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税金雑学シリーズ〜所得税〜私立学校への寄付の寄附金控除に要注意!
今日は寄附金控除についてです。
お子様を私立の学校に通わせている家庭では、毎年学校から寄付のお願いがきているのではないでしょうか?
大学の寄付となると私は完全に無視していましたが、中学高校となるとコミュニティーが狭い分周りの目が気になることから毎年寄付をする方の割合は大学よりも高いのではないかと思います。
寄付をすることで自分の子供が通う学校環境の充実が図られるわけですから、大前提として寄付することは素晴らしいことは言うまでもないですが、今日はこの寄付をした場合に適用可能な寄附金控除についてご紹介したいと思います。
私立学校への寄付金は選択適用
指定寄付金
私立学校への寄付は所得税法上、原則「指定寄付金」に区分され、寄付額から2,000円を控除した金額が所得金額から控除されるため、年収800万円のサラリーマンであれば概ねその20%の税額が安くなるようなイメージです。
公益社団法人等への寄付
そして、私立学校への寄付はもう一つ「公益社団法人等への寄付」にも該当します。該当するといっても、こちらはその学校が所轄庁からその証明を受けていればということになるので、該当するかどうかは各学校のホームページ等で確認する必要がありますが、概ねどの学校も証明を受けているのではないかと思います。
そして、こちらの区分の寄付として所得税の計算を行う場合は、先ほどの「指定寄付金」と同じ所得控除を適用するか「寄付額から2,000円控除した金額の40%の税額控除」を選択できます。
課税総所得金額(所得控除後の所得)が1800万円未満の場合は税額控除がお得な選択となるので、給与収入のみの方で言えば概ね2100万円以下の方がその対象となります。
申告する前にこの点を確認されることをお勧めします。
寄附金控除が適用できない場合
入学に関して行う寄付の制限
とはいえ、学校に対する寄付のうち「学校の入学に関してするもの」は寄附金控除の対象外とされています。これは、「自己又は子等の入学を希望する学校に対してする寄附金で、その納入がない限り入学を許されないこととされるものその他当該入学と相当の因果関係のあるもの」をいい、文部科学省が出しているQ&Aによると、その寄付金の支払いが入学の条件とされているような直接的なつながりがあるもののほか、形式基準として入学願書受付の開始日から入学が予定される年の年末までの期間内にその学校へ寄付したものがこれに当たります。
そしてこの形式基準は結構厳格に解釈するようで、次男が付属校Aを受験する年に同一グループの付属校Bに長男が在学中で、そのBに対する寄付を行った場合も、その寄付金は「学校の入学に関してするもの」に形式的に該当するため寄附金控除の対象にならないと考えるようです。
兄弟で同一の私立学校へ通おうとする場合は適用誤りがないよう注意が必要です。
住民税の寄付金控除は居住する自治体次第
寄附金については、所得税だけでなく住民税からも以下の税額が控除されます。
国・地方公共団体への寄付
(寄付額ー2,000円)×10%(都道府県、市町村分の合計)
都道府県指定
(寄付額ー2,000円)×4%
市町村指定
(寄付額ー2,000円)×6%
住民税において寄付金は全て税額控除となるのですが、所得税の場合とその取り扱いが異なり、都道府県民税からの控除と市町村民税からの控除をそれぞれ別個で考えます。
その中で「国・地方公共団体」に対する寄付であれば無条件で双方から控除ができるため、合計10%が住民税からの寄附金控除となりますが、それ以外の私立学校等の団体に対する寄付については、自分が居住する自治体が条例で”指定”した団体に対する寄付金のみ税額控除の対象となります。
そして、概ねその自治体が指定する団体というのは、その自治体内に校舎があるとか支所がある等何らかの拠点を有しているような団体を指定しているようです。
したがって、市外や県外の私立学校に子供を通わせている場合には、所得税では寄附金控除が適用できるけれども、住んでいる自治体の条例ではその学校が指定されていないため、住民税の寄附金控除ができないということが生じるため、申告の際にはこの点を住所地の市町村・都道府県のホームページから確認されることをお勧めします。
※見比べてみると一目瞭然ですが、東京都であれば私立学校の指定が167件あることに対し、山梨県ではその半分以下です。
最後まで読んでいただきありがとうございました^ ^