ヒーリングミュージック

これまでの人生で、ものすごくしょっちゅう、ひどい病み期を経験している。
もう10年近く前、ボロボロになり、もう自分が生きたいのか死にたいのか、そんなこともわからなくなってしまっていた頃、1枚のCDをよく聴いていた。

それは、ヒーリングミュージックのCDだったのだろうか。
喜多郎のシルクロードのテーマが一曲目、宗次郎の大黄河が二曲目だった。
わたしはその一曲目と二曲目を、何度も何度もリピートした。
子供の頃から、なんとなくテレビのチャンネルがNHKになっていて、たまたまシルクロードが始まったとき、たまたま大黄河が始まったとき、わたしはそのオープニングに魅了されていた。
なにか幼かったわたしの心に刺さるものがあったのだろう。
今でも、眠りたい、赤ちゃんのように安心してスヤスヤ眠りたい、と思うとき、その二曲を思い浮かべる。

あのCDを買って、プレイヤーも買って、また部屋に音楽を流しながら眠りたい、と思うことがある。
あの二曲を流しながら眠る、スマホのある時代、その方法はきっとあるのだろう。
けれど、あのCDをかけながら、真っ暗な部屋で音楽に聴き惚れ、いつの間にかスヤスヤ眠っていたい、そう思ってしまう。
やっぱりわたしは、古い人間なんだと思う。

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