年金生活#94
仏映画「オークション」を観に渋谷に出かけた。朝一番の回、場所はBunkamuraルシネマ、といっても東急本店の再開発のため現在、渋谷宮下に移転中。ビックカメラがメインで入っているビルの7階9階で正直言って文化村的雰囲気ゼロ。中高年の女性二人連れがやたらと多い。じじいは朝に弱いか。ユダヤ人がナチスの迫害から逃亡する際に手放したエゴン・シーレの「ひまわり」がアルザス・ミュルーズの労働者宅で見つかることから話が始まる。主人公はオークションハウスで働く離婚歴ある、車と時計が趣味の俗物。だが意外と可愛い俗物。富裕層が渦巻くオークションの世界とアルザスの労働者家族の対比。「ひまわり」は現代では何十億円もの価値があるがヒトラーは退廃芸術の1つと見做した。高く売りたい人と安く買いたい人がせめぎ合うオークション。材料は十分だ。だが監督はやたら枝葉末節にこだわり、いささか消化不良の感あり。けれど仏映画らしい軽快さは素晴らしかった。「鳥竹」で焼鳥丼でビール1本飲んで帰宅。平日昼間の渋谷はおとなしめだった。