見出し画像

【詩】僕の父親

僕の父親は、自然にいながら自然にいない。

僕の町は自然が豊かな町である。

そして自然とは人生そのものである。

あるいは人生よりもっと豊かなもの。

だけど僕の父親はきっとこのかた50年、僕の町の自然を見てやいない。

どうして僕の父親が花を美しいと思ったら、僕は精神障害になったのかな。

同様母もまた、母は、花を美しいと言う。

綺麗だと言う。

でも花は美しく見えるのに、どうして人間界は醜く映るのだろう。

どうして母には人間界は醜く映るのだろう。

でなければまた、どうして母は僕に暴力を振るったのだろう。

青春は、悪を見つめた人間にしか訪れない。

青春は悪を知り抜いた時、起きるもの。

そしておそらくその悪を知り抜いたのが統合。

つまり統合は悪を知り抜いた人間の永遠の青春。

人生の晩年、悪を知り抜いた豊かな老人は、永遠に青春していただろう。

青年期が酷かったから、僕は統合した。

なあ100年後の君。

あるいは1000年後の君。

君は今も、自然が美しいと思うかい?

自然に溶け込もうと思うかい?

町のビルに、夢と過去を想うかい?

小学生の恋に、悪を見いだすというかい?

小学校の恋、小学生の悪意、かっこいい少年、季節の匂い、無い機能、透き通る世界。

なあ100年後と1000年後の君、どうしてだろう、僕たちはなぜこれほどまでに自然に胸を打たれるのだろう。

どうして僕たちはまた、同じ自然を繰り返すのだろう。

君の感受性の豊かさは、一万年の時を刻むのだ。

いいなと思ったら応援しよう!