![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/98169419/rectangle_large_type_2_a5e08f6d047dff2e098ee893b893e72a.jpeg?width=1200)
私が闇に落ちるまでの人生
心太郎と申します。歳は40歳になります。
父は公務員で母は専業主婦で
一般家庭より少しは余裕がある家庭で
3人兄弟の末っ子で育ちました。
小学校3年の時にスラムダンクに憧れ
バスケットボールに打ち込みました。
中学、高校と選抜メンバーにも選んでいただきました。
小学校6年の時に
スケートボードも始めさせてもらいました。
高校まで部活漬けの毎日から解放される為に
大学進学を諦め社会人の道を選びました。
私の身勝手で世間知らずの思いから
就職したものの「楽しくない」
ただそんなくだらない理由でした。
それなりの企業だった事から
親にはかなり反対をされました。
最後は押し通した形で会社を辞め実家をでました。
この時は全てから解放された気分になり
初めて自由を手に入れた
そんな気分になった事を
今でも覚えています。
移り住んだのは
「大阪 ミナミ」
アメリカ村という場所があり
関西随一の古着屋、飲食店が立ち並ぶ繁華街です。
この当時は治安が悪く
服屋もお客さんをキャッチして
強引に服を売りつける
買わなければ黒人がいる店に回され
買うまで出れない等日常茶飯事でした。
しかしこの当時の私は刺激が欲しく
スケボーの雑誌に良く乗っていた店を尋ねました。
雑居ビルの3階
1階の中央にエレベーターがあり
薄暗い通路
1階には店が無く通路には座り込む人が数人
通る私に足を出し引っ掛けようとしてきました。
座り込む人の中にはビニール袋を口に当てて呼吸を
している人もいました。
温室育ちの私には恐怖を感じたのも覚えています。
引き返した方が良いのかと思いと
興奮が入り交じった感覚でした。
エレベーターで3階に着き
看板を探しました。
雑貨屋と服屋4店舗ぐらいがあり
私は看板を探しました。
1番奥の店舗だと分かり歩いていくと
一際賑やかな店。
笑い声が大音量の音楽と一緒に漏れてきました。
恐る恐る店を覗き込むと
何か競争してる様子で
笑い声と応援の声だとわかりました。
「いらっしゃませ」
私に気付いて声をかけてきてくれました。
「初めてのお客さんやね」
頷くことしか出来ませんでした。
夏だったので露出が多く
体にタトゥーがぎっしり入っている
人達が一斉にこっちを見てビックリしてしまったからです
2人は競争の途中で私に目も向けず
ひたすら食パンを食べていました。
「ごめんな」
「今水を飲まずに食パンの早食い競争してるねん」
この一言で
この街に来てからずっとしていた緊張が
ふっと消えました。
「気にしやんとゆっくり見てな」
「はい」
田舎ものの自分には全ての服がカッコ良く見え
それを着こなす店の人達が凄くカッコ良く見えました。
この当時はダボダボの服が流行っていて
その中でもアメリカンギャングをテーマにした
この店のコーディネートが雑誌に良く載っていました。
一人の店員の方が話して来てくれて
オススメの服をどんどん進めて来ました。
「スケボーするの??」
レジを打ち終わった店員の方に聞かれました。
「一応乗れる程度です。スケボーが好きで店に来ました」
やっと話が出来ました。
「良いね。少年!!」
「店が終わったら滑りに行く?」
「格好がダサいな。安くしといたるわ」
「食パン食べる」
凄くアットホームな人達で緊張もとけ
今までに無い意心地の良さも感じました。
見た目と違い凄く優しい人達でした。
その日、店が終わるまで私が来た理由や
私の身の話等をしたり楽しい時間が過ぎました。
閉店後スタッフ、お客さん、別の店の店員
8人ぐらいでスケボーを日付が変わるまで楽しみました。
一人ずつ時間が経つにつれ減っていき
最後まで居てる私に一人の方が
「今日はどうするん?」
「終電も無いし帰られへんやろ?」
「……はい」
「OK!クラブ行こう。俺が遊び方教えたろ」
「俺、こうへい」
「心太郎です」
クラブ。
一度行ってみたいと思ってたけど真っ先に危ない場所
先入観がありいつか行けたらと思っていた私には
最高のタイミングでした。
二つ返事で連れて行ってもらうことにしました。
「好きなジャンルは?」
「レゲエが好きです」
「良いねー。俺も好きやねん!」
今と違い当時はレゲエと言っても
認知度は低く
CDは少なくカセットテープとレコードが主流でした。
凄いレゲエのDJが今日やってるからと言われ
クラブに到着しました。
当時勝手なイメージでレゲエはお酒を飲みながら
ゆっくりまったりしている雰囲気だと思っていました。
クラブの中に入ると大音量に合わせて拳を突き上げ
ライターに火を付け揺れている。
鳥肌がたちました……
かっこいい
呆然として立ってる私の方をトントンと叩き
「お酒飲める?」
少しだけと分かるジェスチャーで合図をしました。
もう一度肩をポンポンと叩かれ奥にあるカウンターを指で指し人を縫うようにカウンターへ歩いて行きました。
知り合いなのか常連なのか
女性のスタッフと楽しそうに話し出し
「スミノフでいい?」
良く分からず頷きました。
瓶からカップに注がれ出てきました。
音楽を聴きカウンターでお酒を飲む。
この行為だけで私のテンションは爆上がり。
何故こんなに優しくされるのか?
不思議になり尋ねると
「同郷やからな」
そんな事で!っと思いましたが
正直有難く楽しさが勝っていた気持ちを覚えています。
酔いも回り音楽にしたり朝まで色んな話をしました。
時間が一瞬に過ぎ朝方になり閉店の時間
こうへいさんと別れ
私はしばらく余韻に浸っていました。
こんなに楽しい日を毎日味わいたい。
その気持ちから私は不動産に駆け込みました。
寝れたらいい。
安さ重視。
物件は意外とすぐに見つかりました。
場所はミナミエリア
日本橋。
しかし契約が出来ず断念しました。
家は諦め仕事を探そう。
そう思ってとりあえずコンビニに煙草を買いに
入り雑誌の表紙に目が止まりました。
(寮完備)
「これや」
仕事は案内所
(キャバクラ、ホスト、風俗
夜のお店全て案内します。)
雑誌買いすぐに電話をかけました。
……
出ない。
当たり前です
夜のお仕事ですから
また夜から電話をしようと思い
昨日の服屋がOPENするまで
時間を潰しOPENと同時に店に入りました。
昨日より楽しく会話をし昼ごはんを食べ
この時はほんとに楽しかった思い出です。
夜になり案内所に電話をかけ直しました。
ワンコールが終わる位に
「ありがとうございます。〇〇案内所です」
甲高く大きい男性の声に一瞬驚き
「雑誌でアルバイトの募集の記事を見ました」
「バイトの応募やね。今から店来れる?」
「はい」
「持ち物は身分証。お願いね。」
「はい。よろしくお願いします。」
電話を切ると
服屋のみんなから良かったと声をかけてもらい
まだ面接もしていないのに
これでミナミに住めると思い
凄く嬉しくて
面接の場所を教えてもらい
走って面接の店に向かいました。
ただこの選択が
私と覚醒剤を出会わせ
嫁と出会わせたきっかけになりました。