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泡降る水底

想いの強さに吹かれた人魚姫
日の光を反射した鱗は
月光を通す泡になった
寝ぼけたフグに刺されても傷つかず彼女を守っていたのに
もう触れない
脆い脆い海の泡

潮に揺れる髪は
波に流される泡になった
毎日丁寧に手入れされ、光を放っているかのような美しさだったのに
彼女から離れて流されてしまった
剥がれ落ちた細胞のような脆い脆い水の泡

海に透き通る声は
渦中を泳ぐ泡になった
奪われた声は泡が破れる音として
静かな海に溺れた
誰も聞かなかった
誰にも聞こえなかった

ぼろぼろに何個も分かれて
くっついて、消えて
浮かんで沈んで
海をまたほんの少ししょっぱくして
次の朝日は映さなかった

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イラストは零桜作

夜の海に沈む人魚姫
(見えにくくなってるけど薄ら髪とか鱗とかあります)
日が当たらなかった最期の泡

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