見出し画像

居住用賃貸建物でも課税仕入ができる3パターン

 居住用賃貸建物を購入した際に課税仕入ができなくなってしまい早4年が経過しようとしています。
 居住用賃貸建物とは「1,000万円未満で住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物」のことを言い、読んで字の如くですがマンションやアパート、戸建てのような建物を言います。
 これらを購入する際には課税仕入の恩恵を受けることを早々に諦めている方も多いのではないかと思います。

 しかし、これら居住用の賃貸建物であっても取得物の選別や取得後のプランニングによって、従前と変わらず課税仕入の効果を享受できる場合があるので、今日はその3つのパターンをご紹介します。

①1,000万円未満の住宅等の取得

 これは居住用賃貸建物の定義の話なので当たり前ですが、「住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物」に該当したとしても、そもそも1000万円未満であれば居住用賃貸建物の定義から外れるため仕入税額控除ができます。
 そのため、区分のワンルームマンションや一棟物でも地方の築年数が古いアパート等、購入物件の価格を考えながら購入計画を立てることで仕入税額控除の恩恵を受けることができます。
 そんな都合よく代替物が見つからないでしょうが、仮に1億円の一棟アパートを買わずに980万円の区分マンションを10戸買えば消費税の負担額が約1,000万円軽減されることになります。

②取得後最低3年間は事務所や民泊として賃貸する

 この方法は取得した建物の規模と場所によってはなかなか難しいかもしれませんが、居住用賃貸建物に該当するアパート等を購入したとしても、それを課税売上となる事務所や民泊として最低3年間賃貸し続けることによって、そのアパートの取得価額について取得した日から3年後の課税期間の課税仕入にすることができます。
 これは、アパートの取得価額に対する消費税額に3年間の課税賃貸割合を乗じた金額を課税仕入できるという規定を適用するため、以下のとおり例えばアパート6室のうち3室だけ事務所として賃貸できてあとは住宅として賃貸していた場合でも、半分の250万円は課税仕入できることになります。

例:建物価額5,000万円、全6室のアパートのうち3室を事務所用で賃貸した場合
  控除仕入税額=5,000万円×10%=500万円  
  課税賃貸にかかる調整仕入税額 500万円×3/6=250万円

③無償の従業員社宅として購入する

 従業員への手厚い福利厚生を念頭に置いている方が選択すべき方法ですが、従業員へ無償で使用させることを目的として購入する場合は、居住用賃貸建物には該当しなくなるため、何億、何十億といった建物を購入したとしても仕入税額控除を丸々受けることができます(もちろん課税売上割合の影響は受けますが)。

 なぜかというと、この場合「住宅の貸付の用に供しないことが明らかな建物」に該当するからということです(国税庁質疑応答事例「社宅に係る仕入税額控除」より)
 もっとも、この場合、取得する建物の構造自体でみると「住宅の貸付の用に供する」ことができるため、用途が無償の従業員社宅に限定されていることを客観的に明らかにしておく必要があるため、従業員の社宅に関する社内規定等をあらかじめ作成しておく必要があります。
  なお、この無償で従業員に対して社宅を提供すると、全従業員を一律に対象としていても、給与課税されることとなるため、金銭支給額にこの家賃相当額を加算した金額を基に源泉所得税の計算をする必要があるためご注意ください。

まとめ

 今回ご紹介した3パターンについては、どなたにも当てはまり簡単に採用できるものというわけではないですが、居住用賃貸建物の取得には多額の支出が見込まれるので、事前に消費税周りも検討されることをお勧めします。

 目的や今後の方針を事前に税理士へ相談することによって、自分で考えていなかった新たな消費税を踏まえた選択肢が見つかるかもしれないですし^ ^


最後まで読んでいただきありがとうございました^ ^

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?