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運び屋

3日のクールでモーラス信号が発信されて
最近はそのクールの時はフラフラになるまで酒を
飲みにBARに通いました。
寝入りは良いのですが昼過ぎにはやはり目が覚めます。
2DKで家賃は7万
立地条件を考えれば格安の物件
早々、引越しする気ありませんでした。
注意しにいく勇気も無く我慢するしかありませんでしが
ヤクザ屋さんとは
ほぼ出会いませんし
我慢出来る範囲だとおもっていました。

この日も、いつも通りに出勤
ビルの外も掃除したり
女の子からも挨拶してくれたり
私自身充実感を感じていました。

携帯がなり案内所の方に店に来るように言われ
掃除を辞めて急いで案内所まで
向かいました。
案内所もOPEN前で
シャッターの隙間から店内に入りました。

「おはようございます」
「悪いな。しん」
「いえ。大丈夫です」

ん??案内所の人ともう1人いる様な
出てきたのは案内所の人だけで
手にはコンビニの袋

「しん。悪いねんけど仕事終わってからお前のマンションの506号室にこの袋持っていったってくれ」
「えぇーはい。終わってからで良いんですか?」
「終わってからや。それまでお前がもっててくれ」
「分かりました」

この頃には案内所の人への
忠誠心と言うか信用と言うか
私の中にはあり
疑う事は無かったです。
袋を渡され私は喫茶に戻りました。

仕事が終わりコンビニ袋を忘れずにもち
ビルの外へ
そこに案内所の人が待っていました。

「しん。袋を渡したら相手からお金を渡される」
「はい」
「そのお金をまた、案内所に届けてくれ」
「あぁ〜……分かりました」

正直、面倒くさって思いしかありませんでした。
コンビニ袋はスカスカで軽く
入ってるのかも分からない程でした。
別に中身が興味無い事も無かったのですが
良いものでは無いことは分かっていたので
見ないようにしていました。
隙間からまるでガムのゴミみたいな
銀紙で巻いた様な固形物が何個かコロコロ。

言われた部屋506号室に着きインターホンを
鳴らしました。
風呂上がりなのか濡れた髪に上半身裸の男性が
出てきました。

「案内所の人から言われ届けに来ました」
「ありがとう」

そう挨拶を交わし私は袋を渡しました。
それと引き換えに現金1万8000円を
渡されドアを閉められました。

お金を財布に入れ
案内所に戻りました。

「お疲れ様です」
「おつかれ」

出てきた案内所の人に
渡されたお金を渡しました。

「ご苦労さん。気持ちや」

そう言われ1,000円渡されました。

朝ごはん食べに行こう。
そんな軽い気持ちでした。
それから頻度が増え
違う部屋にも届け
多い時には3件届けに行くこともありました。

そんな時、案内所に呼ばれ行ってみると
耳に無数のピアス、首元に刺青がチラホラと見え
雰囲気は一般人では無いことはわかりました。

「兄ちゃんが運んでくれてるんやてな。助かっとるわ」
「あっ……はい」
「ほんでな。今日はお願いをしに来たんやけど」

「な、な、ななんですか?」

「マンション以外の所にも荷物運んでくれへんか?
勿論、仕事でや。今まで1,000円で運んでたのを
売上の15%渡す。どや?」

断ったらどうなる?分からないけど
ただで済むとは思えない。
えっ……なんでこんな事になってんねん。
すごい窮地!!

「いいんですが……何を運んでるんでしょうか?」

「聞くか?聞いたらもう断れへんぞ」

ドスの効いた声に唾を飲み込み、だいたいの想像もついてはいたけど確信が欲しいと
自分の好奇心が邪魔をしました。

「はい」

「ドラックや」

Vシネマなどが好きだったのもあり
やはりか……と思いました。

「念の為ですが、見つかると捕まりますよね?」
「当たり前や」

凄く大きな声で爆笑されました。

「お前の事は色々聞いとる。何事にも動じへんてな」

いやいや……断れへんかっただけです…

「肝が座ってるやつをちょうど探しててな」
「……はい」

違う面接もされてた訳ですね…
話は進み
お互いに携帯番号の交換をし
ポッキーの箱を渡されました。

ポッキー……??

「箱の中はシャブや。道具も入ってる」

私は意外と冷静に物を受け取りました。

「渡し方を言うぞ。場所は南新地のタクシー乗り場付近。
時間は5時。着いたらここに電話したってくれ。
周りを模索するな。普通に電話しながら歩いとけ。
お前の特徴を教えて相手の特徴を聞け。
コンタクト出来たらそのまま人が居てない場所へ
お前が誘導しろ。そこで現金を先に貰って
確認しろ。それからこれを渡したれ」

「はい」

ポッキーの箱を受け取ってから
緊張で震えていた事を覚えています。


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