雪の花
シロクマ文芸部の書き初め20字小説の続きを書きました
なんだかちょっと無理矢理感
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雪の花
ーーー初めましての雪の色は赤く、
そして黒かったーーー
窓から見る雪は日光の反射が眩しくて、真っ白で真っさらでそこに飛び込む子供たちが羨ましかった
私はただ腰から下を布団におさめて本を読むしかなかった
『長くない命を大切にしなさい
そうしたらあの綺麗な雪に還れるわ
還ったらね、花になれるわ』
そう言われて、それを信じた
年中ほとんど地面が白く染まってるこの辺りの風習
死人は真っ白にして雪に還す
死化粧で元々白い肌をさらに白く、外から来た毛の色が白じゃない人は白く染めて、真っ白な装束に身を包んで、真っ白な棺桶におさめる
雪の下の土を掘ってその中に雪に見立てたワタを敷き詰めて上から雪を被せる
手向ける花は茎や葉を切った白い花
私ももうすぐあの雪に還れるの
この辺りでは珍しくない病気
明日にも死ぬかもしれない
目を閉じたらもう開くことはできないかもしれない
でも、これでも長く生きた
普通なら十歳までに死んでしまう
私はもう十三歳
いつ死んでもいいように、お葬式の準備もしてもらってる
朝起きたらいつも晴れやかな気持ち
お父さんとお母さんは私が起きるだけで毎日パーティーのようにはしゃぐ
それにつられてまだ五歳の妹もはしゃぐ
この二人のもとへ来られてよかった
今日も目が覚めた
あれ?
お母さんとお父さんの声が聞こえない
まだ外は薄暗いし、起きてないのね
珍しく早起きしちゃった
妹は起きてる
部屋から出てきたのね
まだ寝てる時間よ
どうしたの?
妹はちょっとだけ眠そうな、泣きそうな顔で私が追いかけてくるのを待っている
外?外は駄目よ
え?
ふふ、そうね
きっと今日が最期なのね
じゃあ、やっぱり自分の体で雪に触れてみたい
妹は長靴を履いてまだ靴も履いていない私を引っ張り出す
玄関を開けた瞬間、冷たい空気に全身が覆われた
冷たい
やっぱり雪って冷たいのね
でも、ふわふわしてる
でも、おかしい
窓から見た雪は確かに白かった
なのに、今この手に乗っている雪は赤い
そして、黒い
妹を見ると、涙を堪えようとしながら雪だるまを作っていた
三歳の時から、私のために毎日作ってくれてる小さな雪だるま
白かったのに、赤くなった
ごめんね
せっかく作ってくれたのに
妹は、堪えきれずに泣いた
また、作ってね
私は、眠るから
いつ起きるか、分からないけど
またきっとここへくるからね
花が咲いたらそこに雪だるまを作ってね