サビ管さん

精神疾患を持っている。
住まいは障害者グループホーム、仕事はB型作業所だ。
そんなわたしは、ここのところ作業所をまたお休みしている。
グループホームも、転居しようと思っている。
グループホームのサビ管さん(サービス管理責任者)とうまくいっていないのだ。

サビ管さんがここのグループホームに来てすぐのことだった。
わたしはサビ管さんにお話してもらった。
「今通っているB型作業所に、一般就労することを勧められているんです」
サビ管さんは言った。
「とりこさん、まずはA型作業所に行くのがいいです。
A型作業所は、B型よりもっと厳しいです。
一般就労は、A型よりもっと厳しいんですよ」
そんなことは知っている。
一般就労の経験も、A型作業所の経験もある。
わたしは言った。
「過去に勤めた職場はキヨスクで、縦社会の女社会、ものすごく厳しい現場でした。
けれどわたしは、どんなに厳しい先輩にしごかれても、泣き出すことがあっても、仕事に喰らいついていってました」
サビ管さんは言った。
「こうなってたんでしょうね」
(視野が狭くなるポーズを取りながら)
サビ管さんはさらに言った。
「とりこさんは、今のB型作業所に行く前は、周りのことが見えてなかったけれど、作業所に行って、周りに気を配れるようになったんですよね」
わたしは言った。
「いえ、もともとこういう性格でした」
サビ管さんは言った。
「そら、能力はあるのかも知らんけど、問題は人間関係ですよね。 
B型に通う人も、A型に通う人も、人間関係で悩む人は多いんですよ」
わたしはサビ管さんに話した。
「過去に通っていたA型作業所では、他の利用者さんがわたしをだまして統一教会の集まりに連れ込んだり、送迎スタッフが日曜日にお酒を飲んで、わたしにセクハラ電話をかけてきたりして、わたしずいぶん騒いでしまって」
サビ管さんは言った。
「今は、虐待防止の法もありますから、大丈夫です。
そういうとき、どうしたらいいのかわからないんですよね。
そういうこともこれから学んでいきましょう」

わたしはひどく傷ついた。
サビ管さんは、わたしのことを頭ごなしにバカにしている、そう感じた。
その後も、わたしとサビ管さんの関係性は改善しなかった。
調子を崩してサビ管さんを頼る、そのたびわたしは傷ついて、もっと調子を崩した。

サビ管さんは、先月産休に入った。
けれど、1年後には、また戻って来る。
もう彼女に会いたくない、その気持ちは強い。

わたしは、強くならなければならない。
今のグループホームを出ていけるほど。
もしくは、サビ管さんを受け入れることができるようになるほど。
宇多田ヒカルはこう歌っている。

変えられないものを受け入れるちから
そして受け入れられないものを変えるちからをちょうだいよ♪

わたしはもっと周囲に学んでいかなければならない。


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