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THE SPELLBOUNDの最高傑作2ndアルバム「Voyager」に震える
THE SPELLBOUND(ザ・スペルバウンド、スペバ)の2ndアルバム「Voyager」(ボイジャー)が先日リリースされた。
そのティーザー映像がこちら。
いや〜この時点でマジでカッコいい。
よく知らずに記事を覗いた非常にレアな方のためにもこのバンドについて少し語ると、中野雅之(ex.BOOM BOOM SATELLITES、読み:ブンブンサテライツ、略ブンサテ)と小林裕介(THE NOVEMBERS)の2人が2022年に活動開始したバンドだ。
ブンサテはその片割れである川島道行が病魔により音楽活動を引退し、彼が2016年に亡くなって活動終了を余儀なくされた。
その当時、中野は表舞台からの引退を表明していたので、新バンド結成は嬉しい驚きだった。
(それだけにまさかまたバンドを組むとは思ってなかったため、スペバを知ったのも遅く去年からようやく活動をフォローしている)
さて、彼らのニューアルバム「Voyager」なのだけど、一言で語るならタイトルにも書いた通りの傑作だ。
最高傑作だし、今年の邦楽のベストアルバム級の大傑作だと思っている。
一作目のアルバム「THE SPELLBOUND」も勿論傑作だったのだけど、あちらはどこかポップで明るくゆるやかな、リラックスした聴き心地だったのに対し、本作は全体的にアグレッシブでダウナーな印象がある。
今年リリースされたビリー・アイリッシュの新作「HIT ME HARD AND SOFT」もまたダウナーな雰囲気だった事も考えると、このある種の陰影は2024年現在の時代性なのかもしれない。
今回のアルバムで特筆すべきはネットのインタビュー記事にもある通りその独特の歌唱法だ。
ラップでもポエトリーリーディングでもない、ある種ボカロ的なbpmの高さと共に高速で言葉を発し、グルーヴを作っていく独特のスタイル。
勿論彼らは「若者の間ではボカロがトレンドだから」とその要素を安易に取り入れたわけではなく、またボカロ音楽の表現をただ真似するのではなく上手く自分たちの表現に取り入れ昇華している。
中野はブンサテ時代の焼き直しをするのではなく、現代のリスナーにも通用するような音楽性にちゃんと仕上げてて改めてその高い音楽スキルには驚かされる。
さらに凄いのは、アップリフティングで昂揚感のある曲が多めなのにも関わらず、全くしつこく感じられないことだ。
収録曲、収録時間も14曲53分と曲も演奏時間も多めなのに捨て曲が全くなく、あっという間に聴けてしまう。
メロウな曲やハードロック的な曲、ブンサテ時代を彷彿させる曲や、時にはヒップホップやアンビエントにシューゲイザーと、ジャンルレスな楽曲群によってアルバムが構成されている。
動的な曲も静的な曲もあり、それらが上手くアルバムに配置されている事で心地よい流れが出来ていて、まるでこのアルバム一枚で一つのキラーチューンであるかのような完成度の高さがある。
そして上記のビリー・アイリッシュのアルバムと共通するもう一つの点として、音楽に荘厳さ、神聖さが感じられることだ。
そこには何か祈り(すがりではなく)のようなものがある気がして、今年この2枚が海を隔ててリリースされたことに何かしらのシンクロニシティというか意味を見出してしまいそうな気がしなくもない。
どっちだ!
この素晴らしいアルバムが多くの人に届けばいいなと思っている。
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