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ヘルプカードの意味

「ヘルプマークに酷似」炎上の椎名林檎CDグッズ、デザイン改訂へ 都や赤十字から指摘

このニュースに関して一言。
まずこのニュースについて椎名氏をどうこう言うつもりは全くないことをお伝えしておきます。

何故このようなことが起こったのか?
ひとえにこのグッズを作った担当者やそのデザインにOKを出した人など、それをグッズとして販売しようとするまでの間に何十人かの人間が介在しているはずなのですが、誰一人としてこのデザインがヘルプカード、ヘルプマークに似ているという事を分からなかった、知らなかったという事なんでしょう。

恐らく多くの人がまだそのような状況なんだろうと思います。
私の記憶ではこのヘルプカードは10年位前、東京が始めたものが全国自治体に広がった、という事だったと思います。
ただその後の広報や周知が出来ていなかったため、今でもこのカードやマークの意味を知らない人がいるんでしょう。

私が何故知っているかというと、栃木県がこの制度を始めた頃、私は障がい者福祉施設の支援員をしており、利用者さんたちにこのカードが配られたからです。

改めてこのヘルプマーク・ヘルプカードとは「外見的には分からない病気や障がいを持った人」が、他人に助けを求めたい時に提示するものです。

これは私が実際に体験した例ですが、とあるショッピングモールで若い女性がいきなりしゃがみ込み、胸を押さえているところに出くわしました。
「どうしましたか?大丈夫ですか?」と声をかけたところ、その女性がヘルプカードを私に見せて来て、そこには「私にはパニック障がいによる発作があります。数分で収まるのでどこか座れるところまで連れて行って下さい」とあったため、近くでその様子を観ていた女性に手伝いをお願いし、共に近くのベンチに連れて行って座らせ、女性に様子を観てもらっている間に私は水を買いに行き戻った時には発作もほぼ収まっていた、というモノです。

このヘルプカードには名前や住所、連絡先やその人の持病やその対処法などが書かれており、発作などで声を出せないようなときにこのカードを見せることで周囲の人が適切に処置出来るようになっています。

例えば知的障がいがある方でも、見た目には全くそれと分からない人もいます。
けどその人は自分の名前は言えても住所は分からない、家族の名前や連絡先も言えない。
これ、よくあるケースなんです。
このような人もカードを身に付けていれば、迷子になっても連絡が取れるような仕組みです。

世の中にこのようなカードがあるんだよ、という事をもっと周知していれば今回のような騒ぎにはならなかったのでは、と思ってしまいます。

同時に今、このカードの不正利用の問題も出てきているようですがそれもやはり周知不足からそうなっているんだろうと思います。

このカードが必要な人は、各自治体で一人一枚まで無料で配っています。
フリマサイト等で売られているようなのですが、必要な人は無料でもらえます。

カウンセリングにしてもそうなのですが、正しく知ってもらうためにはしっかりと周知をし続けることが大切だという事例でした。

頂いたサポートはカウンセリング普及活動などに使わせて頂きます