
BUMP OF CHICKENと藤原基央と”キミ”
2023年5月28日。僕らは”キミ”になる
先日、こよなく愛するBUMP OF CHICKENのライブに行ってきた。
これまでチケット戦争に負けに負け続けてきたので、当たった時の興奮は今でも覚えている。
ライブレポートは全部書いたら多分3日くらいかかるので個人的に印象に残ったシーンを抜粋しようかな(と思いながら書いている)。
始まりを告げる”アカシア”のイントロ。胸の高鳴りは最高潮に達する。サイリウムを付けた右手と各々の左手による手拍子が会場の熱を高める。やがて一人ずつ登場し、センターステージに向かって歩みを進める。
そしてツアーファイナルだということを噛みしめて、4人が楽器を手に取って顔を見合わせた後、遂に幕が開ける。透明よりもきれいなあの輝きを確かめるために。
歌詞のタイムリーさがすごい。
遂に辿り着いたその時。夢の正体に触れた時。
これはまさしくBUMP OF CHICKENと我々が互いに一つになる瞬間。
マスクを外して、声を出して、サイリウムをつけて25000人の観客と4人のバンドマンが一つになる瞬間。
しかも声出しのアカシアはおそらく初めて。
隣で”キミ”のそばで 魂がここだよって叫んでいた。
そしてそのまま”アカシア”、”ダンデライオン”と続き
3曲目はもはや代名詞“天体観測”
我々が右手につけたPIXMOBと呼ばれるサイリウムが星となり、大きな宇宙を形成している。4人が観客席を天体観測していた。
”キミ”と2人で追いかけて。oh yeah あはーん。
メインステージに戻って“なないろ”
強いナンバーから一転、一気にライブが彩られる。本当に綺麗だ。モネ、おかえり。
“透明飛行船”は透明だった。圧倒的に透明だった。
ここ数年は先行き不透明で、大丈夫じゃなくて当然の社会だったなと思いながら。日常の描写をうたっているように感じて、コロナ前の日常に戻ったんだなーって感じながら聴いていた。
そして個人的に二つ目の印象的なシーンが訪れた。
“クロノスタシス”
イントロの軽やかなエレクトロポップ。そこにはこの先どういう進行をするのか全く読めないミステリアスさも感じて。
また、曲中に刻まれるドラムのリズムが秒針が刻む音のように聞こえる。
そしてこの曲には個人的にすごく印象的な歌詞がある。
この街は 居場所を隠してる 仲間外れ達の行列
並んだままで待つ答えで 僕は僕をどう救える
居場所を求めてるたくさんの人に対して、街は居場所を隠している。
その結果居場所のない仲間外れの人たちが行列をなし、街から何かしらの答えを待っている状態である。ではその状態で自分自身を救うことはできますか?と。
僕は僕をどう救える?
”キミ”ではなく”ボク”
これを藤原基央はわずか4秒でさらりと歌い上げたが、とても重いフレーズではないだろうか。
自分で自分を救うことってとても難しい。ライブなのにとても考えさせられた。
その後"Small world"
少しばかりのクールダウン。
“魔法の料理”とか”プレゼント”とか最高にエモい。このバンドの持つ優しさが前面に出た曲が続いて、若干エモーショナルになりつつある中、、
きました!!!!!!”新世界”!!!!
ようこそ、異世界へ!!!!!!!!!!!!
このバンドは一瞬たりとも油断させてくれない。でもそういうところが大好きだ。
チャームなリズムと手拍子とともに、絶対にボーカルが味を占めているであろうフレーズ。
ベイビーアイラブユーだぜ!!!!!
