朗読用作品「朝」
朝
アラームが鳴り響く。
一瞬何の音か分からないが、すぐに気づいてしまう。もう朝なんだよ。
がさがさとスマホを探して、1度目のアラームを止めつつ、時間を確認する。今日は朝活をする…気分じゃないな。息をゆっくり吸って、ゆっくり吐きながら、もう一度枕に覆い被さる。ゆっくり顔が埋まっていく…。
朝のルーティーン…優雅にこなせる人なんているのだろうか。
いや、いないだろ、そんなのはYouTubeの中でしかあり得ない。
あんなのはみんなの憧れを演じてるだけだ。
どうせいつまでもダラダラするやつしかいないはずだ。
朝風呂に入ったり、筋トレしたり、
犬の散歩したり。朝ごはん作ったり。弁当作ったり。
すげえよな、犬飼ってる人、母親も、世の中の社会人も。
俺も社会人だけどねー…。
自分のなかのやる気スイッチが勝手に入るのを静かに、静かに待つ。
自分のなかの雑念が消えたころ、
俺はむくっと動き出した。
動き出せば、こっちのものだ。