見出し画像

素材・造形 〜真空成型のイロハ大公開編〜

真空成型…これまた初めて聞く言葉で…。字面からなんとなく「空気を抜くんだろうな」とは思ったが。
果たしてこの真空成型、どんな技術で何を作るのか、どんな道具を使うのか。ここで解き明かしていこうと思う。



1.真空成型ってなんだ?

真空成型(Vacuum Forming)とは、簡単に言うと、
熱に強い薄い素材の板を熱して軟らかくし、原型に密着させて成型する技術
のことである。うーん、いまいちピンとこない。

この技術は我々の身近なモノにも使われているそうだ。例えば、卵のケース、コンビニ弁当のプレート、自動車のメーター類やダッシュボードのインバネなど多岐に渡る。

では、この技術は何でどのように行うのか、解説していこう。


2.真空成型ってどうやるの?

 今回、実際にやってみて、大切なポイントがいくつかあったので、そこも紹介しながら解説していく。今回使うのは、ヘッダーにある大きい機械…ではなく、先生お手製のミニ真空成型機を使った。(手作り感満載で私は好き)

(1)必要な材料

・熱に強く薄い素材の板……PET板(ドライポイント板とも言う)
・原型……バルサ材、石膏、樹脂、金属など強度が高く熱に強いもの
     (スポンジ、紙粘土、段ボールなどは強度が低いためNG)

(2)手順

①原型を作る

 原型作りは、自分の作りたい形を成型するためにも重要な作業である。今回は、木材の中でも軽く柔らかい素材で加工しやすく、強度も強いことが特徴のバルサ材を使って原型を作成。

カッターやヤスリを使い、かまぼこ型に整えた。

 原型を作る上で注意点がいくつかある。
・PET板から取り外せる形にする
 原型に密着させて形を作るため、取り外せないと意味がない。図のように、下にすぼまっていたり、側面に凹みがあると、原型が取り出せなくなってしまう。また、高さがありすぎるとPET板が下部まで密着しないため注意が必要だ。

・空気の抜け道を作る
 PET板を上から原型に被せた後、下から空気を抜いて密着させなければならない。しかし、原型の上部に凹みがあると、その部分の空気の抜け道がなく、原型に密着しない。そのため、凹み部分に隙間を作ることで、空気が抜け、しっかりと密着する。

②PET板を温める

 PET板を温めて軟らかくする工程。ここでのポイントは、一部分だけを集中して温めるのではなく、全体に熱が行き渡るようにすること。熱しすぎてしまうと、PET板が白く変色してしまうので要注意だ。(私はやりました)

お分かりいただけるだろうか…赤マルの部分が白くなっていることが…。

③原型にPET板を被せる

 熱して軟らかくなったPET板を原型の上に被せて押さえる。結構熱いので注意しよう。

④空気を抜く

 真空状態にするため、下から一気に空気を抜く。PET板がしっかり軟らかくなっていないと密着が甘くなってしまうので、②の工程を大切に。

これで真空成型の完成だ。

3.まとめ

 一つ一つの工程にポイントがあって、それらを丁寧にこなすことで、完成度が上がるというのが身に沁みてわかる…。何事も丁寧にやっていこう。マジで。


 

いいなと思ったら応援しよう!