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言うほど9期って悪くなかったなって話
皆さん初めましての方は初めまして、そうでない方は前回までの記事を読んでいただきありがとうございます。その辺の決闘者の衣玖(いく)と申します。
今回は老人の思い出話となります。
遊戯王9期といえば、アニメ1作を通して期が変わることがなかった初の世代です。
アニメ『遊戯王ARC-V』は現代でも語られるほど話題性のある作品であり、数多くの魅力的なキャラクター達が個性溢れるテーマを駆使してデュエルを繰り広げました。
ルールとしてはマスタールール3が導入され、ペンデュラム召喚(以下P召喚)が実装されました。
先攻ドローの廃止もここからであり、フィールド魔法の扱いに関するルールも変更されました。
カードテキストにも効果毎に①②の分類がされ、カードテキストから判断できることが増えました。
《クイック・シンクロン》や《BF-大旆のヴァーユ》などの類似効果が効果を無効化されている場合にどのような処理をするのか明文化されるようになったのは大きな変化でしょう。
一方で新弾が出る度に環境が壊れつつあった時期でもあります。
7期最後の刺客【聖刻】や8期の破壊者【甲虫装機】【征竜】といったデッキは度重なる規制や環境の高速化により活躍が難しくなり、8期末の覇者である【アーティファクト先史遺産】すらも霞むスタートを切りました。
そんな遊戯王9期を振り返りながら、あの頃は良かったなと勝手に思い出に浸るだけの記事です。
全体を通して長い期間のため、リミットレギュレーション毎に区切る形で振り返ります。
9期初頭
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遊戯王恒例の、3月末頃のスターターデッキの発売に伴う新ルールの導入です。
時期としては2014.3.21〜2014.3.31と非常に短く、ペンデュラムカード(以下Pカード)も《時読みの魔術師》と《星読みの魔術師》しか存在しなかったため先攻ドローの廃止とフィールド魔法に関するルールの変更が痛いだけの期間でした。
筆者は【征竜】にPカードを採用することで大量展開を狙っていましたが、ドラゴン族でもなければ4属性でもない「魔術師」モンスターはノイズでしかなく事故率が上がっただけでした。
2014.4.1〜
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《血の代償》《ゼンマイハンター》が禁止カードとなり「征竜」モンスターも制限カードになったことで8期に暴れたデッキ達は鳴りを潜めるようになりました。
その静寂はわずか3週間足らずで破られ、『ザ・デュエリスト・アドベント』と『デッキカスタムパック01』が発売するやいなや【シャドール】と【テラナイト】が台頭することとなります。
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デッキ融合の権化である《影依融合》や着地狩りされずに盤面を処理できる《星輝士 デルタテロス》は現代でも強力なカードですが、両デッキの強さを1段階上げた立役者は《光天使セプター》と《光天使スローネ》のセット(通称:セプスロ)だと考えています。
《アストログラフ・マジシャン》を彷彿とさせるサーチ後の特殊召喚という動きで手札を稼ぎながら盤面を処理しつつ3体素材のランク4エクシーズモンスターを立てられる狂った動きができます。
現代ではアドバンテージを稼ぎながらモンスター1体を出すなど容易なことですが、1ヶ月前まで攻撃力1800や2100のモンスターで殴り合っていたカードゲームでこの動きをするのははっきり言って異常です。
個人的にはデッキ融合というギミックに対して現在でも不満を抱いています。
後攻で《影依融合》からひたすらアドバンテージを稼ぎ《エルシャドール・ネフィリム》を雑に連打するだけで勝ててしまう姿は、これまでの遊戯王を否定するように見えました。
墓地融合と異なり、下準備無しで雑に展開できてしまうのは遊戯王のインフレの象徴だと考えています。
《真紅眼融合》くらいの誓約があれば個人的には許容できますが、出てくるモンスターが《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》並に強いとそれはそれで問題なのでやっぱダメだと思います。
まあ強いので《ブリリアント・フュージョン》でも《烙印融合》でも使えるものは使いますが。
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そんな融合に関連する「HERO」のストラクチャーデッキである『ストラクチャーデッキ-HERO's STRIKE-』もこの時期の登場です。
相手のカードのみを全て除外し、サーチに反応するハンデスまで付随する《M・HERO ダーク・ロウ》は、あらゆるモンスターを「M・HERO」に変身させる《マスク・チェンジ・セカンド》と共に現代に至るまで罵声を浴びせられてきた強力なエースモンスターです。
その制圧力の高さから現代でも《エルシャドール・ミドラーシュ》と共に【ティアラメンツ】で制圧要員になる姿が散見されます。
現代でも【HERO】が活躍できる下地がここに詰まっており、ある意味では【HERO】の基本形はこのストラクチャーデッキで完成していたと言えるでしょう。
ここまで9期が始まってからまだ3ヶ月です。
インフレはまだ加速していきます。
2014.7.1〜
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ここで遊戯王の中でも有名なルール変更が発生します。
2014.7.10より、エンドフェイズまで適用する効果がターン終了時までにエラッタされるというルール変更です。
厳密には該当する全てのカードのエラッタという形ですが、これによって《エフェクト・ヴェーラー》の効かない《武神-ヤマト》のような例は全て駆逐されました。
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その後登場した『ネクスト・チャレンジャーズ』にて、世界を獲るはずだったテーマ「クリフォート」が登場します。
召喚した場合は自身未満のレベル・ランクを持つモンスター効果を受け付けず、P召喚によって雑に稼いだアドバンテージから一気にLPを削り切る戦法から《スキルドレイン》を据えて高打点で押し切る戦法まで幅広い戦略を採れるテーマです。
モンスター効果ではなく《クリフォート・ツール》と《機殻の生贄》による安定したサーチが可能だった点も《スキルドレイン》との相性の良さを押し上げていました。
