
ナレッジシェアはなぜ上手く回らないのか
こんにちは。2月に入ってしまいました。みなさん1月はいかがでしたでしょうか。
私はさんざん書いてきたとおり領域広げるために新たな仕事に触りはじめたので、そりゃあもうしんどいというか、余裕がない1ヶ月でした。
とりあえず必死にしのいだ感じ。
一方でこうやって休みに入ってしまえばちゃんと落ち着けるし、暇すぎて仕方ない平日を過ごすほうがよっぽど身体に毒だと思うので、良い傾向なんじゃないかなと思っています。
身体の負荷はともかく、精神的負荷はやればやるほど低減するハズだし。
足元のストレスは将来に向けての先行投資みたいなもんでしょ。と自分に言い聞かせている
というのと、先週は前にも書いてたとおり劇団四季を観に行ってきました。1回分書くネタになりそうなのでまた今度レポート書こうと思いますが、総じてとても良かった(語彙力不足)です。
2025年やることも着実に消化できている。
さて今回はというと、ここ1,2ヶ月旅行レポばかり書いてていい加減マンネリ感というか、たまには真面目な話をしたほうが自分の脳にもいい気がしてきたので、タイトルのとおり「ナレッジシェア」について書いてみようと思います。
ナレッジシェアってなんですか
さっそくchatGPTさんに聞いてみよう。

chatGPTに打ってから思ったけど、chatGPTもある意味では究極のナレッジシェアツールと言えるのかもしれない。
ナレッジの入口と出口が特殊ではあるけど。
みなさんうまく回ってます?
組織で仕事してると往々にして「ナレッジシェアしなきゃ」という話が出てくると思うし、自分も色んな職場を経験してきたけど、やっぱりどこからともなくこの話が出てきていた。
会社によってはDXとの絡みで会社全体でナレッジシェアしようぜ!みたいなところもあると思う。
ところが、なぜかうまく回らないケースばかりで、大概はなんか特定の人が盛り上がってるだけで、組織の中に定着せず「そういやそんなのあったねえ。誰も使ってないけど」みたいな位置づけになってしまう。
こんな経験に心当たりのある人も多いのではなかろうか…と書こうと思ったけど、ぶっちゃけ他の組織でどうなのかよく分かんないので、うまくいってるよ!って人はぜひその経験をナレッジシェアしてくれると幸いです。
ナレッジシェア自体は組織を中長期的に維持・発展させるためには絶対に有用だと思うので、なぜ上手くいかなかったのか、ネックはどこなのか?を反省しようと思います。
いや別に私が導入したわけじゃないんですけどねナレッジシェア。
けどいちユーザーとしての道義的責任は0じゃないからさ。
ネック①:ナレッジシェア自体が目的化
DXと言いながらデジタルだけ導入していてトランスフォーメーションしてない組織にありがちじゃなかろうか。
ふわっと共有ツールが導入されたり、「このexcelに入れてね!」みたいな箱が共有されるけど、いったい何を目指してるのかよく分かんねぇよ、みたいなパターン。
はじめは入れてみる作業自体がちょっと興味深くてやってみるけど、入れても何も起こらないしアウトプットも特にないので、すぐに飽きてしまう。
自分の場合は会社が大々的にツールを入れた際にこれに遭遇した。
「情報を共有して困ることはないので、ガンガン共有していきましょう!」という発想も嫌いじゃないけど、Garbage in, Garbage outという言葉もあるわけで、やっぱりある程度狙いどころは考えて、それに合わせて情報投入をして……ってやっていかないと、アウトプットが出なくて人離れする負のループから抜けられない。
あと「新たな発想は偶然から生まれるのだ!」「ゼロイチをやるには更地から」という、イノベーションに対するロマンチック思考が依然として強いのも大きいかもしれない。
これらの言葉も真理の一面を突いていると思うけどさ、企画の検討不足をごまかすために「偶然が大事!」って言っちゃうのは違うと思うのだ。
目的の検討不足を「やってみなくちゃ分からない」でごまかすの意外と世の中に多い気がしている。
余談だが、以前、とある職場で名刺&連絡先管理アプリが全社展開された結果、誰だか分からないエンドユーザーの住所や電話番号が意味もなく全社員に公開されていたというとても笑えない状況に直面したことがあった。
個人データの安全管理措置が全くなされてないから個人情報保護法違反だとわりと真面目に説教したけれど、「イノベーションの芽をつぶす気か?」と真顔でめっちゃ抵抗された記憶がある。
「なら具体的にどんなイノベーションを狙っているのかイメージを共有してほしい。あとその目的は利用者に腹落ちさせられてるのか?」と突っ込んだら悲しそうに黙ってしまったので、純粋な気持ちが先行していたのだろう。
どう考えてもエンドユーザーの電話番号から新たな発想は生まれないのだが、さすがにちょっと申し訳ないことをしたかもしれない。
法令は管理体制を敷けばクリアできるのでともかくとして、目的もなく無造作にシェアしても特にイノベーションは生まれないしユーザー離れするだけだなあと痛感した出来事であった。
ネック②:個人の希少性との利益相反が起きる
狙いも明確で「あとは入れるだけです!」ってなったとしても、これがなかなか入れたくならないんだよなあ。自分だけか?
