ケン・ローチ監督、サム・ウェルズ司祭らのHere I Standレクチャー
アドベントに入る前までのこの秋、月曜の夕方7時から、St Martin in the Fieldsではレクチャーシリーズが開かれている。そのシリーズ名が 'Here I Stand' 「我、ここに立つ」で、これは宗教改革者マルティン・ルターが教会の権威者たちを前にして放った有名な言葉だ。
9月の分は、まだロンドンに着いたばかりのごたごたの中だったので、出たいレクチャーもあったが逃してしまった。以下は、これまで出ることのできたレクチャーの記録。
10月16日は、ゲストがケン・ローチ監督!チケットは売り切れになったという。日本でも私の業界で知らない人はいない、社会福祉学専攻の人ならば必ず観なければならない映画 I, Daniel Blakeの監督だ。もちろんすべての方におすすめです!
ローチ監督がゲストで呼ばれたのは、今年の秋にThe Old Oakという、移民問題を扱った新作が公開されたことも関係しているかもしれない。ちなみに指導教授C、「教え子がこの作品の看護師役でちょっとだけ出てるんよ」と嬉しそうに話してくれた。
80歳を超えるケンは小柄で、レクチャーが始まるまで壇上で大人しく開始を待っていた。だけどレクチャーがはじまったとたん、ものすごい迫力。私を含め、聴衆は瞬く間に彼の話に惹きつけられた。レクチャー後は、地下のカフェで談話タイム。できればケンに直接、以下のつぶやき(とくに二つ目)を伝えたかったけど、やはり大スターだからね。常に人だかりが。こんな写真が撮れたのは、その場でともに談笑していたおじさまが、パシャッと撮影してくれたから。
10月30日、ここの教会のサム・ウェルズ司祭のレクチャー'Here I Stand: with God'(我ここに立つ、神と共に)。会場に来ている人だけでも200人くらい、ウェブ中継で視聴している人をいれると300人以上の人が聴いているとのこと。普段の礼拝でも、私はサムの説教を何回か聴いていて、この方はすごいぞ、ご著書を読みたいけど46冊も出版されている中、何から読めば…とぐずぐずしているうちに、レクチャーの日を迎えることになった。サムはキリスト教倫理を専門とし、ロンドンのキングスカレッジで客員教授も務めている。
何がすごかったか。一言では言い難いけれども、その日、その場で配られたアンケート用紙に記入したのは、思い出す限り確かこんなことだったと。「レクチャーを拝聴し、大変心地よかったです。日本からきた一クリスチャンとして、あなたのスタンスは、私が長年親しんできたキリスト教のあり方にとても近いものを感じたからです」
やはりレクチャー後の地下で、販売していた本の中から一番しっくりくるのを選んで購入し、あちらでサムが購入者へのサインのため控えているよ、というところまで行った。
サムの本は通学の電車の中で読んでいるので、まだ序章を読み終えかけたところにすぎない。いやもうすごいんですけど、フィット感が。たとえば、連れ合いの本の中で言及されている恩師エドウィン・ルイスの、「チェスプレイヤーとしての神」にみられるような、ブリテンの伝統的な哲学、神学の伝統を、しっかり引き継いでいる印象を受ける。だって、本のタイトルからしてそうではないですか。
とくに聖公会出版、まだ翻訳していないなら、ぜひ翻訳を出すべきですよ!
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