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上手な「並」の先生はこの時期だからこそルールを再確認しながら進める。
この時期、もう一度ルールを確認しよう
1月も後半に入り、学校生活も3学期がスタートしてからしばらく経ちました。この時期になると、子どもたちの主体性がより強く発揮され、各自が積極的に活動に取り組む様子が見られます。その姿勢はとても素晴らしく、学級や学校全体の活気にもつながっています。しかし、その一方で「主体性」が強くなると、時にチームや組織としての力が発揮されにくくなる場面も出てきます。その原因の一つとして、1学期の初めにみんなで話し合って決めた「ルール」が曖昧になっていることが挙げられます。
ルールは単なる制約ではなく、クラス全員が気持ちよく活動し、成果を上げるための「土台」です。この土台がしっかりしているからこそ、個々の力が発揮され、クラスとしての目標を達成することができます。しかし、主体的な活動の中でルールが「拡大解釈」されたり、効率性を求めるあまり「不明瞭」になってしまうこともあります。こうしたズレが原因で、主体性が逆に阻害されたり、全体としての力が思うように発揮されなくなることがあります。そこで、今このタイミングで一度、みんなでルールを振り返り、再確認する時間を持つことが大切です。
以下に、特に確認したいポイントを3つ挙げます。
1. 時間の使い方について
最近、子どもたちが活動を進めるスピードが上がり、短い時間で効率よく作業を終える姿が見られるようになりました。この成長は非常に喜ばしいものです。しかし、その「短時間で終わらせる」ことが本当に全員にとって最適な時間設定であるかどうか、改めて考えてみる必要があります。短い時間でできる人がいる一方で、もっと時間があれば深く考えられる人や、全体を調整しながら進めたい人もいるかもしれません。「全員にとっての適切な時間配分」について、話し合ってみましょう。
2. あいさつ、返事、感想について
3学期に入り、クラス全体の雰囲気が良くなる中で、あいさつや返事、感想を言う場面が増えています。特に、自然に気持ちの良いあいさつが交わされているのは素晴らしいことです。しかし、ここで「本当にこれ以上の工夫や改善は必要ないのか?」と自問してみましょう。
たとえば、あいさつや返事が「なんとなく」行われていないか。あるいは、感想を言う場面で、誰かに「忖度」していないか。お互いに気を遣いすぎて、自分の本音を隠していないか。こうした部分をみんなで確認することで、さらにクラス全体のコミュニケーションの質を高めることができます。
3. 話し合いや相談について
日々の活動や行事の準備において、話し合いや相談の場面が多くなっていると思います。その中で気を付けたいのは、誰かに合わせすぎていたり、特定の人に頼りすぎていないかという点です。主体性を発揮するということは、単に「みんなと協力する」だけでなく、自分の意見や考えをしっかり持つことでもあります。
話し合いや相談の中で「みんながそう言うなら、それでいいや」と思ってしまう場面はないでしょうか。特定の人だけが話し合いをリードし、他の人が「聞き手」になりがちではないでしょうか。このような偏りを防ぐためにも、話し合いの進め方や役割分担についても再確認しておきたいところです。
最後に
これまでの3学期の中で、子どもたち一人ひとりの力は確実に伸びてきています。だからこそ、ここでルールを改めて確認し、その上でさらに質の高い活動を目指していきたいと思います。「主体性」と「ルール」は相反するものではなく、むしろ主体性を発揮するためにこそルールが存在しています。この原点に立ち返り、クラス全員で話し合い、確認し合うことで、さらに素晴らしい3学期を作り上げていけるはずです。
クラスや学校生活の中で「ルール」は時に窮屈に感じられることもあるかもしれません。しかし、それが「個人の成長」と「組織としての成長」を両立するために必要な土台であることを、このタイミングで子どもたちと一緒に考えていけたらと思います。