久しぶりのB型作業所

精神疾患を持っている。
住まいは障害者グループホーム、仕事はB型作業所だ。
環境に恵まれ、周囲に支えられながら生活できているのに、わたしは安定しない。
けれど今日久しぶりに作業所に行ってみた。

目覚ましは、6時と7時にセットしていた。
7時35分に目が覚め、そうだ、通所してみよう、と思った。
部屋でグズグズ考え込んでいるから、よけい具合が悪くなるのかも知れない。
ここは根性論だ。
支度をして、バスに乗った。

バスに乗って、4つ目のバス停くらいで、やっぱり帰りたい、と思った。
ちょっと通所してまた長く休む、それを何度も繰り返し、11月からほとんど来なくなったわたしを、みんなどう思っているだろう。
不安だった。
けれど、その不安は、自意識過剰だった。

「おはようございます!」
ドアを開けて、声を張った。
「おはようございます」
「おはようございます」
「お久しぶりです」
いくつもの声が返ってきた。
わたしも言った。
「お久しぶりです」
そして、タバコを吸って作業を始めた。

10時にスタッフのKさんが出勤してきた。
Kさんに相談してみた。
「ちょっと通所して、すぐに長く休んで、グループホームの部屋でグズグズ考え込んで、調子が悪くなる、それを11月から繰り返してるんです。
思い切って1ヶ月くらい入院してみようかと思うんです」
Kさんは言った。
「今日は来れたじゃない。
今週は、作業所に来てみて、それで様子を見てみたら。
それで調子が戻るなら、もうけものだし。
1日いられないなら、半日でいい。
今週そうしてみて、それでも具合が悪くなったら来週の火曜日先生にそう言ってみたら」
わたしは言った。
「わかりました。
ありがとうございます」
笑顔のKさんに、わたしも笑顔を作った。
ああ、笑顔を作ったのはどれくらいぶりだろう、と思った。

作業に没頭した。
ぬいぐるみのボディまで縫ったら帰ろうかな、と思っていたけど、今日頑張れば、このぬいぐるみ今日で完成するな、と思った。
また、根性論を頼りにしてみた。
完成させるまで、作業所にいよう、と思った。

みんなの笑いさざめく声が刺激になった。
少し疲れたな、けれどもう少しで終わるな、と思い作業を進め、とうとうぬいぐるみは完成した。
去年8月に、この作業所に通所を始めてから、9つ目のぬいぐるみだった。

「可愛い!この子可愛い!」
「ほっぺたがぷっくりしてて可愛い!」
ぬいぐるみは、絶賛された。
みんな優しくていい人たちなのだ。
ぬいぐるみがひとつ出来上がるたびに、みんな手放しで褒めてくれる。
嬉しかった。
けれど、それ以上に
「よし、帰ろう」
という気持ちがあった。

帰りのバスで頭がグラグラした。
早く帰りつきたかった。
おならもしたかった。
(ストレス性だと思うけどとにかくお腹にガスがたまる)
部屋に帰りつき、楽な部屋着に着替えて、大きな音でおならをした。
そしてしばらく休んで、シャワーを浴びた。
シャワーから上がる頃、頭のグラグラ感はなくなっていた。

久しぶりの通所。
まあまあだったのではないか。
明日も行けそうだ。
けれど無理はすまい。
しっかり夕食をとり、ゆっくり休んで、明日に備えよう。
午前中がきつければ、午後からの通所でもいい。
今日のところは、お疲れわたし。

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