恋愛と友情-『告白撃』を読んで-
こんにちは。
こんばんは。
なつめぐです。
今回は久しぶりすぎる投稿ですが、折角なのでこれまた久しぶりに読んだ本を紹介しようと思います。
住野よる『告白撃』
住野よるさんが5月に出した新刊です。5月にゲットはしてたのですが、なかなか読む時間が取れず今に至った訳なのです。
「親友に告白されたい。そして、失恋させたい。」
これを見た時はだいぶビックリしましたよ。え、どゆこと?って頭の中パニック(笑)でも、一目見てすっごく惹かれました。説明出来るほどの語彙力はないけれど、住野よるさんがまた何かやったなってそんな気が。(笑)
※これから先はネタバレを含みます。
本編入る前に一言だけ。
表紙がふすいさんなのほんと嬉しすぎる。住野よる作品×ふすいイラストの組み合わせは最高に大好き。ありがとう(涙)
あらすじ
30歳を目前に控えた千鶴は、近々結婚が決まっていた。その報告を友人の果凛に伝えると同時にとある作戦を実行する手伝いをしてくれないかとの相談を持ちかけた。その“作戦”というのが、親友の響貴に告白させて、失恋させたい、という告白大作戦。
大学時代の友人達を巻き込み、旅行に行ったり飲みに行ったりしたり、2人きりでいいムードを作ってみたりしてもなかなか響貴は告白してこない。
そして、千鶴の30歳の誕生日、友人達の千鶴と響貴をくっつける策略を仕込みつつ、友人一人一人とのお祝いデートを楽しむ。しかし、その策略は失敗に終わり、千鶴は今の彼との結婚をみんなに報告することで揺らぐ余地はないと断言する。
とうとう開かれた千鶴の結婚式。千鶴が最後に響貴に向けて仕込んだ策略は響貴に届いた。それから響貴と音信不通になるが、千鶴の引越しの日果凛の手助けのもと響貴は千鶴に告白する。そして、きちんと心からのお祝いを口にした。
そんな30歳の恋愛模様を描いた青春“再始動”小説。
感想
「親友に告白されたい。そして、失恋させたい。」
これを軸に読み進めていった私にとって、最後の結末が二つ考えられると思ったんです。
ひとつが千鶴の結婚はそのまま執り行われ、響貴が恋情を向けていることに気付かないフリをしていること。
そしてもうひとつが千鶴が結婚式を執り辞めて響貴と一緒になること。
千鶴もきっと心のどこかで響貴を「親友」としてじゃなくて、「好きな人」として見てるんじゃないかってそう思ってました。
そう思った場面として、千鶴とその婚約者との食事会に大学時代の友人の女性メンバーが行った際に華生がムカついて一軒目だけで帰ったという場面がある。写真を見た時は気づかなかったってのを聞いて、あぁ顔とか雰囲気とか響貴に似てるのだろうな、そう思ったから。
でも、読んでいけば読んでくほどに、千鶴のまっすぐさとかロマンチスト心とかには芯があるのだと感じました。千鶴の好きなバンド「a flood of circle」が千鶴の性格やその中の芯を形作る全てと言っても過言じゃないくらいなんだって。
自分が信じた道をまっすぐに。千鶴にとっての恋愛とは、告白がスタート地点でそれ以外では考えない。それが千鶴らしい千鶴なんだって思った。なんだそれって感じかもしれないけど、私はそう思った。
もしも、響貴がもっと早く千鶴に告白していたら、2人が結婚する未来もあったのかもしれない。それでも、現実は響貴が告白しなかった。それが全てなんだと思う。
30歳なのに、というのはおかしな表現かもしれないが、幾つになっても恋愛というのは曖昧で難しくて、でも単純なんだって感じた。そんなお話だと思った。
どうか、千鶴も響貴も果凛も舞も華生も大賀さんもみんなが幸せに笑い合っていればいいと思う。たまには、大学生ノリで飲んだくれてふざけ合う、そんな日がくればいいと思う。
きっとそうなることを信じさせてくれるお話だったと感じました。
それじゃあ、この辺で。
またいつか。
書誌情報
著者名:住野よる
タイトル:告白撃
出版社:KADOKAWA
出版年:2024年