大丈夫、僕らもアイラブユーだぜ。
天気予報 どんな時も”キミ”が晴れ、BUMPは太陽なのだから。
そして”SOUVENIR”
イントロとともにパンパンパパパンという変化球的な手拍子。手拍子がたくさんあってほんとに面白いし楽しい。もはや手拍子したくて行ったといっても過言ではない。
この目が選んだ景色に一つずつリボンかけてとか、季節が挨拶くれたよとかなんでこんな言葉選びができるんだろうと。とびきりのリボンかけたいのは今ここから見てる景色なのに。
そしてすごく印象的なシーン3つ目。
「”窓の中から”歌います。一緒に主旋律歌ってくれてもいいし、ハモってくれてもいいし、じっくり聴いてくれてもいいし。みんなに任せます。」
観客と一体になってこそ完成される曲だからこその前置きなのだろう。
この身体だけの鼓動を この胸だけの感情を
止まるまで続く鼓動を 名づけようのない感情を
この曲はもはや全部がサビ。時代の流行りに逆行した6分半の超大作。
まだ窓の外(=社会)には出ていない年代の人たちにむけて
自分にしかない身体、自分だけの鼓動そして湧き上がる感情、、、
18歳の頃の言葉に表せないんだけどくすぶってる感情をどうしてこんなに鮮やかに表現できるのだろうか。しかも作詞している人は44歳だぜ。ダブルスコアついているのに。信じられない。
曲が終わった後一言。
「書いてよかった」
こちらこそ、書いてくれてありがとう。
”月虹”、”HAPPY”と続く。この日お誕生日だった人おめでとう。藤くんにハッピーバースデー言ってもらえるなんてうらやま。
そして絶対に外せない“ray”
必ず盛り上がるがゆえ、最近ではもっぱら本編ラスト辺りによくやる気がする。
宇宙を想像させるイントロ、テンションぶち上げ。みんなぴょんぴょん。
そしてサビ入りとサビの中であるパパンという手拍子。これが会場全体で揃うと生きるのは最高だと思う。この手拍子やるために生きてた。それは間違いない。
ホントに生きるのは最高だ!!!!
そして本編ラスト“supernova”
この曲、ホントに歌詞が詩的で好きなんだよな。
純粋な人間の感情をそのまま載せたような歌詞。
”キミ”の存在だって 何度も確かめはするけど
本当のはありがとうは ありがとうじゃ足りないんだ
そして、チャマとヒロの本気を感じた。もちろん2人とも上手なのは言わずもがななんだけど、今回特にこの曲はレベチだった。
魂を感じるハモリ。上手く伝えられないけど収録公演だったので、円盤化した時に聴いてほしい。ホントに。間違いなく歴代ダントツの"supernova"だった。
この“supernova”をもって僕らはここにいる、アカシアから始まった宇宙旅行から一度帰還することになる。
本編終了。
supernovaのワンフレーズの大合唱によって、呼び戻された4人によってアンコールが始まる。
アンコールは”embrace”と”ガラスのブルース”
ガラスの目をした猫が歌うのにみんな歌ってた。つまりみんなは猫。
そしてアンコール終了。
終わったあと、藤原基央によるありがたいお言葉。
「よくインタビューで、BUMP OF CHICKENにとってライブってなんですか??って聞かれる。その都度こうなんじゃないか??ってその時に思ったことを話すんだけど、なんかピンと来なくて、、、最近はよく分かりませんとか言っちゃうんだけど、、、
でもこのbe thereを通じて、分かったことがある。我々にとってライブっていうのは、僕の歌、チャマのベース、ヒロのギター、秀ちゃんのドラムと、僕らの音楽を聴きに来てくれた人たちが会う場所。ベタな表現だけど僕はそう思います」
「僕は日常的に“キミ”たちを感じている。曲を作るのが煮詰まってきた時、君たちを思い浮かべる。
本当は“キミ”ら一人一人のそばにいたいけどそれは出来ない。でも僕らの音楽は“キミ”のそばにいることができる。もしキミが望むなら、学校とか職場とかで聴いてくれるのであれば、僕らの音楽はいつも“キミ”たちのそばにいる」
これ以上もこれ以下もない、ましてや27年もやってたどり着いた1つの結論なのだから、この言葉には大きな意味があると思う。
そう言い残して、ステージへ消え去る。
しかし今日はツアーファイナル、ここで終わるわけないだろ!!って空気を感じる。
ということでダブルアンコール。本当にありがとう。
しかし何を歌うか本当に決めていなかったらしい。
選ばれたのはまさかの“宇宙飛行士への手紙”
今回のツアーでは一回も歌われていなかった曲だ。
この曲の歌詞はこのライブに対する言葉の置き土産。
今もいつか過去になって 取り戻せなくなるから
それが未来の 今のうちに ちゃんと取り戻しておきたいから
コロナで失われた、ライブにおいて決定的に必要なピース。
それは我々の声。
これをみんなで未来のためにちゃんと取り戻したことに意味がある。そう思えた。
曲が終わり、ツアーを完走した4人が肩を組んで歩く。
まるで高校生みたいだった。これが青春。いくつになっても青春できるっていいね。
そして最後に
「新しい曲作ってるから待っとけよ!!!!!」
だから、このバンドは愛されるんだ。
藤原基央が”キミ”を歌い続ける限り。
そして我々が”キミ”を体現し続ける限り。