愚者のメロディ
手っ取り早く解放されたい。このくだらない世界から抜け出したい。今この間隙の中ではくだらないようにしか見えないだけかもしれないけど、解決法が危ういだけで、私は正常だ。正常なはずだ。
みんなみーんなめんどくさいことから抜け出したいんだよ。
私はどこまでも弱い人間だ、愚者を超えた愚者である。
超えるべき壁は遠ざけて、人々がどうこの壁を乗り越えようか、縄だのなんだの試行錯誤している間に私はひょいと超えられそうなハードルを探してそのハードルさえもかがんで先に行こうとする人間なのだ。
手っ取り早い方法で、付け焼刃で、諸刃の刃で、満たされて、確かめてもらえて。
一度楽を覚えてしまったらもう一度努力することは難しく、気力すら起きない。普通の人なら重い腰を上げるだろうが、それすらもできないのだ。
愚かだね。
私の人生で起きるすべての不幸は私が要因なのだ。
自責志向なのだ。それを言い聞かせながらその姿さえも愚かだと思って人を私のために私の姿に行動にしぐさにすべてに突き動かされてほしい、本当は。
なんて言ってもこんな奴は厄介なのだ。
だからこそ、人に迷惑をかけないように生きていきたい。己の欲望は抑えていきたい。だけど水が飽和状態のコップにさらに水を追加しようとするとどうなるだろうか。もちろん水はこぼれ、あふれ、一斉に流れだす。
そんなもんなんだよ、うまい排水方法を見つけてないだけ、その場しのぎの解決法を見出すだけ。
それでそれで今もこれからも生きていけてると思っている。だってそうして私はいまだにこの現世で苦しんでいるんだ、生きているんだ。煙草の煙を燻らせているのさ。
こんなことをつぶやいたらどう思われるのだろうか、いやでもだれも私に興味ないのだからこういう時に限って人が助けに来るわけない、でも一滴の慈悲でもいいから心配してほしい。だから、そんな理由も一つとしてこんなことをつらつらと書き述べているのだろう。
叫びたい衝動が来ている、だけど叫べない。いきなり炉端で女が一人慟哭する姿を想像してみよう。一発通報だ。
だけどからだのげんかいがきている。わたしはこれからちこうせいのどくをあじわう。なんならそのちこうせいのどくがまわっているさますらもたのしもうとしている。死がある程度のある意味、いろんな意味での終わりだとしたら私はまだ終わっていない。動いている。だから死なないラインぎりぎりの毒すらも一種の快楽だ。
まわれまわれはやくまわれよ。
体の震えはいつから始まるのだろうか。錠剤を飲み干した瞬間からそんなことばっか考えている。
どうせ明日も生きているんだ。生活は続くのだ。
救われたい。そんな確信的な堅い堅い祈りから願いから近いような一番遠い方法で私は今日も毒を飲む。
これからが楽しみだ。
言葉の世界から抜け出して私はみんなの見えないところに行ってくるよ。
また明日。
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