[DX 3rd]アイテムアーカイブ雑感1
今更ながら2023年発売のDX3rdサプリメント、「アイテムアーカイブ(以下IA)」を読み込んでいる。思考の整理程度にメモ書きしていく。
と言っても、かなりデータ量の多いサプリなので気になったところからまとめていくことにする。
今回注目する箇所は「遺産継承者専用アイテム」P118~P121
遺産継承者専用アイテムについて
Dロイス:遺産継承者でのみ取得できるアイテム。アイテムごとに効果が全く異なるため、一口に「遺産継承者ビルド」と言っても様々な構築がある。
IA掲載分で29種類存在する。
01:栄光と勝利の槍
《カウンター》を1レベルで取得する効果が付属した〈白兵/射撃〉の両刀武器。攻撃力は11点と、Dロイス入手アイテムの中では標準的。
単に武器としてみた場合は、白兵武器の性能は「聖剣の王者」に劣り、射撃武器の性能は「必中の弓」に劣る。《カウンター》を無料取得できるところを生かしたいが、これも癖つよエフェクトなのでなかなか難しい。
*《カウンター》:自身への単体攻撃が行われた場合に対抗ロールを行い、勝利した側の攻撃が命中するというもの。成功すれば相手の攻撃をキャンセルしながら反撃できるが、《時の棺》等と異なり「対抗ロール」になること、自身への単体攻撃にしか適用されないこと、使用すると行動済になることなどクセがとにかく強い。ポン付けして強いエフェクトではないので初期作成段階から意識した構築にする必要がある。
02:鬼切りの古太刀
小太刀ではなく古太刀。白兵専用武器だが、性能だけで見ると上位互換の武器がいくつもあるのでこれを主軸に構築するのは難しそう。
特徴として「任意のEロイスを解除する」という効果がある。しかし、【不滅の妄執】のようなシナリオで解除必須なEロイスはシナリオ内で回答が用意されているものなので、わざわざこの武器を持ち込むメリットはない。
あえて使おうとするなら、ハンドアウトのDロイス指定で「遺産継承者:鬼切りの古太刀」と指定してしまってEロイス解除の役割を持たせることだろうか。
*公式シナリオでもEロイスの解除のために「対抗種」や「強化兵」を指定していることがある。
03:乙女の旗
たぶん、ジャンヌダルクの旗。
白兵武器だが、命中に-4の補正がかかっている通り攻撃用途には不向き。一方でガード値が9点もある上に、カバーリングに-10点のダメージカット効果が付属している。
Dロイス1枠で楯とダメージ軽減エフェクトに匹敵する効果を貰えるため、カバーリングビルドを組むうえでは一考の余地あり。
武器の攻撃性能はどんぐりの背比べになりがちなので、こういう個性のある武器は好き。
04:黒曜石のナイフ
標準的な性能の白兵武器。
攻撃時に「10+【肉体】」点のHP回復効果を持つ。デメリットとして攻撃時に侵蝕率が2点上昇する。ブラッドバーンなど、攻撃時にHPコストが必要なエフェクトの補助に使えるだろうか。
回復量がそれほど多くないので、この効果だけでタイタスの消費回数を減らすのはあまり期待できないだろう。
05:ジュラシックレコード
任意の能力値+2と装甲値+10の効果が付属した白兵武器。能力値+2は実験体の上昇値の半分、経験点にして20点分のため、遺産継承者で入手できる武器の中では群を抜いて優秀。装甲値上昇効果も防具と重複するため無駄がない。
何でこの武器だけ白兵武器と経験点20点分とボディーアーマー以上の装甲値を得ているのか。エフェクト武器を使用しない白兵ビルドなら、とりあえずこれでいいよと言えてしまいそうな性能。
06:聖剣の王者
エクスカリバァァァァァァァァァ!
