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精神科で貰ったクスリをのむか・のまないか?

【ピエロの手記90  断章78】   

ANAで鹿児島へ飛んだ
あとは路線バスだけで
福岡までさ迷って行くつもりだ
 死にたいのに
 生きねばならない理由を考えるために

バスは住宅街を抜けて
九州山脈を割って走る
木の香り 森の匂い 草いきれ
窓を閉じる気になれない

生き死にの思考は行き詰った
日常の空間では判断は無理だ
九州の放浪に祈りを込めた

激しく死にたいときに
ワイパックスを2錠のむと
たしかに希死願望はいくらか弱まる

とすると
クスリは命の恩人なのか?
いや
死にたい自分こそ本当の自分ではないのか
とすると
クスリは人間を殺す悪魔の錠剤ではないのか?

結論を得ないまま
バスは7日目に大宰府に着いてしまった
東京から掛けてきた
小さなポシェットに
クスリはそのままにある

  ‟悲しいピエロ”


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