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OM式型取り複製覚え書き その2 型取りを失敗しないための十の鉄則
長年の複製作業の経験から、得られた教訓がこちらです。
・シリコンケチらない、余裕ある配置を
・絶対アンダーゲート配置
・気泡対策に斜め配置
・原型はきちんと分割して、表面処理する
・薄すぎる原型は複製困難
・大きすぎる型はなるべく避けて、型を分ける
・離型剤塗り忘れない
・ダボ打ちを忘れない
・ベビーパウダー魔法の粉
・防毒マスクとゴム手袋必須
1 シリコンケチらない、余裕ある配置を
シリコンが値上がりしている昨今、非常に言いにくいのですが大事なことです。
節約しようとしてギリギリすぎるパーツ配置は、キャスト漏れたり、エア抜きを追加で掘る場所が無かったりとかえって苦労します。余裕ある型設計を心がけること。
個人的にはパーツの間は、1cm程度の間隔開けたいと思ってます。
また上下左右も1cmは余裕が欲しい所です。この余裕がないとキャストが漏れやすくなります。大きい型ほど下部の余裕を大きく取る必要があります。
2 絶対アンダーゲート配置
![](https://assets.st-note.com/img/1703124651769-8kwOIAiyp6.jpg?width=1200)
常圧注型ではアンダーゲートのパーツ配置がセオリーです。注型口から一旦下ってからパーツを経由して、湯口で抜ける形です。髪の毛とか、細かい所も適切に湯口を配置すればちゃんと抜けます。
パーツに直接注ぐトップゲート配置は、常圧注型では細かい所まで上手く流れないので要注意。
3 気泡対策に斜め配置
型の上辺とパーツ上面を、平行に配置しないこと。平行だとうまく気泡が抜けてくれません。
つまり斜めに傾けて配置するのが、気泡を減らすポイントです。
三角形のパーツを▽配置するのは×です。△配置して上の角に湯口を設ければ気泡を減らせます。
4 原型はきちんと分割して、表面処理する
原型の分割はなるべく逆テーパーになる部分を減らす事が重要です。シリコン型は柔軟性があるので、若干の逆テーパーなら無理がききますが限度があります。最悪シリコン型の破損につながります。
原型はきっちり表面処理するのが大事です。原型表面が荒いと型の寿命が短くなります。個人的には600番程度ぐらいで十分だと思います。
またデジタル出力品の場合、積層痕を表面処理で消すのが最重要です。積層痕が残っていると、あっという間に型に複製品が貼りつき型が逝きます。
5 薄すぎる原型は複製困難
スカートやマントなど、薄物パーツは薄くしすぎると、うまく複製出来ません。
紙みたいな薄さだと、シリコンが熱で少し膨張だけで、型が塞がってしまい穴あきの複製品の出来上がりです。
最低でも1mmの厚みを確保することが大事です。
最近はデジタル出力原型で攻めすぎてしまうケースを聞きますので、要注意。
6 大きすぎる型はなるべく避けて、型を分ける
A4サイズとかB4サイズの大きな型に、パーツをまとめて配置するは初心者にありがちです。
一見すると、一度にまとめて複製できて便利そうですが、当て木を
しないとまずキャストがだだ漏れますし、盛大なバリもできます。
特に夏場は、注型中に固まったり、抜けないパーツが出るのでお勧めしません。
そしてマントや後髪とか、原型の厚みのあるパーツは別の型にした方が結果的にシリコンを節約できます。
5cm厚のパーツと1cm厚のパーツを同じ型に配置したら、1cm厚パーツの分、差し引き4cm分のシリコンが余計に要ることになるのです。
また、髪の毛や手のひらなど、常圧で気泡が入りそうなパーツを別の型にするのもお勧めです。
気泡が入りやすいパーツと、問題なく抜けそうなパーツを同じ型にすると、成功率の違いで抜けやすいパーツが余剰に生産される結果になります。難易度の高そうなパーツは、分けた方がキャスト節約に繋がります。
7 離型剤塗り忘れない
シリコンの二面型作る時、A面シリコン硬化後にひっくり返して、B面にシリコン流す前に離型剤を塗る必要があります。これをうっかり塗り忘れると、シリコンが癒着してしまい白い大きな塊と化します。こうなるとカッターで切り込み入れて、型を割るしかありません。かなり致命的な失敗です。
なお離型剤は、シリコン型製作用とキャスト注型用の二種類があります。キャスト注型用のシリコンスプレーを、シリコン型製作時の離型剤に使っても効果ありませんので要注意です。
なお、クレオスの離型剤シリコンバリヤーは両方に使えるのでお勧めです。
8 ダボ打ちを忘れない
粘土埋めの最終段階で、ダボ穴を忘れずに入れるように。可能な限り、みっちりと粘土の隙間に、ダボ打ちすること。
ダボが入っていない型は、型ずれしやすく、複製品のパーティングラインが酷いことになります。
9 ベビーパウダー魔法の粉
気泡が入りそうな所に、あらかじめベビーパウダーを筆などで軽くまぶしてから、キャスト流すと気泡が改善します。1つ手元にあると非常に便利な魔法のアイテムです。夏場の季節商品なので、夏場に買うことをお勧めします。
10 防毒マスクとゴム手袋必須
健康のために、有機溶剤対応のちゃんとした防毒マスクを必ず付けましょう。定期的に吸気缶を取り替えるの大事です。
ゴム手袋を忘れずに。私は台所用のゴム手袋使ってます。
眼鏡かけていない人は、ゴーグルも。キャスト注いだ型をトントン叩いて気泡抜いていると、意外とレジンの飛沫が飛びます。レジンが目に入った事案は聞いたことがあります。
肌が荒れる場合は、ハンドクリームなどをあらかじめ露出しているところに塗るといいです。