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2月の15日【ショートショート】

日本には24節気72候がある。

小寒、大寒、立春などが24節気。
それをさらに3等分にしたのが72候。
今日、2月15日は、立春の末候である魚上氷である。
意味としては、魚が氷の間から姿を見せる、という意味だ。
さて、魚上氷の期間が始まる日を知っているだろうか。
実は魚上氷は大まかにいうと2月14日から始まる。そう、哀れ、2月15日は72候の始まりの日すらヴァレンタインデイに取られたわけである。何という悲劇。

しかし、2月15日は実はいろいろな意味を持つ日であったりする。
「春一番名付けの日」は2月15日であるし、仏教的に大きな意味を持つ「涅槃会(ねはんえ)」の日であったりもする。
釈迦の前世は、魚の王だったと言われる。
涅槃会は釈迦の命日。
氷に閉ざされた海で、仲間が続々と死んでいくなか越冬し、やっと割れた氷の間から顔を出す魚。
それを祝福するかのように、春一番が吹き抜ける。
どうか、この光景を美しいと言ってほしい。
そしたら2月15日も、浮かばれるというものであろう。

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