対する【シャドール】も《超融合》で「クリフォート」モンスターを吸える《エルシャドール・シェキナーガ》と速攻魔法の融合カードである《神の写し身との接触》を獲得したことで【クリフォート】と対等に戦っていました。
【テラナイト】も《星輝士 トライヴェール》という全体バウンスできるエクシーズモンスターを獲得しましたが、この2つのデッキよりも一歩下がった位置にいた気がします。
2014.10.1〜
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これまで無制限だった《ソウル・チャージ》が制限カードとなり、セプスロの片割れである《光天使スローネ》も制限カードとなったことでセプスロのコンボは絶滅しました。
2014.9.13に発売した『EXTRA PACK -KNIGHTS OF ORDER-』では、あの悪名名高き《旧神ノーデン》が登場します。
これからしばらくは遊戯王=早食い競争なんて酷い名前で呼ばれることになる元凶です。
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酷い言い方なのは承知ですが、初めてこのカードの情報を見た時は「韓国の公式はルール知らないのかな?」と思いました。
韓国での初出では確かレアなので日本語版よりも遥かに手に入りやすく、全ユーザーに使わせる気満々のレアリティ設定だったと考えています。
この頃の遊戯王の対戦動画ではどこでも《旧神ノーデン》の姿が見られました。
使わない理由が無いレベルの強力なカードなので仕方ないことですが、《エルシャドール・ミドラーシュ》と並んで《簡易融合》が規制される元凶でもありました。
2014.10.11には『ブースターSP-トライブ・フォース-』が発売し、中でも儀式テーマである「影霊衣」は一躍トップメタへと躍り出ます。
沢渡シンゴとその取り巻き達が出演していたCMが印象的なパックですね。
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デッキから融合の次にKONAMIが手を出したのは、エクストラデッキからリリースです。
厳密にはリリースしていませんが、やっていることはそんな感じです。
『ネクスト・チャレンジャーズ』で既に登場していた《虹光の宣告者》との相性はもちろんのこと、《ユニコールの影霊衣》と《ヴァルキュルスの影霊衣》、あるいは《クラウソラスの影霊衣》と《トリシューラの影霊衣》を同時に出すためにレベル12のモンスターをエクストラデッキに用意するなど、従来のデッキでは考えられないような構築がよく見られました。
また《トリシューラの影霊衣》のケアのために手札を全て伏せる、あるいはフィールドをガラ空きのままターンを返すようなプレイングも見られ、【影霊衣】の存在が環境に大きな影響を与えたことに間違いはありません。
ついでに《マンジュ・ゴッド》を筆頭に儀式サポートが軒並み高騰しました。
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さらに『ストラクチャーデッキ-シンクロン・エクストリーム-』の発売と『Vジャンプ(2015年2月号)』によってシンクロ召喚にも追い風が来ました。
環境に食い込むほどの強さはありませんでしたが、シンクロ主体のデッキでやれることが増えたほか【ジャンク・ウォリアー】の安定性と爆発力が高まりました。
現在でも活躍する《ジェット・シンクロン》もこのストラクチャーデッキ出身です。
この頃は他にも『ザ・シークレット・オブ・エボリューション』出身の「インフェルノイド」や『PREMIUM PACK 17』で登場した《No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン》を擁した新たな【征竜】などが誕生し、良環境と呼ばれていた時期でもあります。
2011年3月環境と並んでゲートボールが人気のレギュレーションです。
あちら以上にデュエルスピードが速く、高いカードパワーが特徴的なレギュレーションですが、あちらのように幅広いデッキタイプが存在することからメタゲームが面白いことになっています。
筆者は【征竜】を握り続けていました。8期に囚われた人間です。
2015.1.1〜
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【影霊衣】の活躍を受けて儀式サポートが軒並み規制され、《簡易融合》や《超融合》までも制限カードになりました。
また《大嵐》が禁止カードになった代わりに《ハーピィの羽根帚》が制限カードに復帰しました。
2015.2.14に発売した『クロスオーバー・ソウルズ』では遊戯王ランク4モンスターズを助長する最大の戦犯である《星守の騎士 プトレマイオス》が登場します。
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ここからランクアップするモンスターとして、フリーチェーンでバウンスできる《セイクリッド・プレアデス》や最高打点の《重機王ドボク・ザーク》、《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》のエクシーズ素材となる《サイバー・ドラゴン・ノヴァ》が候補に上がっていました。
特に《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》については同弾で収録されていることから、恐らく公式の想定した使用方法なのでしょう。
さらに全ユーザーに衝撃を与えたカードに《幽鬼うさぎ》もあります。
《星守の騎士 プトレマイオス》に対するメタカードとして登場するやいなや高騰しましたが、それ以外でも《クリフォート・ツール》を潰せるカードとして多くのデッキに採用されました。
チューナーでもあり《緊急テレポート》からリクルートすることで相手ターンに妨害札として構えることができ、非常に高い汎用性を誇っていました。
なお筆者の好きな「セフィラ」カードはここ出身です。
9期末まで新規の音沙汰は無く、環境には1ミリも影響を与えませんでしたが。
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さらに衝撃的な存在として登場したのが、『遊☆戯☆王ZEXAL 第8巻』の付録である《SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング》です。
戦闘時にあらゆる効果の発動を許さず、攻撃力5000になって多くのモンスターを屠る無敵のモンスターです。
あの《シューティング・クェーサー・ドラゴン》すらも後続を残せずに消し飛ばされると言えばその異常性が伝わるかと思います。
