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朗読劇「少年探偵団‐化人幻戯‐」9月5日公演分レポ

全9公演に渡って上演される朗読劇「少年探偵団-化人幻戯-」の4公演目となる木曜公演に行ってきました

火曜の初回公演は既に見ていて別記事で大まかな部分については纏めているので今回は主に木曜公演の火曜公演との違いが中心です
※追記:書き終えたらなんか前回書き忘れたことの方がべらぼうに多いんじゃが……

↑シナリオ+火曜公演の演者さんについて触れた前回のnote

今回はパンフ+台本買えた✌

以下ネタバレあり




















前回書き忘れてたところ

・兼役活かした演出に「大河原=怪人二十面相」を挙げたがそれよりもっと大きい
芳雄を締め上げる由美子を救いに来た小林少年」のシーンあったね……
・「壇上に上がる≒出番がある≒第三者がいる」という図式が成り立ってしまうため
あのシーンでは他の2人(明智役・乱歩役)がマイク前にいてはならない
そこの緊張感を削がずに展開が急転する瞬間を描写するのに由美子役=小林少年役にしているのは前回も今回も思わず唸った

・似たように先の展開を隠す使い方としては小林芳雄が日記を覗き見るシーン
・あれも最初からマイク前に全員立つことで「途中で部屋の中に誰か入ってくるかどうか」という緊張感を保っていたように思える
・舞台の都合で展開が読めるというデメリットを回避しつつ演者の負担を軽減している秀逸な手段

・あと立ち位置変わるごとにマイクの高さ調整してるのすごいよね
・立ち位置の入れ替わりどうやって覚えるんだろ……
→買った台本見たら「男3→椅子Fへ移動みたいな感じで書いてありました
 立ち位置さえ覚えていれば一応台本見て分かるようになっている模様

・そういえば「明智小五郎は年を取っても、小林少年はいつまでも美しい少年のままですか……」という台詞、
原作が現実世界でも時間が空いた後の新作で明智はちゃんと年を取って50歳過ぎたのに小林少年は少年のままというツッコミどころがあったのをイジったネタ?
※原作では庄司と小林少年は同一人物ではない

・由美子のラストの「警察はまだかしら、こういう時にはトランプが~」という台詞
・原作だと犯罪を暴かれ敗北した後の発言(ただその口調には強がりや負け惜しみは無かったそう)らしい
・一方今作の場合第四の殺人を完遂して警察を待つ間の発言なのでだいぶニュアンスが変わってくる
・ただしどちらにしても犯罪への後悔逮捕されることへの抵抗感は一切無いので根本的に価値観が違う存在ということはよく分かる

・2月の朗読劇(怪人二十面相-暗黒星-)見た人から聞いたんだけど、
今作の小林芳雄(初代)って暗黒星で女性が演じてたポジションの小林少年と同一人物だったんだね……
・言うなれば前作のメインキャラクターに暗いバックグラウンド付与されて主役と仲違いしてたっていう
・特に土屋李央さんは前作から続投しているので
前作の演者のキャラから堕落していく姿を責められるっていうことになっていた訳で
・それを踏まえると「これ以上ダメになっていくあなたを見ていられない」「私達が憧れた小林芳雄に戻って」ってセリフの重みが全然変わってくるな……

・あと時代を感じたのがポケット小僧の飲酒がサラッと語られたり(おまけに常習っぽい)
「バカかき……いか」とか「き……いに対抗するにはこちらもき……いにならなくてはね」ってセリフあるところ
配信ありではまず出来なさそう

小林芳雄/庄司武彦(演:村瀬歩さん)

・重松さんの演技が大人達への猜疑心・やり場が無く燻り続ける怒りだとしたら村瀬さんの演技は自分のことにすら無沈着な生きた亡霊って感じで感情の起伏が乏しいようで風前の灯火という印象を受けた
・重松さんの演技が死に場所を求めているのなら村瀬さんの演技は生きようとしていない感じだった
・あと重松さんの時もそうだったんだけど過去の回想(月のシーンだっけ)で一瞬で少年声に出来るのすごい

