見出し画像

ラーメンを食べに

ふだん買い物にはイオンネットスーパーを利用している。
明日がその配送の日だけれど、ふと手持ちの食材が切れた。
わたしは、今日の夕食は近所のラーメン屋さんで済ませよう、と考えた。

2週間くらい前に同じ店でラーメンを食べている。
この頻度でその店でラーメンを食べていたら飽きる。
ちょっとそれを考えた。
けれどいい考えがある。
同じ店には行くけれど、ラーメンの味をいつもと変えてみよう。
たしかあの店には、鶏ガラスープだけではなく、しょうゆ味、味噌味のラーメンもあったはず。
よし、それでいこう。
そうと決まれば着替えて支度をしよう。

エアリズムコットンTに着替えた。
20分歩く店だ。
歩いていれば半袖エアリズムくらいでちょうどいい。
なんなら汗をかくかも知れないくらいだ。
上着はバッグに入れていこう。
開店前に着いて待ち時間にじっとしてると寒くなるかも知れない。
そして、お財布に千円札を入れ、ラーメンの写真を撮るためのスマホを持ったか確認し、部屋を出た。

ここは南国九州。
さすがに11月、たいていの人は長袖に上着を着て歩いているけれど、わたしのように半袖で歩いている人もゼロではなかった。
やっぱり歩くとほんのちょっと汗をかく。
半袖エアリズムを選択したのは正解だった。
ラーメン屋さんに着いて、10分ちょっと開店待ちをしても、上着は必要なかった。
身体がホカホカしていた。
ひんやりした空気が気持ちよかった。

開店直前になり、券売機に並んだ。
わたしの前で食券を買っていた、子連れの母親が、券売機の前でパニクったようにモタモタしていた。
早くしてよ!と思った。
初めて来たのかな?
ここの店の券売機に慣れてないのかな?
ようやくわたしの順番が来た。
さあ、食券を買おう。
あれっ?

今度はわたしがパニクった。
ラーメンに欠かせない、半熟味たま。
その半熟味たまが、今日は売り切れ。
当然のように、半熟味たま入りのメニューには、みんな売り切れマークが光っていた。
ええっ?
それならなに食べよう。
さっき目の前でモタモタしていた子連れの母親を内心責めていたことを深く恥じながら、わたしは今日食べるラーメンを同じようにモタモタ選んだ。
そして、今日食べることにしたのは味噌味ラーメンだ。
なんとなく、追加でバターもトッピングしてみた。

たっぷりのもやし。
チャーシューはのってない。
もちろん、半熟味たまものってない。
この店の味噌味ラーメンは、実質野菜ラーメンってとこだな、と思った。
七味唐辛子をかけて、スマホで写真を撮り、食べ始めた。

あれ、美味しい。
もやしシャキシャキ。
スープと麺ともやしで食べるとすごく美味しい。
なんだか、チャーシューも半熟味たまも、もともとなくてよかったんだ、という気持ちになってきた。
中高年になると、野菜が美味しい。
わたしが求めていたのは、チャーシューや半熟味たまののったラーメンじゃない、野菜ラーメンだったんだ。
そんな気さえしてきた。

食べながらちょっと鼻をかんだ。
恥ずかしい。
さっさと食べ終えて帰ろう。
けれどスープ一滴さえ残さず完食した。
ほんとうに美味しかった。
「ごちそうさまでした」
と言って店を出た。

帰りの徒歩20分が、ちょうどいい距離に思えた。
お腹いっぱい食べたあとの、腹ごなしの運動としてちょうどいい。
また、じんわり汗をかいた。
部屋に帰り着き、扇風機にあたりながら着替えた。
ペットボトルのルイボスティーを飲み、タバコを吸って、そしてこの日記を書いている。

わたしが部屋に帰り着いたとたんに降り出した雨が、少し強くなってきた。
ちょうどいい時間に帰ってきたんだ。
神さまが、わたしが野菜ラーメンを食べることを応援してくれていたんだろうか。
チャーシューは確かに美味しい。
もちろん、半熟味たまも美味しい。
けれど、これからはときどき野菜ラーメンも食べよう。
ていうか野菜をもっと食べよう。
そんな気持ちになった火曜日だった。

いいなと思ったら応援しよう!