エクストラデッキの枠を圧迫するきらいこそありますが、それを補って余りあるほど優秀なカードのため、《簡易融合》《旧神ノーデン》のセット、《星守の騎士 プトレマイオス》を中心としたセットに加えて《No.39 希望皇ホープ》を含んだセットまで入れることがデフォルトと化しつつありました。
9期が始まり1年が経つ頃、アニメ『遊戯王ARC-V』では筆者の好きな「遊矢vs零児」(2戦目)が行われ、今後のアニメ展開に期待を持っていました。
それと同時に「セフィラ」の新規に期待を寄せつつ、Pカードの増加からさらに混沌とした環境が来ることも予期していました。
2015.4.1〜
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事前に《真紅眼の鋼炎竜》の情報が出ており、「征竜と組ませたら強いだろうなあ」と思っていたところ、「征竜」が全部禁止カードになりました。
また《エルシャドール・ネフィリム》も9期出身カードとしては初の禁止カードとなり、以降「ネフィリム返しておじさん」がわらわらと発生するようになります。
他にも《ブリューナクの影霊衣》や《機殻の生贄》《虚無空間》なども制限カードとなり、9期で暴れたテーマが軒並み静かになる規制となりました。
2015.4.25には『クラッシュ・オブ・リベリオン』が発売し、事前に情報のあった《真紅眼の鋼炎竜》を筆頭とした「レッドアイズ」カードの新規が追加されました。
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フィールドから墓地へ送られるだけで「レッドアイズ」カードをサーチできる《黒鋼竜》はその発動条件の緩さを見込まれ、《金華猫》で蘇生してから《ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》の素材にすることでサーチする動きが話題となりました。
同じターンには発動できませんが《真紅眼融合》からさらなる大型モンスターを出すことができ、《ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》自体も攻撃力3000のモンスターのため、環境入りとはいかないもののファンデッキとしては破格の強さを誇るようになりました。
ついでに《ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》が2000円以上に高騰しました。
他にも「Em」や「竜剣士」といった後々活躍するテーマが登場しましたが、注目されたのは《Emトリック・クラウン》くらいで環境を激変させるようなカードはありませんでした。
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自己再生と自身への1000バーンを行うモンスターですが、既存の《H・C サウザンド・ブレード》の自己再生のトリガーとなることから【クラウンブレード】なるランク4軸のデッキが誕生し、遊戯王ランク4モンスターズの加速に拍車をかけました。
上位にいたデッキが規制を受けたことに加えてこのギミックを採用する形が多く見られたため、どこでもランク4のエクシーズモンスターを見る日々が続くこととなります。
あと《旧神ノーデン》は相変わらず強かったです。
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2015.6.6に発売した『デュエリストパック-決闘都市編-』では、満を持して登場した《ラーの翼神竜-球体形』が全ユーザーに衝撃を与えました。
あの《ラーの翼神竜》を特殊召喚できるから……ではなく、相手モンスター3体をリリースして相手フィールドにアドバンス召喚できるという後攻捲り性能の高さが理由ですね。
とはいえこの頃は大量展開による先攻制圧はあまり多くなく、《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》が棒立ちのままターンを返すことも散見されたことから採用率は高くありませんでした。
必ず3体リリースしなければならないという点が《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》以上にネックだったということもあります。
ついでに同弾で登場した《ジュラゲド》は【クラウンブレード】を筆頭にランク4主体のデッキで打点補強とエクシーズ素材の供給を兼ねて幅広く採用されていました。
安価で優秀な効果を持ち、他のデッキ内のカードも安価だったため初心者向けのデッキだったと言えるでしょう。
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そして2015.6.20には『ストラクチャーデッキ-マスター・オブ・ペンデュラム-』が登場します。
豊富な「魔術師」Pモンスターとそれをサーチできるカード群、既に『Vジャンプ(2015年6月号』にて登場していた《慧眼の魔術師》と組み合わせて、ようやくエクストラデッキを肥やしてモンスターを大量展開する【ペンデュラム召喚】のアーキタイプが完成したと言えます。
中でも《竜穴の魔術師》のPスケールが8だったことから《霞の谷の巨神鳥》が注目され、長らく【魔術師】における妨害役を担当することとなります。
筆者は【征竜】が組めなくなったため【レッドアイズ】に転身しました。
ちゃんとVジャンプを買っていたため《ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》の高騰に怯えずとも組めた点が大きかったです。
2015.7.1〜
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まさかの改訂無し。
良くも悪くも環境に変化が無かったことの表れです。
ところが2015.7.18に発売した『ディメンション・オブ・カオス』によって【ペンデュラム召喚】が猛威を振るうようになります。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/110764683/picture_pc_2b0edec82666de3aa0228770d132cea5.png?width=1200)
新たなテーマ「マジェスペクター」の登場です。
下級モンスターによってモンスターや魔法・罠カードをサーチし、P召喚によって盤面にモンスターを揃えつつ、魔法・罠カードのコストに充てるというP召喚の特性を利用した真っ当な【ペンデュラム召喚】のひとつでした。
なぜか「マジェスペクター」モンスターはP効果を持たない代わりに、モンスター効果として「効果対象にならず効果破壊されない」という共通効果を持ち、ステータスも低いことから《奈落の落とし穴》や《激流葬》といった全体除去をものともしない連中でした。
