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反面教師。814文字#青ブラ文学部

「世の中に片付くなんてものはほとんどありゃしない。
いいか、覚えとけよ真生(しんせい)」


……うるせーよクソジジイ。

冒頭の言葉は、祖父が付き合っていた25歳年下の女性に祖父がした浮気を咎められ振られた直後、祖父が俺へ言った言葉だ。

片付いてんじゃねーか。

少なくても、女性の方は。

俺の母方の祖父は、女遊びが派手な人だった。
これは、母が小さい頃から変わっていないという。

自分で「女性だけは泣かせない」なんて言いながら、一番近くに居た祖母を悲しませていたかもしれないのに、何言ってやがんだこのジジイ。と、思っていたし、俺は、そんな祖父が苦手だった。

そんな祖父を見てきたせいか、俺は名前の通りに真っ直ぐ生きていこうと思える人間へと成長。

くだらない事はしない。
計画はちゃんと立てる。
それを実行する。


………でも、それで面白いのかと聞かれたら、俺は『面白いよ。』と明るく返せる自信はない。

意固地になりたくはないが、このままだとガチガチに固まりそうで少しおののいてはいる。

恋愛だってそうだ。

色々考えて思い過ぎて、好意を寄せてもらっていても、相手は他の誰かの元へと行ってしまっている。

そんな俺に比べれば、心の赴くままに女性と浮名を流していた祖父の方が、よっ程毎日を謳歌していたかもしれない。

はぁ、いや、それもそれで違うだろ(笑)


祖父が反面教師となって、今の俺が居る。

けれど、たまには羽目を外してみたいと思っている自分も居るんだ。

取り敢えず、やりたくても我慢してたボクシングでも始めてみようか。

俺の仕事は手を使う仕事だから、手の怪我をしたくなくて諦めていたのだけれど。

『世の中に片付くなんてものはほとんどありゃしない』

……クソジジイとは思うけれど、世の中そんな事もある。とは思える様になってきた。

大人になって、丸くなれたのだろうか?

でも、チャラチャラするのは御免だけどな。

〜終〜

こちらの企画に参加させて頂きました。

山根あきらさん
口悪男子になりました(笑)
ありがとうございました(^^)

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