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CO2 排出量を比較する ベルトコンベヤ方式とダンプトラック方式①

CO2排出量の比較

ダンプトラック搬送とベルトコンベヤ搬送の温室効果ガス(CO2)排出量を比較するための試算をして比較してみます。考え方と計算根拠は以下の通りです。
省エネ補助金の試算とは若干異なる手順がある。本試算のほうが排出量の差が小さいため、考え方と計算根拠のポイントを見極めるのが目的です。

1-1 試算条件の目的と概要

1)目的
ダンプトラック搬送とベルトコンベヤ搬送におけるCO2の排出量を比較し、コスト比較と対応させるための各条件の単位とその差異・比率を得る。

2)抽出するデータ
必要な数値は、各想定条件による①tCO2/t-ys(年間CO2排出量)と、②tCO2/m3(搬送量当たりのCO2排出量および、③tCO2/m(搬送距離当たりの排出量)。

3)データの使用目的と具体的な想定
データはダム建設現場の土砂または骨材搬送と、鉱山での砕石搬送での運用を比較するための資料とすることを目的とする。想定するダンプトラックは①10t積級オンロード・ディーゼル、
②25t積級オフロード・リジッドフレーム式とする。
ベルトコンベヤは暫定的に軽量コンベヤを想定するが、別途作成中の製作計算基準を当てはめて変動できるように準備する。

4)計算根拠
国土交通省の積算基準に準拠しているが、すべての最新の資料を有していないため近年の入札に使用したデータやアップデートされた簡易的な計算を当てはめている部分がある。特にベルトコンベヤについては官積算と実行予算の乖離が大きいことを確認している。コストの比較に与える影響が大きくなるため、比較の想定条件により現場データを使用したアレンジを加える場合がある。CO2排出量の比較については公表資料としても問題ない精度になると考える。

5)比較の範囲
前項の積算基準から条件を共通化し、搬送元はバックホウによる積込みが完了した時点から、搬送先は野積みを想定してトラックはバケットの積下ろし、ベルトコンベヤはシュートまたは直接排土する時点までとする。
鉱山現場での搬送は揚程や搬送距離が一致しないケースが一般的になるため、モデルケースを想定する。

6)算定のガイドラインについて
温室効果ガスの排出量の算定についてのガイドラインは環境省から都度改定されている版が確認できるが、原単位方式で建設機械の軽油使用量から算出する際の根拠資料は2019年(?)のものより新しいものを把握しておらず、2022年の補助金計算の根拠にも使われていたので同じ資料を使用する。

7)使用する数値について
軽油のCO2排出係数は 2.58 kgCO2/L
平均稼働率=年間標準運転時間(時間)/ (年間標準運転日数(日)×8時間)
※「令和5年度版建設機械等損料表」に示された値より算出した
ダンプトラック 10t 830/(140×8)=0.741
ダンプトラック 25t 790/(120×8)=0.705
ベルトコンベヤ   4100/(520×8)=0.986

1-2 排出量のグラフ化と比較の考察

ダンプトラック搬送とベルトコンベヤ搬送の比較

CO2排出量はそれぞれの機械できれいな比例の線形を描いている。細かく見ればBCはモーター容量を大きくしたときに総量が上がるが、このグラフ規模の比較では影響していない。
当然ダンプトラックの台数も比例し、500mの搬送距離に対して2桁の車両が入るのは現実的ではないがそのまま比較している。台数が増えた時の搬送サイクルの遅延も考慮していない。実際の現場ではダンプ搬送の能力を中心に搬送手段が検討されることが多い。
10tダンプトラックの搬送と比較して、搬送量を増やしてもBC搬送の排出量は約1/6程度となる。搬送手段をダンプからBCに代替した時の削減率は80%を下回らない。
搬送地形が複雑になると、BCのラインを分割する場合が想定されるが、今回は搬送距離を500mに設定してBCは1本としている。動力はやや余裕をもって設定しており、仮にこの距離でラインが増えたとしても動力が2倍を超えることは無いと考えている。
事業所の排出量削減を検討する際は、これに現場全体の共通設備や工程の排出量を積み上げて比較することになる。
CO2排出量の比較においてBCの優位性はどんな条件でも揺るがないと言える。問題はコスト(超大事)だが、今回は論じない。
古い資料を使った別の資料と比較すると、ダンプトラックの燃費が向上している分のCO2排出量は減っており、電力の原単価比較したベルトコンベヤとの差はやや縮まっている。
25tダンプは参考値のため比較数値は抽出していない。台数を減らして効率化を図ることができるが、CO2排出量は同程度に収まらず増加しているという結果になった。25tはオフロード使用のための走行速度を落として20km/hと想定しているが、10tと同じ25km/hに想定しても顕著な増加傾向は変わらなかったので現実的な条件を採用してグラフ化した。

1-3 計算根拠の計算式と変数の懸念

平均稼働率の変動が大きく、想定により結果に影響が出る。別の資料で最近提出された資料はH25の数値を使っているが、0.15ポイントの差があり結果が約1.5倍になった。また平均稼働率が出せない場合は1.0とするという記述を採用するとさらに変動値が大きくなった。

※疑問点メモ

①電動機械の負荷率の値とは何か?別の資料で係数をかけているものがある

②25tダンプの積載容量のリスト値が無く不明、単純計算で10tの2.5倍とする、土砂Bで13.75m3/台 だが、別の資料では係数を0.825としている例もあり、少なすぎる気がする
最小値13.25ー最大値20.65とメモしておく
解決→ C = ダンプトラックの最大積載質量(t)/ 土の地山単位堆積質量(t/m3)
とすると、土砂Bの標準値は1.9となり、X=25/1.9、25tの標準積載量はC=13.16m3
10tのリスト値で検算すると5.26m3≒5.3で正しい値となった

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