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こんな夜はあなたに会いたいけれど

あまり調子が良くない。
悩みごとは解決したばかりなのに、わたしは悶々としている。
以前入院していた病院の担当看護師さんは、今のわたしを見て、なんて言うだろう。
そんなことを考える。

5階の病棟で担当してくれていた、看護師のYさんは、病院に内緒でわたしとラインで連絡を取ってくれていた。
わたしが5階を退院したのが、一昨年の4月、Yさんが病院を定年退職したのが、その5月、それからラインのやり取りが始まり、去年の10月に、その関係は終わった。

Yさんは、いつもわたしを励ましてくれた。
そして、ときにわたしを厳しく叱った。
「あなたは普通の生活ができる人。いつか薬も飲まず、精神科にもかからずに暮らすことができる人」
「周囲を責め立てるのではなく、人に頼られるあたたかい人になってほしい」
けれどわたしはYさんに依存しきって、彼女の重荷になってしまった。
結果、ほんの小さな行き違いから、ラインはブロックされた。

Yさんは、わたしのことを忘れただろう。
けれどわたしは度々彼女のことを思い出す。
Yさんは、わたしの姉だった。
Yさんは、わたしの母親だった。
けれど、だからこそ関係性は終わったのだ。
Yさんは、わたしのめんどうを見きれなくなったのだ。

誰かに甘えたい。
いつもそう思っている。
傷の痛みを忘れさせてくれる麻薬がほしい。
誰かの優しさに、いつも甘えていたい。
けれど、いつもいつも麻薬に溺れていたら、わたしの病はもっと悪化してしまう。
だから、さよなら。

わたしは大人にならなければならない。
グループホームも作業所も、いつか出ていかなければならない。
そして、自立した生活をしていかなければならない。
Yさんが、わたしに言った。
「あなたはそれができる人だから」
だから、さよなら。
甘えていた自分に、さよなら。


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