中でもぶっちぎりで頭がおかしかったのは《マジェスペクター・ユニコーン》で、自分のPモンスターと相手のモンスターを1体ずつフリーチェーンでバウンスする効果を持ちます。無論自身も対象にできます。
「マジェスペクター」PモンスターはPスケールが2か5のためP召喚できないのですが、他の【ペンデュラム召喚】では普通にP召喚できることからそこかしこで変な馬がぴょんぴょん跳ね回る光景が見られました。
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さらに《Emヒグルミ》の登場も【ペンデュラム召喚】の隆盛に拍車をかけました。
既に登場していた《竜剣士ラスターP》によって破壊することで2枚目の《Emヒグルミ》を用意しながら「Em」モンスターのリクルートまで行えたことが全ての元凶です。
さらに《EMペンデュラム・マジシャン》と同時にP召喚してからあちらの効果で《Emヒグルミ》を破壊することで損失無くリクルートが行えたことから【EMEm】というデッキが誕生しました。
9期の闇とか呼ばれるデッキですが、筆者は好きでしたよ。スタン落ちの無いカードゲームでカード同士のシナジーを最大限に活かした構築ができるのは面白いものです。
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2015.8.16には世界大会の会場(京都)で先行販売された『ブースターSP-ハイスピード・ライダーズ-』で「スピードロイド」や「PSYフレーム」といった今でも使われるカードが登場しました。
後々活躍するカードも多く、《SRベイゴマックス》はもちろんのこと、《PSYフレームロード・Ω》や《琰魔竜 レッド・デーモン・アビス》もこのパックの出身です。
しかしこの段階で環境に一石を投じる存在はおらず、【EMEm】がのさばる環境となっていました。
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そんな中、2015.9.19に発売した『EXTRA PACK 2015』では「Burning Abyss」こと「彼岸」が登場しました。
下級モンスターはレベル3の闇属性・悪魔族で統一されたこのテーマは海外で既に猛威を振るっており、日本の環境を荒らすために来日しました。
同日に発売した『Vジャンプ(2015年10月号)』では《永遠の淑女 ベアトリーチェ》が登場しており、海外よりも強力なデッキだったはずなのですが、来日した時期が悪すぎて笑顔にさせられました。
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さらに同日に発売した『ストラクチャーデッキR-真帝王降臨-』では相手ターンにアドバンス召喚できる《天帝アイテール》や使うと何故か手札が1枚増える《汎神の帝王》によってデッキを回し、《真帝王領域》によりエクストラデッキを封殺するデッキが誕生しました。
これにより、【EMEm】がトップメタとなりながらも【彼岸】と【帝王】が後を追う環境が形成されました。
筆者は【EMEm】の対策は何がいいのかなと思い試しに【EMEm】を組んでみたら強すぎて、そのまま【EMEm】を握り続けていました。
やはり環境デッキは1度組んでみるのが一番ですね。
2015.10.1〜
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《星守の騎士 プトレマイオス》と《旧神ノーデン》が禁止カードになりました。
悪は滅びたのである。
その代わりなぜか《グローアップ・バルブ》が制限カードへ緩和され、当然のように【EMEm】へ採用されることとなりました。なんで?
『EXTRA PACK 2015』で登場していた《外神アザトート》と《星守の騎士 プトレマイオス》のコンボは、わずか3週間ほどしかできませんでした。
流石に先攻で《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》と同時に並べられては返す手段が無くなるからでしょう。
ありがとう《外神アザトート》。
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2015.10.17には『ブレイカーズ・オブ・シャドウ』が発売し、あの《EMモンキーボード》が登場することとなります。
これでもアニメ版よりは弱体化しているのですが、どうせフィールドに維持なんてしないので関係無い話ですね。
《星守の騎士 プトレマイオス》が抜けた穴を《ナチュル・ビースト》が埋める形となり、安定性と引き換えに対応力を失う形となりました。
また《解放のアリアドネ》《神の通告》の登場によって《フレシアの蟲惑魔》《狡猾な落とし穴》による着地狩りではなく、特殊召喚そのものを潰す形にシフトするタイプも散見されました。
前者はデッキの枠を大幅に取る代わりに着地すら許さない点が強みで、後者は少ないデッキスロットでギミックが成立する代わりに一度は着地を許してしまう点がネックでした。
そこからは長らく【EMEm】の天下でしたが、再び【彼岸】と【帝王】にもチャンスが訪れます。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/110768371/picture_pc_fff0accefb064d30b9f972ad943495a7.png?width=1200)
2015.11.14に発売した『ブースターSP-ウィング・レイダーズ-』で登場した「幻影騎士団」の存在が【彼岸】を救うこととなります。
レベル3の闇属性・戦士族を主体とするテーマであり、レベル3の展開に一役買うこととなります。
《幻影霧剣》のような妨害札を容易にサーチでき【彼岸】に不足していた打点を補うこともできたことから《SRベイゴマックス》を擁する「スピードロイド」の出張セットと共に【SR幻影彼岸】として復権することになったのです。
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一方で同弾にて登場した「超量」カードを利用した【超量帝】もその姿を環境に覗かせるようになります。
そもそも【帝王】には《マジカル・エクスプロージョン》を利用した1ターンキル構築【マジエク帝】が既に存在し、それによるマッチ1本目の先取後にはサイドチェンジから普通の【帝王】へシフトする動きがありました。
そこに「超量」カードを加えることで《帝王の開岩》から《天帝アイテール》をサーチする動きが比較的安定するようになり、再び環境へ顔を覗かせるようになったのです。
しかしながらデッキパワーとしては【EMEm】には及ばず、エクストラデッキが無いというデュエル前に判明する情報からデッキが一瞬でバレるというリスクも抱えており、【SR幻影彼岸】よりも使用者は少なかった印象があります。