攻撃力15点にガード値7という、Dロイスで入手できる白兵武器の中ではトップクラスに優秀な性能。その上、シナリオ1回C値を-2するという賢者の石効果まで持っている。
デメリットは暴走中は攻撃できないというもの。《螺旋の悪魔》や《攻性変色》にように暴走状態になるエフェクトと共用しづらいので注意が必要。
07:信仰の火
こんな名前だが銃である。スペック上の性能はせいぜい経験点15点クラスのユニーク武器だが、付属効果で「射撃判定時ダイス+4個」と「暴走していない場合に攻撃力+6」の効果を持つ。追加効果込みではトップクラスに優秀な射撃武器と言える。
デメリットとして〈知覚〉判定のダイスが2個減るが、そもそも〈知覚〉判定は振る機会が少ないのでかなり軽い。
08:天空の隼
こんな名前だが、射撃武器である。武器攻撃力はやや低めだが、【感覚】【精神】のどちらかを+2する効果と、命中達成値+4の効果がある。
ジュラシックレコードの射撃武器版と言える性能だが、こちらには装甲値増加の効果は無い。
【感覚】を上昇させる場合、判定のダイスが増えるほか、行動値も4点増えることになる。フルスクラッチの射撃ビルドは【感覚】を低くしがちのため、行動値を確保しながら射撃武器を入手できると考えるとなかなか強い。
09:必中の弓
強すぎたためにIAでエラッタ弱体化された枠。
命中の達成値+10とエフェクトによるダイスデバフを受けない効果が非常に強い。ダイスデバフの無効化で自分のエフェクトのデメリットを消していけるので、《巨人の斧》や《マシラのごとく》など強力な反面デメリットの大きいエフェクトと一緒に使いたい。
IAのエラッタで、「両手持ち」「至近不可」が追加されたが、運用で回避できるデメリットのためそれほど弱体化にはならないだろう。
10:祈りの造花
UGNボディーアーマーと互換性能の防具だが、《インフィニティウェポン》か《ハンドレッドガンズ》をレベル3で無料取得する効果がある(エラッタ前は5だった)。取得レベル変更は、IAで《インフィニティウェポン》か《ハンドレッドガンズ》の最大レベルが5→3に変更されたからであり、このDロイスがエフェクト一つを最大レベルで取得できる破格の効果という点は変わっていない。
武器と防具がセットでついて来るだけでも優秀だが、特に《インフィニティウェポン》は《咎人の剣》の前提エフェクトのため、《咎人の剣》を主軸にしたビルドで経験点を節約したい場合に好んで利用された。
11:蛇王の外套
任意のウロボロスのエフェクトを1つ無料取得できる防具。
これで《原初の赤》などのエフェクトを取得することで、ウロボロス以外のシンドロームでも多種多様なエフェクトを増設できる。もしくは、《螺旋の悪魔》のように単体で強力なエフェクトを持ってくるのもアリか。
ただし、単純に他のシンドロームのエフェクトを増設するだけなら「複製体」でもできてしまうので、あえてこれを使う理由付けが欲しいところ。
12:女神の盾
盾と書いてあるのに防具判定の変な装備。装甲値はUGNボディーアーマーと大差ないが、ガード値+5点とこの防具によるガード値・装甲値はエフェクトの効果で無視できないという追加効果を持つ。装甲無視エフェクトはカバーリングビルドには天敵となるため、そこをカバーできる数少ない装備となる。
上記の追加効果を除いて単純なガード値・防具性能で見た場合は、ジュラシックレコードの下位互換になりがちなので注意する。
13:白猿の額冠
ハヌマーンのエフェクトを1つ無料取得できる防具。
ハヌマーンのエフェクトは優秀なものが多いため、使い道は色々ある。白兵なら《一閃》、RCなら《振動球》や《サイレンの魔女》など。
デメリットは暴走すると5D点のHPダメージを受けること。これが案外きついデメリットで、クライマックス戦闘時の衝動判定失敗→即死でタイタス1個消費となると目も当てられない。侵蝕率はかさむが、「複製体」や「遺産継承者:蛇王の外套」でも類似した動きはできるので、暴走が怖い場合はこれらを選ぶと良い。
14:チャリオットバトラー
ヴィークル、馬!!!
ただでさえ使いにくいヴィークルの上に、技能が〈運転:馬〉なので構築の段階から専用のビルドが必要になる。攻撃力はヴィークルにしては高めだが、ヴィークルの搭乗にマイナーを使用するためうまく生かすには工夫が必要。例えば、ソラリス軸の運転ビルドにして《タブレット》で遠距離攻撃するなど。うわぁぁぁ馬の亡霊が飛んできた!!
