初子宮頚がん検査の担当医が癖強の男性だった話
職場から子宮頚がん検査を受けろと言われた
正直受けたくない。
検査の仕方を調べた時、1行目の“子宮の中に指を入れて触診”で一旦ブラウザを閉じた
発生原因は主に性行為だそうで、上司に一か八か処女なんでと言ったが気まずそうにしただけで受ける事は変わらなかった
結局わがままが通じる事もなく渋々病院へ向かう
久しぶりの病院は平日にも関わらず思いの外混んでいた
師長と書かれている札を付けたベテランであろうナースに個室へ呼ばれ、詳しい説明を聞く
「子宮頚がんは主に性行為でなるのだけど、経験はある?」
直球で聞かれ答えるのが恥ずかしくなり、少しはにかみながら頷くと「よしっ!」と笑顔でいい返事を返された
その後、簡単なカウンセリングを受け、階段を降りて人気のない1番奥の部屋へ連れていかれる
小さな部屋に入ると改めて検査の仕方を説明された
「一度下着を全部外して頂いて、このタオルで隠して出てきて下さい。
カーテンがあるのでドクターの顔は見えないから、そこは安心してね。」
徐々に緊張が走る
医師の前でぱっかーん。。
やっぱ嫌だ!!
パンツ脱ぐ、タオルで隠しながら部屋に入る、椅子に座る、椅子回転する、勝手に脚開く
「じゃあ指入れるねぇい」
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
最悪!!!!最悪の気分!!!!!!
こちらからも医師の顔は見えないが
声でおじさんなのは分かる
てか男かい
恐怖心から力むせいでお腹が痛い
別に気持ちよくも無ければ、興奮をおぼえる訳でも勿論ない
必死に耐えながら
レイプされるのってこんな感じなのかしら、なんて良くない事を思ったりした
「あっ、ちょっと痛いですっ」
なんとか声を出して伝えるが止まる感じは無い
「いや、ちょっと待って、あと少しやけん頑張って」と医師
「大丈夫です、深呼吸しましょう」とナース
まさかのどっちも優しくない
そういえば痛かったら言えとは言われたが
手を止めるとは言われてない
えっと、ほんとに痛い
そんなつもり無いのに押し殺した喘ぎ声みたいなものをが出てしまい、急に恥ずかしくなる
「良いよ、大丈夫よ、はいはいはいはい」
リズムよく子宮とお腹を押す医師
クセ強く無いか
「はぁーーい!おっけぇっ!」
いい写真が撮れた後にカメラマンが言いそうなテンションで指を抜く医師
流石にクセ強く無いか
でも良かった。やっと地獄の時間が終わった
「それでは次、粘膜の採取ですね」
淡々と言うんじゃねぇよナース
「じゃあ綿棒入れるねぇい」
「ちょっと待って下さい、少し休憩させて欲しいです」
「大丈夫です、これはすぐ終わります」
さっきからこのナースは融通が利かない
グッと硬くて細い綿棒を入れられ
ゾリゾリと細胞を採取しているのが感覚でよく分かる
こっちの方が痛い、そして不快
結構やばいかも
「はい、終わりぃ〜」
お腹の痛みと、謎の苛立ちと、未だ慣れぬ恥ずかしさで上手く力が入らず、下半身を露出したまま暫く座ってうなだれた
「立てますか?」
「あ、はい、すみません。ちょっと待って下さいね••」
意を決して立とうとするが立った瞬間めまいがしてそのまま椅子に脱力する
意識はしっかりあるが
ぐるぐると目が回る感覚
「隣にベッドがあるのでそこで休憩しましょうか」
その言葉の直後、気を失った
気が付くと白い天井
病院特有の無駄に白くて硬いベッドに横になっていた
時計を見ると最後に更衣室で見た時から1時間は経っている
恐る恐る布団を剥がすといつの間にか下着もズボンも履いていた
「あのー、すみませーん」
ガサガサと音がしたので声をかけると
検査室にいたナースではないナースが出てきた
「気分はどうですか?」
「あ、はい。もう全然大丈夫です。ご迷惑おかけしました。」
「大丈夫ですよ〜、たまに体調悪くなっちゃう方いらっしゃるので〜。緊張しちゃいますよね〜」
カルテらしきものにサラサラと筆を走らせ
よしっと小さく呟いた
「動けそうでしたら受付に戻ってお待ちください。検査自体はもう終了してますので安心して下さいね〜」
ニコッと笑う彼女
マスク越しでも綺麗なのが分かる
私検査室にこのナースさんいて欲しかった。
あの時間は夢かと思うほど未体験な感覚であった
ただもうやりたくはない
全額会社負担でも。
検査費用をみて切にそう思った。
終。