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2015.12.12には『ストラクチャーデッキ-ペンデュラム・ドミネーション-』が発売され、【DD】が強化されることとなりました。
持ち前の展開力から《DDD呪血王サイフリート》や《DDD神託王ダルク》などを並べることが容易になりましたが、現環境ではあまり成績を残すことができませんでした。
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そのまま年末までほとんど環境に変化は見られず【EMEm】が活躍していましたが、ジャンプフェスタ2016で先行販売された『PREMIUM PACK 18』で登場した《No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー》を【EMEm】がどうにか取り入れられないか試行錯誤しているうちに2015年は終わりました。
筆者も【EMEm】をこねくり回しているうちに2015年が終わりました。
フォーエバー【EMEm】。
2016.1.1〜
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なんと《Emヒグルミ》が過去最速記録である167日で禁止カードになりました。
現在でもこの記録は破られていません。
あと《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》も禁止カードになりました。
効果が強烈ながら出しにくいカードでも、出しやすくなると禁止カードになる好例(?)と言えるでしょう。
これによって従来の【EMEm】は組めなくなりましたが、元々「竜剣士」ギミックを一部取り入れていたため、【EM竜剣士】に構築がシフトして環境に残り続けました。
大量展開は正義です。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111077241/picture_pc_628c0d8a0b2680ffdc7ecefb51859071.png?width=1200)
2016.1.9には『シャイニング・ビクトリーズ』が発売され、「ブルーアイズ」の新規カードが登場する形で過去テーマにテコ入れがされました。
ところが「ブルーアイズ」はあまり見向きされずに【EM竜剣士】が環境を制し続けていました。
人によっては《EMオッドアイズ・ユニコーン》というサーチが容易でデメリットの無い上スケールを利用して《霞の谷の巨神鳥》を採用する例がありました。
【青眼の白龍】が環境に顔をチラチラ出すようになったのはその後です。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111077648/picture_pc_d0dba17ae6665af50114d42bb4762d86.png?width=1200)
2016.2.6発売の『ストラクチャーデッキR-巨神竜復活-』にて《復活の福音》が登場したことでドラゴン族の場持ちが良くなり、時折環境に顔を覗かせるようになりました。
《青眼の精霊龍》は同時に2体以上を特殊召喚する行為を封じ、《月華竜 ブラック・ローズ》をフリーチェーンで出すことによる妨害までこなすことができました。
《青き眼の賢士》から《エフェクト・ヴェーラー》をサーチしたり、《No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー》でX素材にする形で魔法カードを無効にするなど、【EM竜剣士】に対するメタとして機能していたためです。
それでもなお【EM竜剣士】は《爆竜剣士イグニスターP》によるバウンスや《SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング》による一刀両断によって【青眼の白龍】に対しても優位に立ち続けることとなります。
そして環境が変わること無く、次のリミットレギュレーションの改訂を迎えることになります。
当時の筆者は【EM竜剣士】と【青眼の白龍】を両方握っていました。
流石に【EM竜剣士】の天下は長続きしないだろうとの予想から次のデッキを探していたためですね。
2016.4.1〜
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111080343/picture_pc_a2cec96411b23a6db6be5d7415fb1223.png?width=1200)
《EMモンキーボード》まで禁止カードになりました。
《Emヒグルミ》と並んで167日で禁止カードになりましたが、閏年でなければ単独トップの座に君臨していたでしょう。
さらに多くのデッキを支えてきた《ラヴァルバル・チェイン》も禁止カードとなり、汎用ランク4の選択肢が1つ失われることとなりました。
他にも《EMドクロバット・ジョーカー》を始めとする【EM竜剣士】の主要パーツ、《汎神の帝王》を始めとする【帝王】の主要パーツ、《彼岸の旅人 ダンテ》を始めとする【彼岸】の主要パーツに規制が入り、これまでの環境デッキが安定性を失う形で環境から姿を消すことになりました。
この後の商品・メディア展開から、原作ファンを呼び戻す際に不健全と思われる現環境を是正する目的があったものと思われます。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111081059/picture_pc_a95cd0ed4bc134499faf7a730f24f2c3.png?width=1200)
2016.4.9に発売した『ザ・ダーク・イリュージョン』にて「ブラック・マジシャン」の強化が入りました。
環境トップレベルの強さとはいきませんが、サポートカードが増えたことによって【ブラック・マジシャン】がようやくそれなりに安定して《ブラック・マジシャン》を出せるデッキになったと言えるでしょう。
この後も断続的に優秀な強化が入るテーマとなります。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111084047/picture_pc_4f05a80ec6a4506f63cca6a473c345d9.png?width=1200)
また「メタルフォーゼ」の登場により、再び【ペンデュラム召喚】が注目されることとなります。