また、「搭載火器を積めない」とは書かれていないので、ライトマシンガンなどを使用するための銃座として利用する選択肢もある。
追加効果は《戦術》の無料取得。戦術は優秀なバフエフェクトだが、こちらを使用するとセットアップ移動エフェクトを使えなくなるなど、正直噛み合いは悪い。やはり銃座にするしか
15:イフリートの腕
素手攻撃力+6とサラマンダーのエフェクト1つを無料取得できる一般アイテム。素手効果を書き換えているわけではないため、素手変更エフェクトなしの場合は「素手攻撃力-5+6=1」になることに注意する。サラマンダーの素手変更エフェクト《白熱》とセットで取得することで、素手変更エフェクトが無いシンドロームにそこそこの火力の素手を増設する使い方ができる。ただし素手変更のみを求めるならマイナーを消費しない「銀色の腕」の方が強い。
また、素手強化部分を無視して、サラマンダーの強力なRCエフェクトを他のシンドロームに増設する使い方もできる。(エンジェルハイロゥに《災厄の炎》を付与して《滅びの光》をコンボするなど)
16:失われし歌声
攻撃エフェクト以外のメジャーエフェクトのLv上限を無視してLv+1する一般アイテム。デメリットとしてメジャーエフェクトすべての侵蝕率+1してしまう。
支援ビルドで考えた場合、侵蝕率効率が悪化することと引き換えに「起源種」に近い恩恵を得られるようになる。
また、《コンセントレイト》や《マスヴィジョン》など攻撃エフェクトではないが攻撃に必須なエフェクトというのもあるので、アタッカーでも使い道はある。ネックはやはり侵蝕率…。
17:黄金の海賊船
常備化ポイント+10と、攻撃力+7の常時バフ効果を持つ一般アイテム。
常備化ポイント10点程度で入手できる武器を攻撃力+7した上で入手できると考えて、上記の遺産継承者専用アイテムとの差別化ができるか判断する必要がある。
*例えば、常備化10点のボルトアクションライフルを入手する場合は、攻撃力8+7=15で性能は「信仰の火」と大差なくなる。
《黄金錬成》など常備化ポイントを増加させるエフェクトと組み合わせることで通常では購入できないような高コストアイテムを持ち込むPCを作成しても面白いかもしれない。
18:海鳴の石板
シナリオ3回まで任意の判定の達成値-15することができる。エネミーの命中達成値を下げて攻撃を不発させることができるが、それをやる場合は《フラッシュゲイズ》などの強力なデバフエフェクトと組み合わせたり、代理ドッジエフェクトで仲間の回避を肩代わりするなど下地を整えたい。
デメリットはロイスをタイタスに変える場合に侵蝕率+5されること。言い換えれば、侵蝕率5コストでデバフエフェクトを使用しているようなものなので、まだ運用で補えるレベル。
19:銀色の腕
スイッチオン・アガートラーム!
常時発動型の素手変更エフェクトに近い取り回し。常時の素手変更エフェクトと考えると攻撃力11点と破格の性能をしている。シナリオ1回のダメージ+3Dの効果も腐ることがなく優秀。
素手専用エフェクトを使用したいが、マイナーを埋めたくない場合に選択肢に入ってくるだろう。
デメリットは攻撃・ガード時にHP-2点。攻撃時にデメリットで死なないように注意する必要がある。逆にガード時はそもそも銀色の腕のガード値が高いこともあって、デメリットで死ぬ状況ならそもそもガードしてなければ確実に死ぬということなので気にはならない。
20:ジャイアントキル
《骨の銃》の無料取得と射撃攻撃時にダメージ+2Dの効果を持つ一般アイテム。どちらかというと、攻撃力+2Dに《骨の銃》が付属していると考える方が正しいか。
攻撃力+2Dは「Dロイス:対抗種」の効果と完全に同一で、更にHP減少のデメリットも無いため、射撃ビルドとして考えるとこちらの方が分がある。
《骨の銃》は遺産継承者の射撃武器と比べると性能で劣るため(最大レベルでようやく攻撃力11点)、《ギガンテックモード》や《オーバーロード》など、エフェクト武器であることを生かせるエフェクトとセットで運用したい。
また、《骨の銃》は《死招きの爪》の前提エフェクトでもあるので、あえてエグザイルのPCにこのDロイスを持たせて《死招きの爪》による高火力バフを載せるのもアリか。
21:深海都市の夢
つまり、ルルイエ。効果は侵蝕率110%までリザレクトができるようになるというもの。110%程度ではリザレクトの回数が1回増えるかどうか、下手すればクライマックス戦闘までに110%を超えて完全に無駄になる可能性すらある。
本気で生かすならFHチルドレン専用のエンブレム「命の終着点」でHPをギリギリまで削ってリザレクトのコストを軽くすることだろうか。戦闘での侵蝕率増加を抑えたところで登場判定の出目次第のため、お祈り要素が非常に強い。
