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GIF付き源氏物語 須磨④春 それぞれとの別れ…花散里



しみじみと語り合って、帥宮たちが帰った。

≪ 麗景殿女御と花散里 の邸 ≫

花散里の方から心細げに頻繁に文が来るのは無理からぬことでもあるので、
面倒で気が進まないが、そちらの方にも、夜更けてから出掛けた。

🌷麗景殿女御

👩🏻‍🦳
まず麗景殿女御に御挨拶すると、「私などにこんな風にお気遣いくださって」と、辟易するほどに感謝なさる。

≪ 花散里と麗景殿女御 ≫

源氏は、自分の援助で何とか過ごして来られた心細い日々を思うにつけ、自分がいなくなったら、この邸はどんなに荒れてしまうかと思い遣られる。

≪ いとど荒れまさらむほど思しやられて 殿の内 いとかすかなり ≫

邸内はひっそりとしている。
春らしい朧の月が昇ると、広い池と築山の木々の影が暗く照らし出されて、その寂しい風景を見るにつけ、自分のこれからの田舎暮らしの心細さが思い遣られる。

≪  月おぼろにさし出でて 池広く 山木深きわたり 心細げに見ゆるにも
住み離れたらむ巌のなか 思しやらる ≫

🌷花散里

👩🏻
西面の花散里は、お渡りのある筈もないと塞ぎ込んでいたのが、
月光がひっそりと降り注ぐ中、源氏の薫物に気付いて、少しいざり出る
身じろぎの度に芳しく匂い立って知らせる、この高貴な客のいつもの先触れである。

そのまま二人でしんみりと月を見ながら語り合っていると、夜更けての訪問であったから、すぐに明け方近くなってしまう。

≪ すこしゐざり出でて やがて月を見ておはす またここに御物語のほどに 明け方近うなりにけり ≫
≪ すこしゐざり出でて やがて月を見ておはす またここに御物語のほどに 明け方近うなりにけり ≫
≪ すこしゐざり出でて やがて月を見ておはす またここに御物語のほどに 明け方近うなりにけり ≫

🧑🏻‍🦱✨
「短い夜ですね」
「もうこんな風に逢えることもないのかもしれない」「逢える時に逢っておかなかったことが悔やまれますよ」「このように後々の語り草になろうほどの不遇の身の上だもの、これからも心の休まることなどない私の宿命なのでしょうね」
来し方の話などしているうちに、鶏も繫く鳴くので、人目を憚って急いで出て行かなければならない。

≪ 過ぎにし方のことども のたまひて 鶏もしばしば鳴けば 世につつみて 急ぎ出でたまふ ≫


🍵すずめたちの噂話

  😮花散里さんとの閨事はなかった、的な?
  😮書いてないところは、ご想像にお任せします、的な?
  🤪😃🫣きゃっ!想像しちゃう~~!
  🤫そもそも、『逢いたいわけでもないけど、行かないと気の毒だから行った』って書いてなかった?
  😮『だけど、めんどくさいからだいぶ夜更けてから行った』とも書いてあったんじゃない?
  🤔かの人も 今ひとたび見ずは つらしとや思はむ と思せば その夜は また出でたまふものから いともの憂くて いたう更かしておはしたれば
  🧐↑ 逢っとかないと悲しがるだろうと思って、花散里さんのところへも、帥宮さん達が帰ってから出掛けるんだけど、すっごく億劫だから、夜もだいぶ更けてから出掛けた、って…?
  🤔花散里さんには、愛、、というか、性的魅力はぜ~んぜん感じてなさそうなのよね。
  🤔でも、行ってあげないと気の毒だからって、無理して頑張って行くのよね。
  🤔生活の面倒をみてもらっていても、恋人の渡りがないということはだいぶ不名誉、みたいなことがあるのかしら。
  🤔よくわからないけれど、気持ちが冷めても、お義理ででも通って、物質的な援助を続ける、ということが、源氏の素晴らしい美点らしいのよね。
  😥親の庇護がなくなったら、父君が帝でいらしても野良犬に喰われちゃった姫君までいらっしゃるような時代らしいのよ。
  😮💦へえ!
  😮それを思えば、自分からは決して捨てない男って、夢のような理想の人だったのかもしれないわね。
  😮💦なるほどねえ!!
  😧とにかく、一旦繋がりのできた人には、とにかく、優しいのよね。見返りを求めないというか、ボランティア的というか。
  🤪口先だけかもしれないけれど、目の前の女性には優しくせずにはいられない人なのかしらねえ。
  😮😮😮へえ!!!
  😧花散里さんは、高貴なお生まれで、おっとりと優しい方だから、癒し系というか、源氏の方から逢いたくなることだってあったはずよ。
  😀25歳の、ほととぎすの時ね!

🌷濃紫の袖に月光

👩🏻
花散里は、源氏が去って行くことが月が沈んでいくことのように思えて、悲しくてたまらない。
深紫色の衣(濃き御衣)の袖に月光が白々と照り映えて、涙に濡れているように見える。

≪ 女君の濃き御衣に映りて げに 漏るる顔なれば ≫

 👩🏻➡️月影の宿れる袖は 狭くとも とめてぞ見ばや 飽かぬ光を
   「私の袖はこんなに狭うございますが、この袖にいつまでも、輝くあなた様の面影をとどめて、見ていたい」

🧑🏻‍🦱✨
悲しむ花散里の様子が気の毒で、源氏は足を止めて慰めてやることになる。
 ⬅️🧑🏻‍🦱行きめぐり つひにすむべき月影の しばし曇らん 空なながめそ
   「月は行きて戻り、やがて、月にかかる雲も晴れましょう」「私もここに住む(澄む、住む)ことになりましょう」「だから、悲しまないでいてください。朧夜に物思いなどしないでください」

≪ 行きめぐり つひに澄むべき月影の しばし曇らん空 な ながめそ ≫

   「思えば、人生とは儚いものです」「行末もわからずただ溢れて来る涙は心が暗くなりますね」

そんなことを言って、未明の薄闇の中に、出て行く。

≪ 思へば はかなしや ただ 知らぬ涙のみこそ 心を昏らすものなれ
などのたまひて 明けぐれのほどに出でたまひぬ≫


📌25歳の初夏に花散里を訪問 橘とほととぎす

Cf. note記事

Cf. youtube

                        眞斗通つぐ美

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