❛アカシアの雨がやむき❜ 歌詞は3番までだ。では4番は??
【ピエロの手記 113】
曼殊沙華の群生は朱色の赤が華麗で美しい
芳醇な美と生命の盛りのように・・・
・・数日を経て
あの群生はまるで台風に会ったかのように
一気に茶色く枯れた軸は折れ 不規則に地面に散らばっている
まるで恐山の賽の河原を見るようだ
それは 不条理の象徴なのか
条理の実現なのか
地球に存在する生物の 生と死を見せてくれる
人間の場合と同じく
生と死という不条理は
じつは地球の自然の条理
自然の真実なのだ
道に破れ、人生に敗れたどうしようもない挫折感に
西田佐知子の哀切な歌声は
教会で聴く讃美歌のように胸に沁みる
♬ アカシアの雨に打たれて このまま死んでしまいたい
この歌は 3番で終わっている
あの人を 探してはるかに 飛び立つ影よ、と
晴れわたる空を ハトは 必死に求めて飛び立ってゆくのだ
そこには求めるという希望と夢がある
この歌の救いはそこにある
この歌の4番は書かれていない
飛び立ったハトは 求めるものに出会えるのか
果たしてハトはどうなるのか、である
ハトが力尽きるのは目に見えている
地面に落ちてハトは死ぬのだ
どのみち死ぬしか答えはないのである
たしかに群生している曼殊沙華は華麗で美しい
だが1週間を経て
不規則に倒れて枯れている無残な姿を晒す
それは不条理ではない
それこそ条理なのだ
空に飛び立ったハトの死と
それと軌を一にする 生きるものの真実なのだ
死で完結するのは不条理ではなくて条理なのだ
求めて空に飛び立つハトに託するのは
われわれ人間の見果てぬ夢なのだ
‟悲しいピエロ”