一馬引退
一昨日(2023年9月14日)のRISE記者会見で一馬が引退を発表しました。
今年に入って、森井洋介、緑川創、西岡蓮太、髙橋一眞、滉大、秀樹と好きだった選手が相次いて引退。
日々、世の中ではあらゆるジャンルでの引退があるし、それは決して悲しいことばかりではないんだけど、今年はちょっと多かったかな。
そしてここに来て一馬も。
選手の引退が多かったからといって慣れるものではないですよね。
やっぱり寂しいです。
この記事は、一馬の引退について、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつくってみたものです。
一馬
朝倉未来の大成功によって、今では猫も杓子も格闘家もボクサーも現役も元もYouTubeチャンネルを開設しているような気がしますが、一馬は誰よりも早くYouTube活動をしていたキックボクサーでした。
ただ当時はそこまで印象がある選手って感じではなかったですね。
キャラ付けや宣伝のためにYouTubeを始めたのかな、それは殊勝な心掛けだなくらいにしか(失礼ながら)僕は思っていませんでした。
今だと、中学時代に野球で日本代表になったとか、海上自衛隊・航空士として体力測定で全隊員中トップの成績を収めたとか、所謂スポーツエリートだった経歴にも納得ですけれど、当時は上位ランカーの悪くない1選手っていうイメージだったかな。
YouTube内での技術解説はとても上手だったので格闘IQはかなり高そうだなと思ってはいましたけれど。
そして、一馬のYouTubeを視聴したことがある人なら共感してくれる人が1人くらいはいるかもしれないけれど、一馬にはいつでもスパッとやめそうな雰囲気がどこかあったように思えます。
なので、伊藤代表が以前の会見時、一馬が試合できない理由は後日説明すると仰ったときに、何となく一馬は引退するんじゃないかなと思っていました。
ただそれを口にすると現実味が増すので、自分の中では絶対に触れないようにしてきたけど。
一馬は今いるRISEランカーの中では最古参のグループに入ると思います。RISEは今でこそ当たり前のようにABEMAで無料配信がありますが、以前は配信・中継といえばスカイAでのディレイ放送があるくらいだった記憶です。
それが那須川天心の活躍によってCygamesがスポンサーにつき、そのことによって初めてGYAOで(2023年3月末でサービス終了)無料配信の大会が行われました。
それは2018年6月17日に幕張メッセで開催されたRISE125になります。
メインは那須川天心vsロッタン。
この大会で、キックボクシングに復帰した白鳥大珠と対戦して、KO負けをしてしまうんですけれど、この後から一馬はまるで覚醒したかのように5連続KO勝ちをします。
ついには満を持して臨んだタイトルマッチで生涯ダウンをしたことのないチャンヒョンからダウンを奪います(惜しくも敗れてしまいましたが)
試合数が少ないこともありますが、チャンヒョンに敗れるまで約3年間負けなしでした。
RISEスーパーフェザー級は、今でこそ大雅に常陸飛雄馬、現在療養中の石月祐作に、藤井重綺や奥平将太と駒が揃っていますが、チャンヒョンが新型コロナウイルスの影響で来日が困難となってからは、一馬がたった一人でこの階級を支え続けてきた印象が僕にはあります。
一馬ほどのテクニックがあれば、もっと楽に勝てた試合もあったと思うんです。距離を取りながら手堅く判定で完封する試合だって全然出来たと思う。
でも彼はそうしなかった。観客を意識して、常に魅せて倒す試合をしてきました。
ノラシン相手には上限の三日月、テーパリット相手にはパンチでKOとかね。
その姿勢はあのチャンヒョンとのタイトルマッチでも変わりませんでした。
あまり他にはいないタイプの魅力的なファイターでしたね。
最終試合
TARGET SHIBUYA代表の宮城大樹氏のtweetによると、かなり前に一馬は引退を決断していたことになります。