考えてみると、ナレッジシェアしてほしいような知見というのはすなわち組織の中で自分しか持ってないものなわけで、それを公開してしまうのは、組織内での自分の希少性を下げる自傷行為という側面もある。
個人の生存戦略と組織の全体最適との間で利益相反があるのだ。
もちろん、ナレッジシェアすればもし自分がいなくなっても仕事が回るとか、次は別の人がシェアしてくれて自分の知見も増えるとか、本当は自身にも見返りがあるハズなんだけど、どれも中長期的だったり全体最適の視点だったりして、「短期的に自身が得する!」って言えるほどのインセンティブって実はさほど無さそうだ。
強いて言えば「シェアしてあげた」という優越感(というとめっちゃ言葉が悪いけど)はあるかもしれないけど、そもそも自分しか持ってない知見があるなら、それを秘匿してるだけで同じように優越感に浸れるハズなので、これもあんまり動機にはならなそう。
性善説でやってるとこの利益相反に引っかかってしまい、けっきょく一部のお人よしたち(というとまた言葉が悪いけど)だけで盛り上がるシステムが完成してしまう。
ネック③:入れるのがめんどう
色々書いてきたけどぶっちゃけこれが優勝でしょ。
excelに入れるだけでも面倒なのに個別のアプリとかだと発狂しそう。入れるのに10分とかやってらんねえ。
じゃあどうすればいいの?
他にも「シェア内容の目線が合ってなくてメンバー間で気まずい空気になる」とか「ワークシェアまで踏み込まないのでけっきょくナレッジを活かす機会がない」とか思いつくネックはあるけど、構造的にネックになりそうなのはこれくらいでしょうか。
正直もう3,000字くらい書いてるのでとっとと切り上げたくなってきたんですが、課題を挙げといて「では!」では許されない気がするので、いちおうソリューションも考察してみよう。
ネック① ⇒ ちゃんと目的を決めよう
ものすごく月並みな言葉になってしまったけど、なにかをやるならちゃんと目的を決めようね、という話。
ゴールや道筋が見えないのはある程度仕方ないにしても、なんでそのゴールに行きたいんだっけ?というのは事前に決められるハズだし、歩きながら「なんで今歩いてるんだっけ?」と考えたところで答えが無から生まれるハズがないので、そこは言い訳せずにちゃんと考えたほうがよさそう。
ネック② ⇒ シェアした人にインセンティブを付けよう
シェアしてくれる人というのは自身の希少性を削って組織に貢献してくれる自己犠牲の精神にあふれた人だ(こう書くと嫌味っぽいな……)ということが分かったので、それには組織がちゃんと返報するようにしないといけないのではなかろうか。
一番分かりやすいのは業績評価で加点するとかだけど、他にもワークシェアも同時にやって業務負荷を平準化するところまで踏み込むとか、全員にシェアを義務化させて(1週間に1人ずつ輪番でやっていくとか)出したもの負けにしないとか、制度設計で十分カバーできる気がしている。
ネック③ ⇒ 凝ったものにしないでね
仕組みを作るときにクリエイター魂を発揮してあれこれ付け足してめっちゃ工数かかるものが出来上がるというのは制度設計屋さんあるあるだと思うけど、ユーザーフレンドリーにしようね。
これはこれで、簡単にすればするほど有用なレベルでのナレッジシェアがなされなくなるという、手間と粒度の相反が発生するわけですが、使われなければ粒度もなにもないので、まずはハードル低く始めたほうがよさそう。
使っていくうちに「これも」と増やす分にはいいけど、使われなかったから簡素化しました!って言っても今更使ってくれる人おらんやろ、ってなる気がするし。
おわりに
私はナレッジシェアというとするのもされるのもニガテで、したところで相手がどう受け取るかは分からない以上、自己満足になってないか?という気がして気が引けてしまうし、一方で人からされてもなんか気まずいのもあり、自分で調べて覚えたほうが手に馴染むんだよなあ、と思ってしまう。
今の時代はインターネットという匿名かつ個人で完結させられる強力なナレッジシェアツールがあるから、自分で調べれば大概なんとかなるし、しないのは悪だ、みたいな風潮もある気がする。
一方で、やってみないと分からないノウハウというのも現実としてあるわけで、それを得るには膨大な時間がかかる以上、そこをすっ飛ばせるナレッジシェアはやっぱり必要だとも思うので、心を入れ替えて自分もちゃんと組織でナレッジシェアしていこうと思いました。
大学院ではやたらめったら「Give」を推奨されてたんですが、「Give」って与えればそれで完結するので、上から目線というか投げやりな印象で自分はあまり好きではなく、「take free(置いておくから欲しければどうぞ)」の精神のほうが和やかなのでは?とも思っている。
なんか話がどんどん逸れていってるな……。
やっぱりたまには生存報告以外のことを書くのも脳に良いと思ったので、大学院レポート総括編もそろそろちゃんと書こうと思います。
では!