2.1 4月1日(その2)初訪問の学校、入口いったいどこなんだ問題〜辿り着けそうで辿り着けない魔宮のごとく〜
↓前回の話
【概要】異動初日、初出勤時。学校行きバスが事前情報通り走ってなく大わらわ。
走りに走った摩耶、道のドン突きには学校の植え込みとフェンス。
肩を上下させハァハァ息をしながら、血走った目で摩耶はスマホの時刻を見る。
8:11
もう、本来は集合場所に居なきゃな時間だよなぁ。。。
その辺りは、まがりなりにも高校事務室で3年勤務し、なんなら新任者の集まる部屋に呼び出しに行ったりした経験もある摩耶なので、ちゃんとわかっているのだ。
気力をなんとか振りしぼって、右を見る。
校庭の外に沿って、フェンスがまっすぐ続いている。門らしきものは見えない。
今度は、左を見る。
植え込みの緑が濃い。敷地内に体育館が立っている。通りは先で右に折れている。やはり、門らしきものは見えない。
摩耶は……
右に行く(→15へ)
左に行く(→38へ)
……いにしえの、アドベンチャーゲームブック(古)かッッ!
【はい、「初訪問の学校、入口いったいどこなんだ問題」。
タイトル出オチ感がすごいですが。
何も、摩耶のように着任初日ではなくとも、
「出張で、勤務校以外の学校を初訪問した教職員」
「チームスポーツの引率で、お子さんが通う以外の他校が試合会場で、引率して向かった保護者さん」
「学校でのお仕事で呼ばれた、あるいは営業活動で訪問した民間事業者さん」
というお立場の方がこの記事を読んでくださっているようなら、
「あーーはいはい、これはあるある!」
と、共感やご納得をいただけるかもしれませんよねー。
さて、このとき摩耶が選んだ行動は……右にいったか、左に行ったか……?】
→立ち止まって、再度スマホ画面の地図アプリを睨む
【そう来ましたか。
しかし、門の位置は分からなかった!
正確には、門を思わせるデザインは視認できたけれど、それが
「教職員・来校者通用口」なのかどうか
この一番肝心な情報は、読み取ることができなかった!】
ぐぬぬぅぅぅ………、と摩耶は唸った後、
→まやは でんわを つかった!
なんと!しょくいん が でた!
「お忙しいところ申し訳ありません。私、本日着任する、事務の邪馬と申します。
はいお世話になっております!
副校長先生……が、もしいらっしゃらなかったらですね、お電話口の方で構いませんので、実は今学校の北西側まで来ているのですが、……ハイ、体育館の裏(?)ですねきっと、それでですね、ここから、どちらへ行けば職員通用口でしょうか。
お教えいただければ……、
ハイ……あっ左ですか、そこからハイ、民家をすぐ左、急坂を登りきったら右に折れて、植え込みのある門の横の小扉ですか。
校舎に入ってからがちょっと入り組んでいる……わかりました、とりあえず行ってみます!
大変助かりました、急いで向かいますと管理職の先生にお伝えくだされば。
……ありがとうございます、大変失礼しましたー!」
【現状、摩耶がここでとれる、ベストな選択だったかもですね。
冷静でした。
とはいえ、摩耶は電話の0.2秒後からまた走りに走って、額や背中に汗 どっと噴き出ている必死な状況ではあるんですがね……
電話に出てくれた方の案内通りに通用扉から入り、来客用のスリッパで、案内板を頼りに摩耶は階段を登ったり、4月1日はまだ児童は春休みで、それをいいことに廊下をダッシュしたり、上に下に左に右にのなかなかのハードな移動をして、
ついに応接室へ。
奇跡の8:14!!!!
やったーと内心思うも、開いているドアから中へ一歩入ったとたん、すぐその感情は消えて顔がひきつりそうになる……
異動者何人かがダークスーツ姿で座っていて、手前にいたスーツの女性が
「あっ事務の邪馬さんですね。
これで全員揃いました。では、皆様お待たせしました。職員室へ向かいましょう」
と、本当に一息持つくまもないまま、席にも付けず立ったそのまま、摩耶はスーツ姿の男女の最後尾に並び、わけもわからず廊下を前へ……。
【「わけもわからず」。
「整理なんかつかないまま」でもいいかな。
これ、4月1日の学校に不慣れな方にとって、最重要ワードかもです。
ここから、摩耶さんの長い、長ーーーーーいーーーーー(not松山千春) 、
4月1日が、本格的に始まっていくわけです……。
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