【ペルソナ3リロード】エンディングにどうしても言いたいこと
どうも、つい最近ペルソナ3のリメイク版、「ペルソナ3リロード」をプレイしました。シリーズ初プレイだったこともあってゲームシステムは新鮮でしたし、キャラクターもそれぞれ魅力的で終盤までは非常に楽しめました。しかし、唯一エンディングに関してはどうしても納得が行かなかったので、何が納得できないのか、どうすべきだったと思うのかについて書いてみようと思います。共感してもらえるのか、そうでもないのか、とにかく読んでもらえると嬉しいです。
プレイ済の人向けの内容になりますので、ネタバレにご注意下さい。
改めて、私が何に納得できなかったのか、と言えば「ビターエンドにするのはいいが、雑すぎる」ということに尽きる。ゲーム全体の雰囲気からいっても、一切の犠牲を伴わないハッピーエンドになるとは思わないし、ほろ苦いくらいの結末で当然だとは思っている。ただ、そこに至るまでがあまりにも雑なのだ。
ニュクスを倒した後、卒業式の当日までは主人公以外の課外活動部のメンバーは影時間に関する記憶を失っているわけだが、その後唐突に記憶を取り戻す。まずこれがあまりに強引な展開だろう。一応、卒業式にみんなで集まると約束したという前振りはあった。だが、影時間が消滅すればペルソナ能力は失われ、それにまつわる記憶も保持できなくなるということはストーリーの中で何度も示されていた。にも関わらず、最終盤で大した説明もなく記憶が戻ったというのは流石にそれまでの設定を放り捨て過ぎていないだろうか。ここで仲間たちが記憶を失うということは、それまでの戦いで生まれた絆を失う、あるいはそれがひどく不確かなものになるということであり、絆の力を強調してきた世界観において大きな意味を持つはずだ。だからこそ、約束の日を迎えたのでなんとなく記憶が戻りました。ということをしてはいけないだろうと私は思う。そこで雑な展開を挟んでしまっては、それまでのシリアスな空気や設定が意味を失ってしまうからだ。
では、どうして欲しかったのかという話だが、私は「記憶は失ったままで、かつ未来への希望を残すような終わり方」が良かったのではないかと考えている。例えば、記憶は失われてしまったけれど、これから先でもう一度絆を結べる可能性はある、とか。コミュの登場人物それぞれが、主人公との記憶をなくしているけれど、辛いときに自分を助けてくれた「誰か」がいたことはぼんやり覚えていて、はっきりとは思い出せなくても絆が完全に消えたわけではないとかそういった具合に。そうすれば、失ったものはあれど、勝ち取った未来を生きていこう、という程よい余白のある結末になったのではないだろうか。どうしても主人公を独りにしたくないなら、記憶を取り戻すのを、特殊な存在であるアイギスだけに留めるとか、やりようはあるだろうに全員があっさり全てを思い出すというのは明らかにやりすぎだ。
話を実際のストーリーに戻して、もうひとつ腑に落ちない点がある。それは主人公の死の唐突さだ。(描写としては主人公の生死はぼかされてはいるが、後日談の存在を踏まえてここでは主人公の死を前提とする。)
私は滅びから世界を救うという奇跡に対して何の対価もないままハッピーエンドを迎えるのは流石に説得力がないと思っている。だからこそ、失われるのはそれまでに出会った人々との記憶、ひいては絆ということで十分に釣り合いが取れるはずだ。にも関わらず、突如としてそれを帳消しにし、なぜ主人公を死なせる必要があるのか、これが本当に理解できない。これは単に主人公が救われないとか、死んでしまって可哀相だとかの感情的な話ではない。物語上、主人公を死なせる必要性が見当たらないという話だ。ニュクスを封印する鍵となったのはそれまでにプレイヤーが積み上げてきた課外活動部やその他のコミュの人たちとの絆の力である。長い時間をかけて積み上げてきたものを犠牲にするからこそ、とんでもないボスを封印する展開に説得力とカタルシスが生まれるのであり、ゲームの世界に入り込むにはそれで十分なはずだ。さらに主人公から命まで取り上げる必要がどこにあるのだろうか。各コミュの人たちの立場で考えてみても、自分を支えてくれた相手がなにやらよく分からない事情で突然他界しました。なんてことになれば納得できるはずがない。そればかりか、それまでのコミュエピソードが心に傷を残すことにしかならず、はっきり言って台無しだろう。だからこそ、安易に命を失うという感動風の結末にするのではなく、もっと丁寧に物語を畳めなかったのかと思えてならない。ニュクスの封印からの二ヶ月間をなぜか生きていられた理由も特に説明がなく、精神力とか約束を守りたかったからとかそういった解釈をせざるを得ない点もやはり、あまりに雑という他ない。「大切なものを失い、失ったことにさえ気付かれないまま世界を救った影の英雄」ということで主人公の物語は成立させられるのに「大切なものはお返しします!ただし、あなたは死にます!」という理不尽を見せつけられても納得のしようがなく、一見感動しそうなだけの雑な結末、以上の意味は感じられない。これを称賛することは私にはできなかった。途中まで楽しかっただけに、なんとか褒めて終わりたいという気持ちもあったのだが、「最後の最後でやってしまったなぁ」というのが精一杯だ。一応、主人公の生死がぼかされていることだけが救いと言えなくはないのだが、、。
感想は以上ですが、最後に一つだけ。
DLCで後日談があることは知っているのですが、せっかくぼかした結末を確定させる続編を作ること自体がナンセンスだと思っているので、プレイ予定はありません。私のなかでは主人公は生きているってことにしておこうかな。それはそれでハッピーエンド過ぎて軽くなってしまうのだけれど、、。