某日
鉛のような体をひっさげて街を歩く
秋の薄暮に憐れみを感じる
見慣れた道も時が過ぎれば変わっていた
家は解体され、更地になる
また逆も然りで更地に家が建つ
とても開けた更地に夕暮れの淡い光と静けさの夜の色が溶け込んでいる
この景色を見るのが好きだけど、私の知っている景色がなくなっていく
あの頃の故郷はここになくて
小学校の通学路にいた大きな二頭のラブラドールも今は表札に名前があるだけで存在はしない
暗くなり野良猫を探しに「野良猫通り」とひいきしている通りを歩く
猫はいなかったけれど
公園の遊具に登り星空を眺める今日は木星も満月もはっきりと見える
高校の時は地学の授業が好きだった
皆はそこまで好きじゃなかったけれど先生が嬉々として星のすばらしさを語っている姿にあこがれていた
私の中で星にまつわる思い出を伝えた時もうれしい言葉をかけてくれた
自転車で多摩湖まで行って月と流星を眺め、ギターを弾いたあの日
久しぶりに会った友達と解散した後に見たオリオン座
私の大切な思い出は風景とともにあるんだ
そんなことを考えながら写真フォルダにたまった風景を眺めていた
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