【TG代行】について(ゲートボール1103環境@マスターデュエル)
皆さん初めましての方は初めまして、そうでない方は前回までの記事を読んでいただきありがとうございます。その辺の決闘者の衣玖(いく)と申します。
よく公園で老人達が集まってゲートボールをしている姿を見かけるでしょう。
その姿をなぞらえて、過去の環境でデッキを構築しデュエルすることをゲートボールと呼びます(※諸説あり)。
今回は遊戯王において支持率の高いゲートボールである1103環境のデッキについての記事となります。
カードプール
先に当時のカードプールを確認しておきましょう。
使用可能なカードの中で最新のものは《No.30 破滅のアシッド・ゴーレム》であり、遊戯王ニューロンで発売日順に検索した際に《インフェルニティ・ジェネラル》以降に表示される全てのカードは使用不可能となります。
また当時の禁止・制限カード(現:リミットレギュレーション)についても確認しておきましょう。
そして当時の禁止・制限カードでは使用できたものの、現在マスターデュエルでは生成できないカードについても併記しておきます。
それではデッキレシピを見ていきましょう。
デッキレシピ
デッキ名の通り「TG」と「代行者」を組み合わせたデッキであり、あらゆるデッキに対して五分以上の有利を誇っていたデッキです。
1103環境のスタンダードである《ライオウ》や《魔導戦士ブレイカー》は搭載していませんが、それを補って余りあるデッキパワーを有しており、特に《マスター・ヒュペリオン》の存在によって相手へ常に圧力をかけられることが強みです。
詳しくデッキの中を見てみましょう。
「TG」モンスター
アニメ『遊戯王5D's』にて謎のD・ホイーラーことアンチノミーが使用していたカード群です。
破壊されたターンのエンドフェイズ時に後続をサーチできる共通効果を持ち、自身を特殊召喚できる効果を持つモンスターの存在により多くのデッキへ出張していました。
このデッキでもデッキ名の通り出張しています。
×3 《TG ストライカー》
×3 《TG ワーウルフ》
《TG ストライカー》は《サイバー・ドラゴン》と同じ条件で特殊召喚できるチューナーであり、《増援》にも対応するという優秀なステータスを持っています。
後攻ではこのカードの特殊召喚から入り、Sモンスターによって相手フィールドを荒らすことが目的となっています。
このデッキに《増援》は採用されていないため「引けたら使う」くらいのカードですが、採用することで後攻での爆発力を高めることも検討できるでしょう。
《TG ワーウルフ》はレベル4以下のモンスターが特殊召喚された場合に特殊召喚できるモンスターです。
効果のトリガーは相手でも良いですが、基本的には自分の特殊召喚をトリガーとして展開の補助に使いたいです。
緊急用の壁にはなる、とだけ頭の片隅に入れておくといいでしょう。
他にも「TG」の出張セットには一方的に《ライオウ》を戦闘破壊できる《TG ラッシュ・ライノ》も存在しますが、後述する《創造の代行者 ヴィーナス》が事実上単独で《ライオウ》を処理できることから採用していません。
《TG ストライカー》に頼り後攻に特化した構築をするならば《ライオウ》の処理用に挿してもいいかもしれません。
「代行者」関連モンスター
《天空の聖域》と密接な関わりのある「代行者」モンスターとその関連カードです。
×3 《神聖なる球体》
×3 《神秘の代行者 アース》
×3 《創造の代行者 ヴィーナス》
×3 《マスター・ヒュペリオン》
《神秘の代行者 アース》は召喚時に「代行者」モンスターをサーチできるチューナーです。
《天空の聖域》が存在する場合は《マスター・ヒュペリオン》をサーチすることもできますが、このデッキには採用されていないため《創造の代行者 ヴィーナス》をサーチするために採用されています。
チューナーである点も優秀で、各種Sモンスターへ繋ぐ架け橋にもなっています。
《創造の代行者 ヴィーナス》はこのデッキの中核をなすカードであり、こいつを引かないと話になりません。
効果としてはLP500を支払うことで《神聖なる球体》をリクルートするだけですが、この効果には1ターンに1度の誓約が存在しないためLPが尽きるまでデッキ内の《神聖なる球体》を無限にリクルートできます。
肝心の《神聖なる球体》はレベル2の通常モンスターであり単体では非力なカードです。
かつては《D-HERO Bloo-D》や《アルカナフォースEX- THE DARK RULER》といった大型モンスターのコストくらいにしか考えられていませんでしたが、X召喚の登場によってその評価を一変させました。
