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ニューヨークむかしばなし#1

JFKに到着したその日は土砂降りの雨だった。

日本の空港で家族や友人に見送ってもらった時はなんとか笑顔を作ることができた。
が、飛行機に乗ると涙が止まらず。NYの空はまさに私の気持ちそのものであった。

さぁ、これから何が起きるのか。
出足は…よろしくなかった。
まず、雨。
そして、コンドミニアムの従業員組合のストライキ。私が住む場所も同様で、入居は不可能。

という訳で、勤務先の同僚になる予定の、会ったことのない女性の住むコンドミニアムに、JFKから直行した。

そのコンドミニアムは大変に高級で、さらに、彼女の父親が購入したという部屋は豪華且つ広大。さらに、さらに、彼女自身が大変に美しく、スタイリッシュ。それまでに会った事の無いタイプ。
緊張!
が、とてもフレンドリーに接してくれ、JFKを出てから初めてホッとしたのであった。

とは言え、自己紹介を終えると話題はない。ほどなくして、オフィスに行ってみようということになった。
オフィスはミッドタウンの素敵なビルの一室にあり、スタッフはアメリカ人と日本人の混合。
挨拶を済ませて帰ろうとしたところ、お茶目そうなデカいアメリカ人が、しばらく電話番してよー、と言ってきた。

まさに私の、なんだかいつも忙しい会社員人生、を象徴するNY滞在初日であった。

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