奇しくも『ストラクチャーデッキ-マスター・オブ・ペンデュラム-』で登場して活躍したスケール1と8というペンデュラムスケールを有するテーマであり、《霞の谷の巨神鳥》と《マジェスペクター・ユニコーン》が暴れ回ることになります。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111084100/picture_pc_7c9b0b0c7c072a3d3c2f5515924ef8a6.png?width=1200)
加えて《BF-朧影のゴウフウ》が登場し、【シンクロダーク】というデッキタイプも登場しました。
6期で活躍した【シンクロダーク】とは名前の異なる別デッキで、《PSYフレームロード・Ω》を連打して先攻5ハンデスしながら《シューティング・クェーサー・ドラゴン》や《虚無空間》で蓋をするデッキです。
うっかり《増殖するG》を発動させるとデッキを全て引かされる可能性もあり、後攻でも普通のデュエルが可能という強力なデッキでした。
波乱の新環境により多くのデッキに活躍の機会が訪れましたが、そんな環境はいつものように終わりを迎えます。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111171189/picture_pc_3bb3749cfdef1fd185e74a022dfbd221.png?width=1200)
2016.6.18に『ストラクチャーデッキ-武藤遊戯-』『ストラクチャーデッキ-海馬瀬人-』が同時発売しました。
似たような効果の下級モンスターと似たような効果のエースモンスターを擁するストラクチャーデッキであり、既存のエースモンスターと融合させることで新たな切り札を出すというコンセプトまで同じの商品となっています。
環境に一石を投じたのは『ストラクチャーデッキ-海馬瀬人-』で登場した【ABC】でした。
既存のランク4のエクシーズモンスターの恩恵をフルに受けつつ、《ABC-ドラゴン・バスター》によるフリーチェーンの除去と分離効果でアドバンテージに差をつけるデッキです。
《ゴールド・ガジェット》などを併用することで《武神帝-ツクヨミ》による手札交換を行いつつ先攻から《ABC-ドラゴン・バスター》を立て、そこに永続罠で行動を制限する形で環境デッキの仲間入りを果たします。
【青眼の白龍】と【ABC】によって突如「海馬環境」と化し、次のリミットレギュレーションを迎えることとなります。
筆者は変わらず【青眼の白龍】を握っていましたが、【ABC】も研究のために触り時折使っていました。
2016.7.1〜
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使用率の下がったカードが一部制限緩和されただけで済み、環境レベルでは何一つ変わらない改訂となりました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111172269/picture_pc_784b9f44dc3ff405d467ebaf75aaccaa.png?width=1200)
2016.7.9には『インベイジョン・オブ・ヴェノム』が発売しました。
テーマとしては環境クラスのものは現れませんでしたが、カード単体では《次元障壁》《源竜星-ボウテンコウ》《餅カエル》《メタルフォーゼ・ミスリエル》など長きにわたって活躍するカードが収録されました。
中でも《次元障壁》は直撃すると機能停止するデッキが存在するほどのカードであり、このカードが直撃するか否かがデッキ選択に影響するほどのパワーを秘めていました。
ちなみに【青眼の白龍】にも【ABC】にも直撃はしないので、彼らがメタカードとしてメインデッキあるいはサイドデッキに採用することになりました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111172717/picture_pc_5f5b8d193e334aa6a7d101f1d62aa63f.png?width=1200)
2016.8.6には『ブースターSP-デステニー・ソルジャーズ-』が発売しました。
中でも【堕天使】は墓地の「堕天使」魔法・罠カードを使い回せ、多くのドローソースによってデッキを回しながら《虚無魔人》を出すことで制圧できたことから一躍環境デッキの仲間入りを果たします。
《次元障壁》が刺さらないことが大きな強みでしたが、既存の《堕天使スペルビア》などを巻き込んで展開力まで獲得したことが大きな要因でしょう。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111173358/picture_pc_a55f8136452337baf15b1b85eaff5663.png?width=1200)
さらに2016.9.10には『EXTRA PACK 2016』が発売しました。
全米で猛威を振るっていた「Kozmo」と「壊獣」、韓国産の罠テーマである「バージェストマ」が来日し日本でも活躍し始めました。
【Kozmo】は対象耐性持ちの3000打点である《Kozmo-ダーク・シミター》をエースとするデッキであり、海外は言わずもがな、日本でも大きな脅威として多くのデッキに立ち塞がりました。
破壊と相性の良い「メタルフォーゼ」とも組み合わせやすく、《次元障壁》をものともしないデッキであることも強みとなりました。
「壊獣」は情報が出た時から来日が恐れられた存在ですが、その襲来は当然日本中を震撼させました。
モンスター1体が棒立ちしていてもチェーンブロックを作らずに処理されるのは恐怖の一言であり、特に【ABC】では《ABC-ドラゴン・バスター》を処理されることで後続が立たなくなるという問題まで発生するようになりました。
《妨げられた壊獣の眠り》と共に、後攻の捲り札として数多くのデッキがサイドデッキに投入する存在になりました。
「バージェストマ」も環境で常に見かける存在ではありませんでしたが、《餅カエル》と組み合わせた【バジェガエル】として細々と成績を残していました。
「壊獣」が刺さりづらい点も評価点だったと言えるでしょう。
筆者は大会では【青眼の白龍】を使いながらも、「クリストロン」を搭載した【セフィラ】の研究をしていたようです。当時の写真にレシピが残っていましたが、何を考えていたのかはさっぱりわかりません。
2016.10.1〜
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111175655/picture_pc_8365a358c7570d38eaff75037f032df8.png?width=1200)
【シンクロダーク】で暴れた結果、《レベル・スティーラー》が禁止カードに、《PSYフレームロード・Ω》が制限カードになりました。
また過去の規制カードが緩和されることとなり、群雄割拠の時代が訪れることを想起させる改訂となりました。