特に《ガチガチガンテツ》は全体に攻守400の強化を撒き、《創造の代行者 ヴィーナス》の攻撃力を2000まで底上げして《ライオウ》を乗り越えるようになります。
また《ダイガスタ・フェニクス》という自身に2回攻撃を付与できるXモンスターも存在することから、攻めにも守りにも使える便利なカードへ変貌しました。
そしてこのデッキのエースである《マスター・ヒュペリオン》は手札・フィールド・墓地の「代行者」モンスター1体を除外するだけで特殊召喚できる最上級モンスターです。
緩い召喚条件に反して攻撃力は2700と非常に高く、墓地の天使族・光属性モンスターを除外することでフィールドのカード1枚を選択して破壊できる起動効果まで持ち合わせています。
《天空の聖域》が存在するとこの効果を1ターンに2度まで発動できますが、このデッキには採用していないため蛇足テキストとなっています。
特殊召喚も破壊効果も同名カードで1ターンに1度の誓約は存在しないため、手札次第ではこのカードを連打するだけでゲームエンドまで持ち込むこともできます。
《創造の代行者 ヴィーナス》で盤面を築き、《神秘の代行者 アース》でその安定性を高め、《マスター・ヒュペリオン》でデュエルを終わらせる、1103環境を否定するレベルの強力なカード群です。
このことから1103環境では【代行天使】がトップメタとして君臨し、その派生デッキ同士が肩を並べ、【HEROビート】や【ジャンクドッペル】などのデッキがその後ろに続くような勢力図でした。
しかし遊戯王OCGには《王宮の弾圧》や《ダスト・シュート》が存在したことに加えてマッチ戦でのサイドデッキまで含めた環境だったため、マスターデュエルでのシングル戦では、あくまで他のデッキよりもやや上振れの強いメタの一角止まりとなります。
汎用カード
他のカードは概ね汎用カードですが、いくつか目立つものをピックアップしておきましょう。
まずは《大天使クリスティア》ですね。
こちらは【代行天使】ならともかく【TG代行】では採用の是非が分かれるカードです。
お互いの特殊召喚を封殺するカードでありながら墓地に天使族モンスターが4体存在するだけで特殊召喚でき、墓地へ送られる場合でも代わりにデッキトップへ戻るという割と頭のおかしい性能のカードです。
このカード自体は特殊召喚モンスターではないためアドバンス召喚や蘇生などもできますが、自身を特殊召喚する条件である墓地に天使族モンスターを4体用意することを満たすケースが【TG代行】ではやや少ないです。
《創造の代行者 ヴィーナス》が絡めば条件は容易に達成できますが、今度は《マスター・ヒュペリオン》を活用して墓地を調整しなければ天使族が肥えすぎてしまいます。
つまり欲しい時は出せない時が多く、出せる時はだいたいオーバーキル気味という調整ミスみたいな存在のカードということになります。
それでも筆者はデッキによっては詰むカードとしてピン挿ししています。
決まれば強い必殺技は用意しておくに越したことはありません。
他には《トラゴエディア》も特筆すべきでしょうか。
【トラゴーズ】では《冥府の使者ゴーズ》と双璧を成すカードであり、S召喚全盛期に刷られたカードでありながらX召喚にマッチした効果を持ちます。
多くのデッキで採用されるレベル4モンスターは採用していませんが、レベル3であれば奪いたい放題できます。
またそのコストで捨てたレベル3モンスターのレベルをコピーすることで、容易にランク3のXモンスターを出すことができます。
レベルのコピーではレベル2となることで《神聖なる球体》無しでもランク2のXモンスターになることもでき、まさに変幻自在のモンスターとなります。
一般的に《冥府の使者ゴーズ》しか採用されていない1103環境でこのカードまで採用している最大の理由は、S召喚にもX召喚にも使えるためです。
墓地のモンスターのレベルをコピーできる効果は非常に強力で、ダメージを受けた後の切り返しとしては優秀な効果です。
手札が豊富であればそのままアタッカーとして運用することもでき、総じて無駄が少ない強力なカードと呼べるでしょう。
そして似たような用途のカードとして《精神操作》も採用されています。
こちらはレベルを問わずモンスターを奪えるため、足りないレベルを利用したS召喚の補助など器用な使い方ができます。
リリースできないためアドバンス召喚の補助には使えませんが、ミラーマッチで相手の《創造の代行者 ヴィーナス》を奪えた場合は《神聖なる球体》を展開した上で《マスター・ヒュペリオン》の召喚コストに充てることでの処理も狙えます。
特別相性の悪いカードはほとんど無いですが、《冥府の使者ゴーズ》を採用している関係で《リビングデッドの呼び声》は採用していません。
