの男女がいる。」で始まる段落はその世界観で生きるようになった人達に起こったことを説明しています。
ここに何万人もの男女がいる。ごくふつうの人間である。彼らはキッパリと言う。自分より偉大な力を信じるようになって、その力に対してある態度を取り、幾つかの簡単なことをするようになってから、生き方、考え方が、革命が起こったように変わったと。彼らは、何もかもが壊れ、望みを失い、人間の力ではどうにもならなくなった時に気づいた。新しい力と平和と幸せへの方向感覚が流れ込んできたことを。それは彼らがほんのわずかなことを、誠意をこめて始めたすぐあとに起こった。
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質問への答えを図にするとこんな感じです。「何もかも取り仕切りたがる役者」の説明は87ページにあります。信仰を持たない人は誰でも「自分の意思で突っ走ろうとする人生」を生きています。
76ページの「自分に問いかけてみよう。」から始まる8つの質問は「信仰を持たず(自分の事は自分で出来るという信念を持ち)生きてきた結果、今こうではありませんか。
それなのにあなたはまだ神などいないという固定観念にしがみつくのですか」と問いかけている、と考えて読むと信仰を持たない事の不合理性が理解できるのではないでしょうか。
自分に問いかけてみよう。この時代の特徴を、私たちが抱えている人生の問題にあてはめてみたらどうだろうか。そうすれば抵抗なくものの見方を変えられるのではないか、と。
私たちはいつも人間関係の問題を抱えていた。感情を思うようにできなかった。みじめさと落ち込みの餌食になっていた。生計を立てられなくなっていた。自分は役に立たない人間だと感じていた。恐れと不安でいっぱいだった。不幸だった。他の人が助けを必要とするときに助けになれなかった。
この苦しみを根本的に解決することこそが、月へ飛ぶニュースよりもずっと大切ではなかったか。
固定概念(fix idea)vs神の考え(god idea)
かつての不可知論者は「人に頼らないでも、能力さえあれば自分の問題は自分で解決できる」という考えを持っていました。
「だが神に頼ってやってみたらうまくいったという話」を聞き、神などいないという固定概念を自ら乗り越え、12ステップを通して霊的な経験をした結果、神の働きを確信するようになりました。
そのことを「私たちの考え」「神の考え」というワードを使い端的に表現しています。
私たちは宇宙の持つ霊的な力に素直に頼ることで、その人たちの問題が解決していくのを目にした。だから神の力を疑うわけにはいかなくなった。私たちの考えは役に立たなかったが、神の考えは見事に働いたのだ。
事実を根拠に役に立つ考え(真理)はどちらですかと問いかけているのです。事実を受け入れないのは非論理的ではないですかと。
受け入れるかどうかはその人しか決められません。
しかしアルコホリズムという病気の特質からいつまでも説得しているわけにもいきません。
78ページの冒頭からは読者に決断をせまる文章が続きます。
次回は論理の限界について取り上げる予定です。
関連リンク
参考文献
AA(2003) 『アルコホーリクス・アノニマス』AA日本出版局訳 ,AA日本ゼネラルサービスオフィス