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そんなことはありませんでした。
2016.10.8に発売した『レイジング・テンペスト』では「十二獣」が登場し、そのアホみたいな展開力からたちまち環境入りすることとなります。
この頃は《Kozmo-ダーク・シミター》を処理できるかが環境で活躍できるか否かの分かれ目でしたが、【十二獣】では《十二獣ヴァイパー》を安定してサーチしながら戦闘後の効果で処理しつつ破壊時のリクルート効果も使わせないことでシェアを広げていきました。
初動たる《十二獣モルモラット》も実質12枚体制で用意でき、その安定性と対応力の高さが環境入りした要因と言えるでしょう。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111176521/picture_pc_b0e41b608121a8f1726458a1a0bb7bce.png?width=1200)
【十二獣】が環境に増えていく中で【インフェルノイド】も《隣の芝刈り》《煉獄の狂宴》の登場によって再び環境に顔を出すようになりました。
40枚ほどの構築が基本となる環境においては《隣の芝刈り》の通りが良く、《左腕の代償》と合わせて6枚体制の中から引くことができれば勝利が目前というほどのパワーカードと化しました。
一方で引けない時は何も起きずに大人しく死んでいく、運の要素が非常に強いものの爆発力を秘めたデッキとして度々成績を残すようになります。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111176813/picture_pc_6063d604b6058a647edb364af8634e25.png?width=1200)
また『ストラクチャーデッキR-機械竜叛乱-』で強化されていた【アンティーク・ギア】も、新規の融合モンスター2種類を獲得したことで細々と成績を残すようになりました。
いずれも《Kozmo-ダーク・シミター》を悠々と乗り越えられるデッキであり、海外からの刺客は徐々にその存在感を薄めていくようになりました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111177086/picture_pc_686f361690abb61bd719da257670fd4d.png?width=1200)
2016.11.12には『ブースターSP-フュージョン・エンフォーサーズ-』が発売し、そこで登場した「召喚獣」も強力なデッキとして度々成績を残すようになりました。
採用率の高かった光属性モンスター全般を吸いながら《神の摂理》を内蔵した《召喚獣メルカバー》を出すことができ、そのパーミッション効果で相手を圧殺できたことが強みでした。
また《召喚師アレイスター》は《召喚魔術》のサーチだけでなく、融合モンスターの打点を1000アップできる効果まで所持していたことから、《召喚獣メルカバー》は実質攻撃力3500の要塞と化していた点も強みのひとつでした。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111177340/picture_pc_1a366723d13d60e568b8797319af745f.png?width=1200)
さらに2016.11.26には『DIMENSION BOX LIMITED EDITION』が発売され、《WW-グラス・ベル》は手札1枚から効果破壊耐性付きの《クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン》に繋がることから多くのデッキに出張での採用がされました。
風属性しか特殊召喚できないデメリットを踏まえても強力な効果と耐性を持つ《クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン》を召喚権を割かずに出せることは大きな強みであり、多くのデッキではこれの対処にも迫られることとなりました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111177712/picture_pc_60c14e07454f71bf63b4ba4ce4c9a248.png?width=1200)
2016.12.17には『20th ANNIVERSARY PACK 1st WAVE』が発売しました。
中でも目玉だったのはフリーチェーンで「HERO」モンスターの攻撃力を上げる《E・HERO オネスティ・ネオス》の登場です。
既に《餅カエル》を《バハムート・シャーク》から出しつつ《M・HERO ダーク・ロウ》と共に構えるタイプの【餅HERO】が存在していましたが、戦闘破壊されやすいという弱点を補強できる存在としてピン挿しされるようになりました。
結果的に群雄割拠の時代を終えたこのレギュレーションでしたが、筆者の思っていたものとは違う結末を迎えました。
いつの間にか【青眼の白龍】も【ABC】も姿を消しつつあり、筆者も【十二獣】にデッキをシフトしていました。
2017.1.1〜
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111178396/picture_pc_d8f7a4cfd636eff0affd7f41b2eb674b.png?width=1200)
《マジェスペクター・ユニコーン》がついに禁止カードとなった他、【十二獣】への間接的な規制と【ABC】【ガエル】への直接的な規制がかかりました。
また《王宮の勅命》がエラッタと共に制限緩和されました。
9期最後の改訂となりますが、遊戯王OCGは今回も平常運転でした。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111178310/picture_pc_b3c06746e74800ff1180b84f526f19c3.png?width=1200)
2017.1.14には『マキシマム・クライシス』が発売されました。
規制経験済みカードの収録数が2位タイとなるこのパックによって、これまでの9期のデッキは概ね過去のものとなりました。
ある意味9.5期と呼べる存在でしょう。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111178691/picture_pc_c71b6bea86543d08e3b7fdb3bb8e9914.png?width=1200)
最も衝撃的だったのは《灰流うらら》の登場でしょう。
デッキに触れる効果を無効にする対応範囲の広さから概ね全てのデッキで必須カードと化し、ほぼ止められなかった《増殖するG》すらも貫通するようになった規格外のバケモンです。