プレイに気をつけていれば共存もできるので、好みのカードを入れるといいでしょう。
EXデッキ
Sモンスターは汎用性の高いものを適当に入れればOKでしょう。
《神秘の代行者 アース》と《TG ストライカー》が共にレベル2のチューナーであるため、それを意識して採用するカードを決めるといいですね。
中でも《氷結界の龍 トリシューラ》は《TG ストライカー》を特殊召喚した後に《創造の代行者 ヴィーナス》で《神聖なる球体》を展開したり《精神操作》で相手のレベル4モンスターを奪うことで比較的手軽にS召喚できるため、是非とも採用したいカードです。
Xモンスターについてはとりあえず適当なランク4を積んでいた他のデッキと異なり、ランク2あるいはランク3を採用することとなります。
ただし1103環境はX召喚の黎明期であり、選択肢は非常に狭いものでした。
ランク2 (レベル2×2)
《ガチガチガンテツ》
《ダイガスタ・フェニクス》
《シャインエルフ》
ランク3 (レベル3×2)
《グレンザウルス》
《虚空海竜リヴァイエール》
《潜航母艦エアロ・シャーク》
《No.17 リバイス・ドラゴン》
《ラヴァルバル・イグニス》
《No.20 蟻岩土ブリリアント》
《No.30 破滅のアシッド・ゴーレム》
ランク3 (レベル3×3)
《No.34 電算機獣テラ・バイト》
X素材に縛りのある《ブラック・レイ・ランサー》を除くと、選択肢はこれしかありません。
当時ですら《潜航母艦エアロ・シャーク》は産廃であり、《ラヴァルバル・イグニス》はほぼ《No.17 リバイス・ドラゴン》の下位互換だったため選択肢はさらに狭まります。
フィールドに居座ったり破壊されたりすることが前提であるこのデッキのレベル3モンスターを使用してまで《No.20 蟻岩土ブリリアント》を出したい場面はまず存在しません。
また当時は効果が有用だったものの素材が重すぎて出す機会の無い《No.34 電算機獣テラ・バイト》もEXデッキを圧迫するだけです。
そのため、非採用カードで採用の余地があるのは実質攻撃力2100となる《シャインエルフ》とモンスターを戦闘破壊することで1000ものバーンダメージを与える《グレンザウルス》くらいです。
こうしてXモンスターを先に入れ、空いた枠にSモンスターを入れることでEXデッキは完成します。
戦術
既に書いている通り、《創造の代行者 ヴィーナス》の効果を使用して《神聖なる球体》を並べることが基本戦術となります。
同名の通常モンスターでも並べれば強いことは《レスキューラビット》が証明しています。
この動きだけでも強いのですが、他のカードを足すことでさらに発展した動きができます。
例えばレベル2のチューナーである《TG ストライカー》を足すことで、レベル4〜9のいずれかのSモンスターを出すことができます。
《ガチガチガンテツ》の横で《アームズ・エイド》を装備した《創造の代行者 ヴィーナス》は攻撃力3000の直火焼きモンスターと化し、対処の難しい存在となります。
無論《氷結界の龍 トリシューラ》で相手の反撃の芽を摘むことも選択肢に入ります。
通常であれば攻撃力2700のモンスターが棒立ちしているだけでも脅威です。
この場合は《創造の代行者 ヴィーナス》が墓地へ送られているため《マスター・ヒュペリオン》で追加の打点を用意してもいいでしょう。
相手の場がほぼガラ空きであれば《ダイガスタ・フェニクス》による連続攻撃でLPを奪う選択肢もアリでしょう。
《ガチガチガンテツ》と《ダイガスタ・フェニクス》、《創造の代行者 ヴィーナス》による総攻撃のダメージは6700にまで達し、3体目の《神聖なる球体》の特殊召喚に合わせて《TG ワーウルフ》を特殊召喚すれば1ターンキルができます。
手札とフィールド次第で1ターンキルできる場面が多く、《マスター・ヒュペリオン》の存在から様々な相手への対応力の高さが光ります。
これこそが【TG代行】の強みと言えるでしょう。
まとめ
今回は1103環境のメタの一角である【TG代行】の記事でした。
マスターデュエルでプレイするため先攻ドローが無く、《王宮の弾圧》や《ダスト・シュート》も存在しない環境であるため当時の環境とは微妙に異なりますが、似たような雰囲気は味わえるでしょう。
《創造の代行者 ヴィーナス》を引けるか、その展開が通せるかが鍵となるデッキのため引きにやや左右されますが、基本的には常に高いパフォーマンスを発揮してくれるため理解を深めることでデッキも応えてくれるでしょう。
この記事でより多くの人が1103環境を楽しんでもらえると嬉しいです。
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