旅の話(京都)
今年の夏はあまり遠くへ旅に出られなかった。
本当なら一日中、外に出て、ぶらぶら歩いて、きになるお店に入って、お金を使って、店員さんとおしゃべりして、両手がいっぱいになって、歩きづらくなって、暗くなって、、、帰って思い切り寝る!
こんな旅をずっとしていたい。
しかし、お金がない。だから近所をぶらぶら散歩する。
(これだけでも充分私の心は満たされるのだ!)
京都には行けた。
久しぶりの遠出、憧れの下鴨神社の古本市、鴨川デルタ。
気分が高まりすぎて、普段ならスニーカーで旅をするのに革靴を履いて家を出てしまった。しかも最近買ったまだ足に慣れていない革靴を。
私は保育園以来守ってきた「歩きやすい靴を履いてきてください」という文言を初めて破ってしまった。 大失態である。
案の定、京都駅に着いて、しばらく歩いたら、少し靴擦れを起こし始めた。
痛いのは嫌いだが、街を歩かないのはもっと嫌いである。
気合いで靴擦れの痛さと、茹だるような暑さの中、鴨川デルタまで歩き続けた。
死にそうだった。
特に、京都御所付近を歩いている時。
京都御所を歩くのはとんでもなくつまらない。
たとえ歴史ある場所であろうと歩く楽しさを見出せない場所は悪だ!なぜあんなにも長いのに何もないのだ!
地獄を抜けた先に、鴨川デルタはあった。
穏やかに流れる加茂川と高野川の合流地点、二つの流れが出会い、鴨川となるのである。
私も鴨川の流れに乗って京都駅まで下りたいところではあったが、奥の下鴨神社へ。
ようやく念願の古本市である。
豊かな緑に囲まれ小川も流れるこの場は、体感気温も二度ほど低く、とても穏やかな空間であった。
私はとんでもない発汗量により、tシャツはびしょびしょではあったが、そんなことは無視して、惹かれるがままに本を漁った。
本好き、古本好きは是非とも一度は行って欲しい。
帰りは手もふさがり足の方も限界だったので、渋々(本当に渋々だから!)バスに乗った。
多くの豊かな本たちを得ることができた。
それと同時に首にかけていたお気に入りのサカナクションのマフラータオルを失っていることにも気づいた。
そのショックの方が大きかった。
帰りはサカナクションの「ショック!」を聞きながら、旅の帰路に着いた。
今回の旅は得たものもあったが失ったものもあった。
靴づれも痛かった。
しかし、総じて良い旅であった。
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