要するに公務員の仕事の本質は、お金(予算)を使うこと【早期退職したので正直に言う】
公務員の仕事について。
今回はちょっと部外者には退屈な話になるかもしれないw
俺が31年間も従事してきたのは公務員の中でも行政職と言われるやつで実にポピュラーな部類である。
公務員の種類の中でも、かなり多いってことです。
で、この行政職、よく「事務」とも呼ばれる奴らの仕事とは何か。
この問いには、ほぼこの一点ですべて語ることができる。
お金を使うことだ。
お金ってのはつまり公的な予算で、国とか都道府県とか、そっちから出てくる金銭ですね。
これは現金で渡されるわけではなく、我々が受け取るのはあくまでも数字データだけだ。
数字で何千万円、何十万って単位で通知されて、それを毎月使う。
お金を使う → つまり口座から口座にお金を移す。
究極、これが行政職公務員の仕事といえる。
予算の執行とも言う。
つまりほぼお金が出ていくだけ。
一部に収入事務と呼ばれる仕事もあるけど、通常の部署に配属された行政職の仕事のうちで言えば、微々たる量である。
税金の徴収みたいに収入を主に取り扱っている部署だって、元手タダでやってるわけじゃなく、いろんな経費が掛かっている。
公務員はお金儲けのためにいるんじゃないので、当然と言えば当然であるが。
まあ、他にも細かいことを言えば、以前ここnoteの記事にしたこともあるけど、毎年、毎月決められた調査とか報告みたいな、たいていクソしょうもない、時間の無駄、時間の浪費、生産性ゼロどころかマイナス、みたいな、いわゆるブルシット業務もある。
それで予算の執行って具体的に何?
・・・ってことですが、例えば職員への給料、手当を払うのもそうだ。
お金を公共団体の口座から職員個人の口座に移している。
そしてこれが予算規模で言うと最も大きい。
試しにちょっと調べてもらえばいい。
国でも地方でも、公共団体の歳出歳入、予算執行状況は毎年各HPや広報に公開されている。
歳出の内訳を見れば「人件費」という費目が一番デカい。つまり給料手当だ。
ただし給料手当は現在、どこでもシステム化されており、一度データが決まりさえすれば、あとはほぼ自動で支払われるようになっている。
一部の手当が毎月データ入力処理が必要。
次に各職場の事務所・建物(県庁舎とかもそうです)の維持管理に係る光熱水費、燃料費が大きい。
あとは消耗品買ったり、電話料金払ったりね。
※ 維持管理費の中では電気料金が一番高いんだよ。電気料の値上がりが悩みの種でした。
これらを毎月、各業者さんたちに払う。
俺が現役の公務員だった間には、なんかもう、ホントに細かい色々な費目の予算を取り扱いしていたね。
つまりこれらを然るべく、間違いなく、期限を守って、地方公共団体の口座から色んな業者さんたちの各口座へ移動させる・・・・お金を払うのが主な仕事となるわけだ。
それの何が大変なの?
って、公的なお金の取り扱いというのは、実に事細かに規則がガチガチに決められており、これをきっちり守らないといけない。
皆さんが思っている倍以上の規則の量だと思いますよw
支出のための資料書類も多くなっちゃうし、慣れないとホントに大変です。
前述のとおり、現金じゃないので、口座間でお金を移動させるための内部決裁書類、支出の依頼票などと呼ばれる書類ですね、これを県の審査機関に送って、OKが出れば、ようやくそこで支払いとなるんですね。うちの県ではそうでした。
そして年度末までに予算をきっちり使い切ること。
余らせてもダメ、オーバーするのはもっての他、一番ダメ。
このため、中には必要ない工事が行われることも充分考えられる。
例えば、これは俺の管轄外だったから知らんけど、あまり急ぎじゃない道路工事(修繕)なんかのせいで年末~年度末に渋滞が引き起こされるなんてこともあり得ると思う。
また、年度末と言われる3月に消耗品の注文がやたら増えちゃうのもよくある話だ。
まあ、ただし本当に全予算ぴっちりゼロ円になるまで、なんて厳しくはない。消耗品費とか電話料金とかであれば、残額1万円以下で、まあギリギリ合格といったところ。
だってねえ、月末〆の経費とかもあるじゃないですか、コピーリース料金とかガス料金とか、電話料金とかね。
そういうのは3月末に〆て4月になってから支払うわけでしょう。
4月に請求でもそれは3月分であって、旧年度予算で払わなきゃならんのですよ。
ある程度は「たぶんこれぐらい」って見切りをつけて、予算を残して、年度末を迎えるわけです。
もうガスのメーターやコピー機のカウンターをギリギリまで監視して、なんてやってられないでしょう(まあ俺はやってましたけどねw)。
ちょうどよく、程よく予算を使い切るのはなかなか難しい。
そもそもなんで予算を残しちゃいけないのか。
節約して公的なお金を残せるだけ残せたのなら、むしろ褒められるべきじゃないか?
大切な国民県民から集めた税金が元になっているのだろう?と思われるかもしれない。
否、さにあらず。
そもそも予算と言うやつは職場の方で予算計算の元となる資料を作成することから始まる。
つまり職場の方で「これこれに使うので、これぐらいお金を下さい」という詳細な資料を作る。
この予算を貰うには公費なんだから議会の承認が必要だ。
というか毎年この議会のために予算の資料を作成している。
つまりお前らが必要額を計算した結果、要求した金額なんだから、余らすのはおかしいじゃねえかと。計画通り使わんかいね、ということである。
つまり国民、県民の感情はここではまったく無視されている。
行政公務員と議会議員の間での話しか見えてこない。
でも、どうしたって職場は生き物が集まってできているのであって、思った通りに行かない。
年度初めにもらうための予算資料は前の年の夏~秋ごろに作るのであって、いざ年を越して天気や気温などの変化で光熱水費、燃料費が大きく変わってしまうこともあるでしょう。水や紙を使い過ぎちゃうか、逆に思ったより使われなかったりしてね。
まあ、そのために「補正予算」てものがどこでもあるんですけどね。
年度途中、これで予算の過不足を調整します。
でもこれは年に1度なので、この後再調整するってことはほぼ無いです。
未来を予測できる能力が必要
予算資料を作成する人間は、1年間の見通しができないとダメです。
どうせ昨年通りだろう、なんて思い込んでいると手痛いしっぺ返しを食らいますよ。
遠い外国で戦争が起きると原油価格が上昇して、燃料費どころか電気料金も消耗品の値段も上がってしまう。
そういった経済の状況を常に観察できる目が無いと務まらないのです。
俺がいた世界はそんなところだったのですね。
どうです、何かカッコいいでしょう?w