当然ですがこの頃は《墓穴の指名者》も《抹殺の指名者》も存在しません。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111178962/picture_pc_b82a02ea01d9be31f1447954167b91c6.png?width=1200)
新たに登場しデッキとして組めるようになった【真竜】は《次元障壁》の影響を受けずに、アドバンス召喚と称する何かによって上級モンスターを並べて制圧するデッキとして環境に姿を現しました。
《ドラゴニックD》の破壊の範囲が手札にも及ぶことから「Kozmo」と組ませてあちらの効果を補助したり、そうでなくとも強固な耐性とフリーチェーンの除去を備えた《真竜剣皇マスターP》をサーチすることで【真竜】の安定性を底上げしました。
なお当然のように1ターンに1度の制限はありません。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111179301/picture_pc_b84d70b1c36152c36e2b99b291787e1d.png?width=1200)
さらに《LL-インディペンデント・ナイチンゲール》が特殊召喚に一切の誓約を持っていなかったことにより、《簡易融合》から特殊召喚して《The tyrant NEPTUNE》をアドバンス召喚することで完全耐性持ちの攻撃力6000かつ毎ターン5000バーンの起動効果を行える凄まじい置物を用意することができるようになりました。
たまにプレイされる程度で環境でよく見るカードとはいきませんでしたが、結果として次の改訂で《The tyrant NEPTUNE》が禁止カードになります。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111179608/picture_pc_bfd73dd3e82eb2e573bf49292a4a699a.png?width=1200)
およそ2年前から音沙汰なかった「セフィラ」に突如新規カードが追加されました。
キーカードたる《智天の神星龍》が実質9枚体制で使用でき、《竜星の九支》《セフィラの神撃》という2種類のカウンター罠を擁することから度々成績を残すようになりました。
《十二獣ブルホーン》から上スケールと下スケールの双方を確保でき、P召喚の安定性が格段に上がった点も強さの秘訣でしょう。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111180467/picture_pc_4c5c0112da137007e9cf16692cdd7aba.png?width=1200)
無論「十二獣」にも新規カードが追加され、エクシーズモンスターが増えた分だけ《十二獣モルモラット》がフィールドに増えることになりました。
《十二獣ハマーコング》は相手だけでなく自分の「十二獣」モンスターも対象にできなくなることからミラーマッチで重宝され、《十二獣ライカ》の効果を駆使して《十二獣ドランシア》と共に並べてターンを返す場面が多く見られるようになりました。
このような強力なカードが増えたことで、フィールドにモンスターがいないところに手札誘発を投げる場面が増え、それに対するメタとして《PSYフレームギア・γ》が注目されるようになります。
また《十二獣ドランシア》や「真竜」カードが破壊を得意とすることから《スターダスト・ドラゴン》をシンクロ召喚することで相手の妨害にもなるという場面が生まれました。
たった1つのパックで大きく環境が動いた点は『ザ・デュエリスト・アドベント』を彷彿とさせますが、ここで登場した多くのカードが現在でも使われていることから、あちらとはさらに隔絶した強さを持ったパックだったと言えるでしょう。
なおあちらのパックも「シャドール」だけは未来に生きていたと言えると思います。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111180919/picture_pc_64d1ed7b5ed8d41e591fad95aa8ab823.png?width=1200)
そして2017.2.25には『ストラクチャーデッキR-恐獣の鼓動-』が発売し、9期の環境に最後の波風を立てます。
《魂喰いオヴィラプター》から様々な恐竜族へアクセスでき、相手の手札誘発も《幻想のミセラサウルス》で透かせることから妨害を受けにくい点が展開する上で強力でした。
《真竜皇リトスアジムD》で《ベビケラサウルス》《プチラノドン》を破壊する動きに《増殖するG》を当てられると大量ドローされてしまうものの、相手のエクストラデッキを覗きながら任意のカードを除外しつつ《真竜皇V.F.D.》を着地させることで相手ターンを実質スキップさせながら《究極伝導恐獣》で相手を踏み潰す動きで【十二獣】【真竜】を相手に大立ち回りを演じました。
数多くのデッキ「十二獣」が出張し【十二獣○○】が乱立する中で【真竜】や【恐竜族】が対抗馬となり、加速するインフレがこれまでの遊戯王を置き去りにしたところで、9期は終焉を迎えます。
筆者は【十二獣セフィラ】を使用していました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111185836/picture_pc_30be913709b10297d176f41464814195.png?width=1200)
現在では再現不可能ですが、強固な盤面を築けて《増殖するG》を打たれるとそのままライブラリアウトで勝利を狙える構築になっていました。
まとめ
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111186092/picture_pc_ef451c09da8d4688a39b7cf0286a2088.png?width=1200)
だいぶ長くなってしまいましたが、以上が9期の振り返りとなります。
筆者の目線の意見も多く客観的な記事とはなりませんでしたが、概ね間違っていないと思います。
筆者の高校〜大学生活を捧げてきた期間であり思い出補正も強いかもしれませんが、後攻0ターン目から《エルシャドール・ミドラーシュ》が立ったり初動札16枚体制から返しのターンのドローフェイズに4枚ドローされたりするよりはずっとマシだったと思います。
現代では力不足と思えるカードも散見され、《EMモンキーボード》が制限復帰したことも記憶に新しいですね。
過去のデッキから得られる学びも存在します。
遊戯王OCGの歴史を振り返りながら、自分の遊戯王の経験値を高めることもいいでしょう。
皆さんがこれからも楽しくデュエルできるように願っています。