ここからは完全なる憶測と妄想なので、間違っていたら大変申し訳ないし、軽く聞き流して欲しいんですけれど、そもそも大雅戦を引退試合に決めていた可能性が極めて高いんじゃないかなと。
常陸との試合をすることがないってことは、大雅戦以降やることがほぼないわけだし。
伊藤代表もせめて最後に大雅戦の再試合をやってから引退しようと説得してた可能性だって大いにありますしね。
でも、再び心と体を作り直すのは並大抵のことではないし(仮に引退試合と決めていたのなら猶更)、子供も授かったしで、そのまま引退になったんじゃないかなと。
まあわかんないですけどね。
一馬が不憫だと思うのは、まず仮に引退試合だったとしても先に告知をすると、一馬vs大雅よりも一馬の引退試合がテーマになってしまうから告知をしたくなかったんじゃないかなっていうのと、引退発表のときにも、大雅戦を引退試合と決めていたことを発言すると、大雅に対する批判がまた再燃するので、そのことにも触れることをしなかったんじゃないかなとか。
なんか一馬はそこまで考えていた気がするんですよね。
まあわかんないですけどね。
大雅の減量失敗を今更蒸し返して責めるつもりはないです。もう起こってしまったことだし。それは一馬が1番望まないことだろうから。
ただ、一馬はRISEがそこらの一商店だったときから支え続けてきた選手の1人です。
お店はデパートとは言わないけれど、それなりのスーパーマーケットにはなりました。
東京ドームでRISE王者として挨拶することも出来た。
ですが、後楽園ホールを盛り上げ続けてきた一馬は、唯一大箱での勝利がありませんでした。
なので、引退試合とかどうとかは関係なく、大箱で観客を沸かして尚且つ勝利する一馬を観てみたかったなぁと、教室の隅っこで窓から外を眺めているような、末端ファンの1人はチラッと思いました。
一馬 vs 石月祐作
RISEのタイトルマッチにはまさに死闘と呼ぶべきベストバウトが沢山あって、順位をつけるのは非常に難しいんだけど、僕個人としては一馬vs石月祐作以降では、この試合を超えるのはまだ出てきてないんじゃないかなと思います。
それだけ素晴らしい試合でした。ベストバウトっていうのは1人じゃ出来ないっていう顕著な例ですね。
試合というより作品と言っていいと思います。
石月は元々好きな選手だったんですが、この階級を支えてきた一馬が負けてはいけないと思い、一馬応援で観ていました。
でも途中からどっちを応援しているんだかわからなくなりましたね。
泣きながら観ていた記憶があります。
この試合から石月は好きな選手から推しの選手に変わりました。
一馬の子供が将来大きくなって
「パパは昔キックボクサーだったの?」
「どんな選手だったの?」
とか聞かれたと妄想する。
そしてこの試合をYouTubeで見せたりして。
年齢によっては酷く石月のことを恨むかもしれないし。
パパを殴るなんて許せないとかね(笑)
年齢によっては石月のファンになったりして(笑)
確かなのは、子供が年齢を重ねれば重ねるほどに、一馬への尊敬が増していくということ。
他にもたくさんパパの試合を見せて上げて欲しいですね。
最後に
一馬と前ライト級王者の直樹は一時期、試合をする可能性があったと思います。
お互いどこか共通するものもあり、リスペクトしあっていた中での王者対決として。
僕はRISEの解説では、直樹と一馬の解説がダントツで好きでした。
どちらかに偏ることもなく、試合を楽しんでいるようで、それでいて品もあり、RISE愛もあり、選手愛もありと(原口の天才的な解説も好きです。どこか天心ぽい。OBだと裕樹が好きです)
色々とこれからお忙しいんでしょうが、どこかで落ち着き時間に余裕が出来ましたら、また解説席とかに座っていただけたりすると、それはもうめちゃくちゃうれしいです。
現役生活大変お疲れさまでした。
本当にありがとうございました。
(了)
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