家庭内暴力
家庭内暴力を振るっていた過去がある。
相手は母だった。
それはそれは恐ろしい暴力だった。
わたしはきっと狂っていたのだろう。
26歳で犯罪被害にあった後、仕事を辞め、通っていた夜学を中退した。
それからは、なんの仕事をしても続かなかった。
ボロボロになって実家に帰ってきたのが30歳のときだった。
事件のことを知らない家族は、わたしを笑った。
あなたはこういうところが周りに嫌われるんだ。
あなたはこういうところも周りに嫌われるんだ。
あなたに働きながら夜学に行くなんて無理だと思ってた。
だから始めからお父さんとお母さんの言うことを聞いていれば良かったのよ。
そんな母の指摘がつらかった。
そんなことは言い訳にしかならない。
きっと実家に帰る前からわたしは狂っていたのだから。
母はわたしを死ぬまで許さないかも知れない。
わからない。
とっくに許してくれているのかも知れない。
わからない。
もともと母との絆は薄かった。
母はわたしと話そうとはしない。
「あんたと話してるとイライラする」
そう言って、わたしのそばからすぐいなくなってしまう。
昔からそうだった。
わたしは母の愛情を知らない。
いや、愛してくれているのかも知れない。
わたしがわかってないのかも知れない。
母代わりにわたしを育ててくれたのは祖母だった。
わたしが、愛情をくれた人としては祖母のことしか考えられない、それだけかも知れない。
つぐない、という歌がある。
テレサ・テンだ。
「優しすぎたのあなた♪
子供みたいなあなた♪」
わたしは罪をつぐなっていこう。
母に対して、その思いは届かないかも知れない。
身近な誰かに、できるだけ優しくしていくことで、罪をつぐなっていこう。
優しすぎる子供のように。
※テレサ・テンの「つぐない」は、そういう歌ではありません。
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