22:聖者の遺骨
白兵攻撃力と行動値を上昇させる一般アイテム。白兵であれば武器は問わないため、白兵向きの「イフリートの腕」や「銀色の腕」とは差別化できる。
しかし、類似した性能の「黄金の海賊船」と比較すると常備化ポイントの追加がなく性能の高い武器を購入しずらい。また、単純に武器性能で見てしまうとジュラシックレコードに多様さに及ばない。
そこで、このアイテムを主軸に捕らえるのではなく、ポン付けでエフェクト武器を補強できるDロイスと見ると強みが見えてくる。
IAでエフェクト武器は全般的にアップデートされた。攻撃力の係数が増加したうえに最大レベルが下がったためリミットエフェクトの取得がしやすくなっている。そこにこのDロイスで攻撃力を上乗せするとなかなか侮れない性能になる。
例:《氷炎の剣Lv3》+《地獄の氷炎Lv5》+「聖者の遺骨」
攻撃力:100%未満で34点、100以上で44点
23:誓約の瞳
120%エフェクトの《ナーブジャック》を無料取得させる恐ろしい一般アイテム。《ナーブジャック》は対象と〈意志〉で対決し、勝利すれば任意のメジャーアクションを起こさせることができるが、これを「味方全員」に使えば実質味方全員の行動回数を1回増やすというインチキじみた挙動が起こる。
使用の際には卓の仲間とGMに相談必須。
24:ニーベルングの指輪
かの有名なワーグナーの楽劇。
常備化ポイントの大幅増加とガード値の上昇効果。アタッカーが武器をそろえる目的なら、「黄金の海賊船」のほうが明らかに強いため、こちらはカバーリングや支援ビルドのために生かしたいところ。
デメリットの常時ダイスデバフが地味にツライ。
25:謀略の牢獄
バッドステータスを受けている間、攻撃力と命中判定の達成値を増加する効果がある。単純な攻撃バフとして考えると、「黄金の海賊船」や「聖者の遺骨」があるので達成値を増加する効果に着目したい。
例えば、ピュアウロボロスの《サイレンの魔女》ビルド。《螺旋の悪魔》で自発的に暴走状態になることで、命中達成値を増加させたサイレンの魔女をぶち込むことができる。
26:欲望の姫君
《砂の刃》と《クリスタライズ》のエフェクト2個を無料取得できる太っ腹なアイテム。経験値にして30点分である。
《クリスタライズ》の起点に《砂の刃》を使うことを考えると、原則として〈RC〉ビルド専用のアイテムとなる。
採用の利点はエンジェルハイロゥ/モルフェウスのRCビルドと同等のデータをエンジェルハイロゥのピュアブリードで組めるようになることだろうか。
27:ヨトゥンの血潮
最大HPを20点増加し、《完全獣化》を無料取得する一般アイテム。獣化軸ビルドで使おう以上の感想は無い。
このアイテムで真に注目すべきは「このアイテムは《完全獣化》の効果中にも使用できる」とわざわざ書かれていること。裏を返せば、「イフリートの腕」や「銀色の腕」といった常時効果を適用するタイプのアイテムは《完全獣化》を使用すると効果適用されなくなるのか?という疑問が出てしまう。
現状、「このアイテムは《完全獣化》の効果中にも使用できる」とわざわざエラッタで追加されたのは「ヨトゥンの血潮」と「覇王甲」のみ。どちらも《完全獣化》とセットで使うアイテムだからこその注釈なのかもしれないが、《完全獣化》中に適用できるか不明なアイテムは多数あるのでいい加減説明が欲しいところ。
28:夜の小鳥
《陽炎の衣》と《光と闇の眼》を無料取得する一般アイテム。
《光と闇の眼》はおそらく使用する場面がない…ところか侵蝕率基本値を上昇させる完全にデメリットエフェクトなのだが、《陽炎の衣》の無料取得はおいしい。というのも、エンジェルハイロゥ射撃型で一番火力が出るのは《陽炎の衣》と《見えざる死神》のコンボだから。
デメリットは財産ポイントが使用できないこと。プリプレイで武器の購入やコネ購入などでポイントを使い切っておこう。
29:雷神の戦槌
初掲載はレネゲイドウォーでその時の名前は「雷神の槌」だった。7年かけてようやく同名のエフェクトが存在することに気が付いたのかもしれない。
射撃攻撃の攻撃力+10というシンプルに強力な効果。デメリットは最大HP-7と攻撃時にHP3点消費すること。
重要なのは「射撃判定」ではなく「射撃攻撃」ということ。RC攻撃や交渉攻撃も表記上は「射撃攻撃」なので攻撃力上昇させられる。特に攻撃力を補強する手段がほとんどない交渉攻撃にとっては重要な火力強化。
また、デメリットのHP減少も面白く、最大HP減少効果を重複させることで最大HP1のPCを作ることができる。HP1ということはリザレクトのコストが1になるということ。蘇生コスト1点でカバーリングできたり、ウルトラボンバーのような自爆エフェクトを低コスト運用できる可能性がある。多分、公式が想定していない挙動だけど。