大河原義明/怪人二十面相(演:阿部敦さん)

・阿部さんって主人公声のイメージ(今回も若者の村越の演技の時にそれっぽさはあった)なんだけどうわ!何この胡散臭さ!
・直近自身の番組で普通にフリートークしてる姿見てたのでそこともギャップすごかった
・終盤の怪人二十面相としての姿を現しつつも復讐しようとする小林少年を止めるところに戦争を経て価値観の変化したことで芽生えた責任感と情が見えた
かつての宿敵に対して「未来を担う君達の世代で憎しみの連鎖を断ち切らなければならない」と言えるのすごいよな……
・あと正体を見抜かれたこと、奥さんがじゃじゃ馬だったことに少なからずショックを受けてそうな人間らしい印象も阿部さんの演技から感じられた

大河原由美子(演:幸村恵理さん)

・本性現す前の演技では土屋さんは可憐って感じの印象だったんだけど、
幸村さんの場合は落ち着き払った淑女っぽい印象だった
・原作の社交性があるって部分にフォーカスした感じ
・日記の文中で庄司武彦との初対面の印象を
「まだまだ子どものように見えた」
と記述していた(ここの部分は本音なんだろう)が、
幸村さんの演技だと大人っぽさに振っているので自分を許容してくれる存在を
求める芳雄
にとってはクリティカルヒットする存在だったことへの説得力に繋がっている
・防空壕のシーンでは段々とボルテージが上がり熱が入ってくる感じのアプローチ
本当に痛めつけるのが楽しくてたまらない異常性が表現されていた
・このシーンの目の使い方が特にすごかった、「目は口ほどに物を言う」とは言うが朗読劇という媒体で語りと目つきのみでもってあの場を支配していたようにすら思える
・明智と対峙した時の少女のような態度での受け答えが平時の淑女らしさとのギャップでゾッとさせられた
・当然この時の少女らしさは少年探偵団のマユミのそれとは全く異なる演じ分けが成されている

明智小五郎(演:山中真尋さん)

・2月でも演じられていたそうだが若明智はたしかにめちゃくちゃハマりそうだな〜という声質
・というか前作が12年前くらいならばちょうど当時の明智と同い年くらい?
線の細そうで物腰柔らかい部分にフォーカスが当てられている印象、
だけど激するところは熱くといった緩急のバランスが絶妙だった
・結構声質が高橋さんの時と似てるな〜ってなるところあった
・先にセリフ知ってたのもあるんだろうけど「き……いに対抗するにはこちらもき……いにならなくてはね」のところで地の文にある通りクシャッといたずらっぽい笑みを浮かべるのが上手かった

少年探偵団(演:幸村恵理さん)

・ここの三人が一番演者さんに振り幅を委ねられているのかな〜って思った
・小林少年二代目が凛々しい感じなのは共通だが
マユミは結構比較的声高めだった印象
・あとポケット小僧はほんとに人によって全然バラバラになりそうだな〜って他の回の感想見てても思う
・(終盤の由美子もそうだけど)マユミの詰る時の演技楽しそう

火曜公演で見た内容の重たさに身構えて観に行きましたが展開を知った上で観ると
「次のシーンでこの人だとどういう演技をするんだろう?」とか
どんなアレンジを入れてくるんだろう?」とか
「ここの伏線でどう語調や表情で含みを持たせるんだろう?」なんて
初見とは違う見方が出来て怖いもの見たさというか
坂を登っている最中のジェットコースター」的な楽しみ方も出来ました(趣味悪)

まだ5公演残っているのでリピートもオススメできます

やはり防空壕に入ってからの皆さんの演技がクライマックスであり見所でもあるのであそこの部分は苦しいながらももう一度見たくなる場面
千秋楽でもある日曜夜の部も心して見てこようかと思います


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